2022.07.28
【終了】北沢 ミカン下北グランドオープン記念 下北沢で働きたくなる実験イベント開催「I am working in Shimokitazawa」
7/28(木)下北沢駅高架下施設「ミカン下北」グランドオープン。8/1(月)~8/5(金)実験イベント「I am working in Shimokitazawa」実施。
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京王線芦花公園駅北口から徒歩3分。旧甲州街道沿いに、まるでタイムスリップしたかのような木造の風情ある建物が現れます。お店の名前は「クニナカ」。ぬくもり溢れる木の風合いを生かした、天然素材が中心のオーダー家具やキッチンを受注生産しています。「店を大きくするよりも、いいものを作り続けたい」――そう話すのは3代目となる國中昇平さん。リピーターのお客さまも多いというクニナカの魅力をうかがいました。
クニナカを訪れると、最初に目を引くのがそのレトロな外観。懐かしい引き戸を開けると、隣の工場から家具を作る音が聞こえてきました。のぞいてみると、ちょうど職人さんが刷毛で塗装を仕上げているところ。壁一面に木材がずらりと並び、使い込まれた道具が置かれています。クニナカの家具は、すべてこの小さな工場でひとつひとつ職人によって手づくりされているのです。
お客さまとの打ち合わせスペースのある店舗の2階に上ると、外観からは想像できないような素敵な空間がありました。木枠の窓からは、心地のよい緑がのぞきます。無垢材の大きなテーブルや椅子、雑貨の並ぶ飾り棚など、木のぬくもりに溢れた家具は1階の工場で作られたもの。実際にこうした家具に触れてもらいながら打ち合わせを行うそうです。
「祖父が『堀木工所』を創業したのが昭和23年。戦前に鉄工所として使われていた建物を利用したそうです。平成2年に名称をクニナカに変更しましたが、店舗は当時からそのまま」と國中さん。65年前から、この場所、同じ建物で、家具を作り続けてきたのです。
オーダー家具のメリットは、好みやサイズなど、さまざまな要望に応じて製作できること。中でもクニナカは、無垢材を主役にした家具を得意としていて、チェリーやウォールナットなど20種類以上から選ぶことが可能です。自然のままの木の表情を生かした家具は、無機質な素材と違って、ほっとするやさしい空間を演出してくれます。
「見た目だけでなく、無垢材で作ったテーブルは合板のような接着剤を使わないので、化学物質が苦手な方や小さなお子さまがいる家庭でも安心。オイル塗装と蜜ろうワックスで仕上げれば、自然な手触りも楽しめます」と國中さん。オイル塗装は、しっとりと肌になじむ心地よい手触りや、時間とともに変化する風合いも魅力です。
「既製品よりも価格は高くなりますが、そのぶん“長く使っていただける”ことを一番に考えています。そのためには、機能性はもちろん、飽きのこないデザインや安全な素材を使うことも大切です。無垢材なら何度でも削りなおせるので、世代を超えて使えますし、職人が出張してメンテナンスも行いますよ」
クニナカでは、テーブルの9割が無垢材で作られていますが、収納などには、安全基準をクリアした合板を使用することも。「無垢材だけだと高くなりますし、合板には反りにくいという利点もあります。家具によっては見えにくい部分に使う提案もします」と國中さん。用途や予算に合わせて相談にのってくれるので、初めてのオーダーでも安心です。
お客さまとの打ち合わせでは、過去に手がけた見本写真のほか、写真やスケッチを参考にしながら、イメージを形にしていきます。
「一から作るものなので、お客さまと同じものを描けているかが、最も気をつかうところ」と國中さん。無垢材だけを使ったナチュラルな収納棚から、ステンレスや大理石と組み合わせたモダンなキッチンなどバリエーションも豊富です。簡単な棚やテーブルなら、2週間ほどで出来上がります。
気になる価格ですが、椅子で大体7万円から。既成品と比べると高く感じるかもしれませんが、背もたれの絶妙な角度、すべりにくい座面など、座ってみるとその良さが伝わってきます。あるお客さまは、他の店を何軒もまわったあとに「ここの椅子がいちばんだった」と戻っていらしたとか。どれも木の素朴な存在感と手仕事のぬくもりに溢れていて、丁寧に手彫りされた跡には愛おしさまで感じるほどでした。
実は、素材にこだわって個人向けのオーダー家具を増やし始めたのは、約30年前に國中さんの母親である現社長・高橋さんが会社を継いだ時からでした。当時は「シックハウス症候群」が知られ始めた頃で、高橋さんは育児中だったこともあり、大量生産をせず安心できる素材で家具を作りたいと思ったそうです。「小さい店だから宣伝にお金はかけられません。それでもやってこられたのは、お客さまが口コミで広げてくれたおかげ」、と高橋さん。
リピーターのお客さまが多く、長いお付き合いは25年以上に及びます。
「新築時に家具を手がけたお客さまが、その後キッチンのリフォームを頼んでくださったこともあります。赤ちゃんだった娘さんが大学生になっていて時間を感じましたね」
と高橋さん。3代目となる國中さんも「お店を大きくするよりも、いいものを作り続けたい」と話します。
「新品もいいけれど、“おじいちゃんの代から大事に使ってきた椅子”には、代えられない価値があると思うのです」とは、印象に残った高橋さんの言葉。昔から変わらない場所で、地域のお客さまに支えられてきたクニナカ。素敵な家具と長い時間をかけた付き合いを始めたくなるお店です。
(撮影:渡邉和弘)
住所: | 世田谷区南烏山3-24-3 |
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電話番号: | 03-3300-2727 |
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香川県生まれ。神奈川県、石川県、東京都育ち。ファッション誌編集者を経て、フェアトレード、食、地域をテーマにした媒体に関わる。「意外と知らない身近な暮らしのこと」に興味があります。
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