2022.01.13
野毛 身近で大きな古墳 野毛大塚古墳
関東最大級の古墳、世田谷区玉川野毛町公園にある、野毛大塚古墳をご紹介します。
世田谷にはたくさんの「訪れたい場所」がある。古くから愛されてきたお店や、知る人ぞ知る穴場など、地元の情報をご紹介。思い出に残る昔の世田谷から今の世田谷まで。
下北沢駅前の喧噪とは無縁の、茶沢通り沿いにあるカフェ「Kate coffee」。本がずらりと並び、ゆっくり過ごすには居心地抜群のステキな空間です。下北沢といえば若者の街のイメージですが、老若男女問わず、地元の人が多く訪れる人気のカフェになっています。オープンして7年、地元の方に愛される「kate coffee」の秘密をお聞きしました。
2013年3月、下北沢の駅が地下化され、それまでの古い駅舎から地下深くまである大きな駅へと変貌しました。けれど、下北沢の街の賑わいは相変わらず健在。縦横無尽に広がる商店街には昼夜問わず人がごった返し、小さな雑居ビルにはお店がひしめきあっています。そんな下北沢に静かでゆったりくつろげるカフェがビルの2階にありました。
「Kate coffee」の店主、藤枝絵理さんは、お店を始める前、学生の頃から、同じく下北沢にある南口商店街で有名な、自家焙煎のコーヒー豆専門店「モルティブ」でアルバイトをしていました。カフェを巡るのが好きで、「いつかカフェをやりたい」と、就職をしてからも週に一度、アルバイトを続けながら、開店の夢を着々と進めていたのだとか。
「モルティブは常連さんが多くて、下北らしくフレンドリーで、あいさつを気軽に交わす感じがあって。ほかの地域のお店よりもすごく距離が近いような気がしたんですよね。だから、やるなら長く地元に根づくお店にしたいなと思っていました」(絵理さん)
その頃、絵理さんも弟の智さんも下北沢在住、またお兄さんの憲さんも下北沢でデザイン事務所「Coa Graphics」を構えており、兄弟みな下北沢に魅せられていました。下北沢でお店を出すことを決めた3人は、1年かけてお店を始める準備を進めることに。しかし、物件探しは難航。なかなか空き物件が見当たらないなか、今の場所がまだ更地の時にビルが建つことを知りました。ビルの向かい側には、北沢タウンホール、周辺には本多劇場やライブハウスもあり人通りは絶えず、夜は下北沢で唯一タクシーを拾える茶沢通りに面しているため、「ここしかないね」と満場一致で決まりました。
変わらない昔の下北沢と、変わりつつあるいまの下北沢、両方を知る兄の憲さんも、下北沢の魅力をこう語ってくれました。
「オープンしてからのこの6〜7年で下北は一番変化しているんじゃないかと思います。店も入れ替わって、オープン当初とは風景が違いますね。僕はここで15年デザイン事務所をやっていますが、10年ぐらい変わってなかったんです。古着屋があって、ライブハウスがあって、演劇や音楽やってる人が大勢いて、平日からプラプラしている人も多くて(笑)。基本的に毎日日曜日みたいな感じで」(憲さん)
そんな下北沢の街のイメージ以上に、オープン当初から、いろいろな客層の方が来てくれたのだとか。
「時間帯によって、客層が違いますね。すごくロックなお兄さんの横でおばあちゃんがお茶していたり、お互いに共存していて。街を歩いててもいろんな人がミックスされて、違和感なくとけ込んでいる感じが、すごく下北らしいんじゃないかな」(絵理さん)
10時からモーニングをやり、夜は24時まで営業。一日のなかで、自由に使える使い勝手のよさが魅力です。カフェには兄の憲さんがセレクトしたカルチャー系の本がずらりと並び、カフェのごはんやケーキは、絵理さんと弟の智さんの2人が担当、兄の憲さんは、メニューやショップカードのデザインを担当しています。
いまから6年前、兄の憲さんが「息抜き」で始めたというフリ—ペーパーがありました。1万部も発行していたそのフリーペーパーはいろいろなお店で配布され、それを見てお店に来てくれたり、それを手に入れたくてお店に来る人がいたりと、単なる読み物としてのフリーペーパー以上の“価値”がそこにはありました。
しかし、2011年の震災以降、フリーペーパーで使用していた紙が入手しづらくなり、その後は1枚のカレンダーメモを配布することに。日付入りのメモはお店を打合せで利用するお客さんにも好評で、その後2年間配布し続けました。中にはカレンダーを毎月集めに来るコアなファンもいたと言います。そして、物語が描かれたこのカレンダーメモは、『kate booksシリーズ』というリトルプレスとして、書籍化することが決定したのだとか。
「ネットで何でも見られる時代ですから、それだけで行った感じになっちゃうのはイヤだなと。きちんとお店に来てもらって、リアルに体験してほしいという思いから、ネットで公開するのではなく、フリ—ペーパーという形にこだわって作っていました」(憲さん)
オープンして7年、だんだんとkate coffeeは常連さんも増え、人気のカフェとして知られるようになりました。
「モルティブで働いていた時に憧れていたお客さんとの親密な関係が、このカフェでも築けています。30年間同じ場所で営業しているモルティブでは、学生だったお客さんが結婚して子どもを生んで、その子どもが大きくなって通ってくれたり。そういう風に代替わりするまでこのお店をやりたいと思っています」(絵理さん)
実際、この7年で結婚して、子どもができてからも通ってくれる方がいたり、学生だった男の子が就職したりと、時の流れを感じるそう。「ずっと通ってもらえるということはカフェとしてはうれしいこと。今後10年は続けたい」と絵理さん。
「いまは道路ができ、駅が変わって、訪れる客層が変わりました。大きい道路ができるのに伴って、高いマンションが建つようになりますし、駅前も駅ビルになるらしくて。家賃が変われば小さいお店はもっとやりづらくなると思う。ここ数年で下北沢の風景が一変するかもしれませんね」(絵理さん)
これからも下北沢は変わっていく、今はまさに過渡期。そのなかで、「ここは変わらないね」とみなが安心して通い続けられる、そんな場所としてkate coffeeはあり続けてほしい。そう願っています。
住所: | 世田谷区北沢2-7-11 コージー下北沢2F |
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電話番号: | 03-5454-5436 |
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大阪府生まれ、世田谷区上馬在住。新聞社、出版社を経てフリーに。現在は、雑誌やウェブなどの執筆・編集を手がける。特に、おいしいもの、おもしろいものに目がなく、街歩き取材が大好き。2011年、編著『TOKYO ISLANDS 島もよう』(エスプレ)を手がけた。
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