2022.07.01
世田谷代田~下北沢~東北沢 「下北線路街」が全面開業しました
世田谷代田~東北沢間の小田急の線路跡地にできた「下北線路街」をご紹介します。
世田谷での暮らしを、よりよいものにするための情報。区民の衣食住に関わる取り組みやサービス、町の景観、子育て、町づくり、多世代交流の話など。
体が喜ぶ食事、していますか?“体が喜ぶ”ことは人それぞれ異なります。自然食や有機食品が体に良さそうだから食べているという理由もいいけれど、自分の体に合っていて続けられることが大切なのかもしれません。体に合う=体が喜ぶこと。そんなことに気づかせてくれたお店が「栃の実」です。お昼時には、あっという間に満席になるほど人気ですが、それも納得。ここで味わうランチは、確かに体が喜ぶ味でした。
経堂駅から徒歩5分。住宅地の細い道沿いに「栃の実」はあります。入り口では、生い茂る植物と、見るからに生命力の強そうな野菜たちが出迎えてくれます。扉を開くと、右側にはテーブル席とカウンター席が、左壁には食品や雑貨類がずらりと並んでいます。
経堂で鍼灸を営むオーナーが2001年にオープンさせた「栃の実」。体を意識する仕事柄、良い食材を摂ることで薬は必要としないという「医食同源」の考えにたどり着き、食の提案ができるお店を始めました。オープン当初からキッチンに立ち、料理を作り出してきた宮澤章子(あきこ)さんが、料理から接客まで一人で切り盛りしています。
「食で大切なことは、“体に入れる素材選び”と“体から排出させること”。排出には、雑穀とごぼうを摂るといいの。だから、雑穀や根菜を使ったメニューが多いんです」
元々、オーナーの患者だったという宮澤さん。治療だけでなく、きび・あわ・ひえ・大麦など多種
類に及ぶ雑穀を、必要な栄養素に応じて摂り入れるようになど、食のアドバイスも受けたといいます。それが「栃の実」のメニューに反映され、ランチの定番であるきびハンバーグなど、雑穀の種類を活かした料理が作られています。
この日の日替わりランチは、白菜がたっぷり入った根菜鍋、長芋のハンバーグ、煮黒豆、ブロッコリーと蓮根のおそうざい、玄米+雑穀米とボリューム満点。野菜の味わいに心が豊かになります。
「栃の実」では、主に八ヶ岳の大地で野菜を育てている三井和夫さんの自然農法野菜を使っています。季節に逆らわず育てられた野菜。たとえば、冬の大地の恵みが凝縮された蓮根や大根、ジャガイモなどの根菜類は、体を温めてくれる作用があるため、体の冷えを感じる時季には嬉しい存在です。季節の味わいを感じさせてくれる料理も、「栃の実」の魅力の一つです。
さらに、宮澤さん自身、根菜に助けられた数えきれないほどの経験があると言います。「胃が痛くなったとき、大根の皮を剥いて7gほどをゆっくり噛んで食べたら、不思議に痛みが消えたことがあります。心臓が締め付けられるようなときには、皮を剥いたジャガイモを2.5g口に含むだけで呼吸ができるようになったり…。野菜の薬効の力はすごいです」。昔から代替療法で使われてきた野菜のパワーを体感してきた宮澤さん。料理を通じて、野菜の力を発信しています。
「素材がいいことはもちろんだけど、そのときの自分の体に合ったものを食べるのがいい」。そう語る宮澤さんの作る自然食は、ダシを使わずに煮た豆や野菜など、素材の味を活かした料理ばかり。カルシウムを採るために魚を使用するメニューもありますが、肉、卵、牛乳を避けたメニューが考案され、ベジタリアン対応も可能です。
宮澤さんは、約40年前に子どもがアレルギーだったことから、食に気を使うようになったといいます。「今はネットやTVで情報が氾濫しているでしょう?何が体にいいのか悪いのか…。でもね、大切なのは、自分の体に合っていること。そして、継続すること」
たとえば、自然食派の人に人気の玄米はミネラルや食物繊維が豊富ですが、消化できる力が弱っているときには逆に負担になってしまいます。そんなとき消化も排出も助けてくれるのが、雑穀です。「栃の実」では、雑穀の力を信じて引き出す料理を提案しています。かつて日本で食されていた雑穀は、現代人の体の不調に対する救世主なのかもしれません。雑穀米だけでなく、雑穀を素材として作り出される料理はバリエーション豊かで、自然食への楽しみが倍増します。
「栃の実」では、食事だけでなく、食品や雑貨も販売しています。ランチにも出している長崎県産有機栽培の梅干しや、自家製ブレンドの雑穀米、安心な素材のみでできた玄米ラーメン、また料理の基礎となる調味料ももちろん安心な逸品です。豊富な自然食の食材を前にすると、自分の食生活を見直して、本当に自分の体に合っているものを摂ろうという気持ちが湧いてきます。
「体はやれば応えてくれる。その体を作る素材が、食べ物。素晴らしい力を持ち、私たちを生かしてくれています。感謝ですね。生きるって、結局は自分の体を知っていくことなのかなって思うんです」。体の声に耳を傾けて、そのとき体が欲する美味しい料理を作り続ける宮澤さん。優しさ溢れる自然食に、体も心も喜びます。
(撮影:小林友美)
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栃の実
世田谷区宮坂3-5-4
03-3706-0215
営業時間:11:30〜18:00
定休日:日曜日、月曜日は物販のみ
住所: | 世田谷区宮坂3-5-4 |
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電話番号: | 03-3706-0215 |
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編集・ライター(ASOBOT inc.)
高校卒業後、上京。デザイン系専門学校インテリア・雑貨スタイリスト科卒。その後、カルチャー誌の編集、音楽会社映像部門勤務を経て、ASOBOTへ入社。『metropolitana』『Starbucks Press』『Dean&Deluca』『Grass Roots』をはじめとするメディアを通して、ライススタイルや旅、カルチャーなどに関するコラムやフィクションを執筆。
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