2013.06.01
子どもが自由に楽しめる遊び場を。プレーパーク武智さん
みなさんは、世田谷区の4つの公園にある「プレーパーク」を知っていますか?廃材やロープなどで作られた遊具が並ぶ敷地の中で、子どもと大人が一緒になり、火や土、水や木といった自然と、道具や工具を使って自由に遊びを創りだせる遊び場のことです。今回は世田谷公園のプレーパークで、子どもたちの遊びをサポートする見守り役のプレーリーダー、NPOプレーパークせたがやの武智風也さんに、プレーパークの魅力についてお聞きしました。
世田谷の街に根ざした活動・取組みを行う人や、世田谷で活躍する「このひと」のインタビュー。それぞれの想いがある世田谷のお話。
ガタンゴトンとゆっくりと住宅街を走りぬける世田谷線・若林駅のすぐ近くに位置するギャラリー「世田谷233」。ここは、ボックスタイプのスペースを貸し出している、ギャラリー&カフェです。ボックスには、ガラス作品や写真、手芸作品など思い思いの表現が並びます。また、イベントも数多く開催しコミュニティ・スペースの働きも担っています。世田谷線を横目に、オーナーの中根大輔さんにお話を伺いました。
[10月の特集] 芸術の秋、世田谷でアートを楽しもう
世田谷くみん手帖編集部(以下、くみん手帖):世田谷線が目の前を走っていて、のどかな風景ですね。
中根さん(以下、敬称略):ギャラリーの場所は住宅街にしたかったんです。三軒茶屋からも近いのでアクセスもいいんですが、基本的には人が暮らしている中にアートや表現が存在することが大事だと思うんです。ここのボックスを借りている方は、OLさんのように普通に仕事をしていて、趣味で作品づくりをするという方も多いですし。ちょうど今、奥のギャラリールームでは、英会話教室を開いているご近所の女性と8歳の生徒によるコラボ展を開催しています。
くみん手帖:一般の方が借りやすいギャラリーですね。スペースをシェアして作品を展示するこのようなスタイルのギャラリーは、今でこそ他にもたくさんありますが、いつ頃から始められたのでしょう?
中根:今年(2013年)の12月で12年目に入ります。大阪にいる大学時代の友人と始めました。その友人が、1995年の阪神・淡路大震災後に神戸元町の高架下で、今233でやっているような、ボックスがたくさん並んでいて、そこで個人がいろんなものを売っているマーケットを目にしたんです。それがすごく賑わっていたので、そういう場所を一緒にやらないかと相談されました。運営は僕が中心になってやることになったので、じゃあ東京でやろうと。
僕自身は金融業界でサラリーマンを11年やっていて、規模を問わず、企業を金融面から支える仕事に携わっていたのですが、インターネットの普及などもあって、もっとダイレクトに個人をサポートしたいと思うようになっていたんです。ちょうどそんな時に友人から話を聞いて、これなら個人が自由に発信できるし、直接サポートできると思って一緒に始めました。
くみん手帖:ここのボックスを借りる際の条件などありますか?
中根:まったくないです。審査もありません。だから、いろんな人がいます。借りる期間は自由です。オープン当初から借りてくれている人もいます。不思議なことに、これはなかなか売れないかもなぁと思っているものも、長く置いていると必ずこれが好きというお客さんが現れるんですよ。最近はネット販売をしている人も多いので、ここをアンテナショップにしている人もいます。レンタル料は、小さい箱でひと月2,000円、それ以外の箱は2,400円です。
くみん手帖:この場所を選んだ理由は?
中根:ずっと三茶に住んでいたから。やっぱり、自分の好きな街でやるのが一番かなと。会社員の頃は、桜新町にある会社の寮に住んでいたんですけど、いつも三茶で飲んでいました。
飲み屋さんもたくさんあるし、酔っぱらって終電がなくなっても歩いて帰れるから(笑)。今は桜上水ですから、東京に来てからはずっと世田谷ですね。
当初いくつかあった物件候補に、「NOZAWA233」という名前のマンションがあって。看板まであったのでこの名前で営業したら看板いらないな(笑)……と考えたんですが、結局家賃が当初の予定より高いから最終的には借りなかった。その後ここを見つけて、名前だけ引き継いだんです。
くみん手帖:だから「233」なんですね。同じ場所で10年やられていると、ご近所とも仲良くなりそうですね。
中根:そうですね。オープン当初は調子に乗って騒ぎすぎて、何度か近隣の方から苦情を受けたこともあるんですが、それからはご近所さんとコミュニケーションをとったり、町内会に入ったりして、今ではお隣近所ともすごく仲が良いですよ。10年経って思うんですけど、地域密着って、結局、そこに長く住むってことに尽きるんじゃないでしょうか。そこから地域との信頼関係が生まれるんだと思います。
くみん手帖:10年以上続けるコツはなんですか?
中根:まずは、ギャラリーとしての敷居の低さから、いろんな人が集ってやりたいことをやれる環境があることが大きいと思います。それから、たとえば経堂のカフェや渋谷の専門学校とコラボレーションをしたり、力のある作家さんを海外のグループ展に紹介したり、プロデュースやマネージメント的なこともたくさん行っています。そうやって人とつながる窓口というか、レイヤー(層)をたくさん持っているというのも大事でしょうね。
くみん手帖:ここでは、様々なイベントも開催されているようですね。
中根:モノ作りワークショップ、音楽ライブ、DJイベント、インターネット放送、落語会、満月カフェ、写真部や着物コモノ連のようなサークル支援など、いろいろやっています。
人と人の出会いを演出するためには、集まるきっかけが必要なんです。そのためにも数多くやってます。
ここは、個人がやりたいことをやるための場所だから、僕もやりたいことを企画するときもあるし、みんなもやりたいことをやったらいいと思っています。たとえば、この前は麻雀好きの人たちが麻雀大会を開催したんですが、もちろん僕も参加したものの、お店としては収益にはつながらないし、楽しいけれど徹夜だから体力的にもキツイ(笑)。そもそもギャラリーという業種と全然関係ない。でも、開催した人たちも、麻雀パイやトロフィーを自分たちで揃えてくれるんです。で、終わったら「233の備品にどうぞ」って。だから僕も損得じゃないところで動かざるを得ない。でも自分のやりたいことをやっている人を見ているとこっちも嬉しくなるんです。結局、それが一番の幸せなんですよね。
「何でもやりたいことあったらここでやりましょう」
損得勘定なしにそう声をかけてくださる中根さん。みんなのアニキのような懐の深さが、人を惹きつけるのでしょう。三軒茶屋駅からも歩いて10分程度。てくてくお散歩がてら、遊びに寄ってみてはいかがでしょう。
(撮影:渡邉和宏)
プロフィール住所: | 東京都世田谷区若林1-11-10 |
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電話番号: | 03-5430-8539 |
URL: | http://233.jp/ |
この記事に関連するタグ:2013年10月の特集, 233, イベント, ギャラリー, ボックス, レンタル, ワークショップ, 三軒茶屋, 三軒茶屋駅, 世田谷線, 若林駅
編集・ライター(ASOBOT inc.)
高校卒業後、上京。デザイン系専門学校インテリア・雑貨スタイリスト科卒。その後、カルチャー誌の編集、音楽会社映像部門勤務を経て、ASOBOTへ入社。『metropolitana』『Starbucks Press』『Dean&Deluca』『Grass Roots』をはじめとするメディアを通して、ライススタイルや旅、カルチャーなどに関するコラムやフィクションを執筆。
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