• HOME>
  • あたらしい世田谷>
  • 砧公園 だれもが楽しめ、遊べるで進化し続ける「みんなのひろば」

あたらしい世田谷

世田谷区民に伝えたい「あたらしい動き」をくみん手帖編集部がご紹介。施設、イベント、取り組みなど遊びから暮らしに役立つものまで。

2021.12.15

砧公園 だれもが楽しめ、遊べるで進化し続ける「みんなのひろば」

都立砧公園内に2020年3月にOPENした、遊具広場「みんなのひろば」。公園のユニバーサル化を推進してきた東京都が全国に先駆けて、だれもが当たり前のように利用でき、共に楽しめる遊び場、第1号として整備されました。先駆的な取り組みと注目される「みんなのひろば」は、遊びを通して、様々な子ども達の「やりたい」と「たのしい」を叶える為に、進化し続けています。

砧公園に新たな名所誕生!インクルーシブな遊具公園「みんなのひろば」

世田谷区内、屈指の広大さ、みどりの豊かさを誇る、都立砧公園。お花見、ピクニックはもちろん、野球、サッカー等の運動広場や世田谷美術館等もある憩いの場として、広く親しまれています。その公園北側の駐車場近くに、ひと際カラフルで、面白い造形が目を引く遊具広場ができました。さまざまな子どもがのびのびと遊べる遊具広場「みんなのひろば」です。そのユニバーサルデザイン(注1)な設備とインクルーシブ(注2)な視点での公園の取り組みが、注目されています。

砧公園内に新しくできた遊具広場「みんなのひろば」。思いっきり遊ぶ子どもたちの声が高らかに響きわたっています。

どんな子どもでも「やりたい」「楽しい」を見つけ、遊べるひろば

子どもの「やりたい」が出てくる、「たのしい」を見つける。自由な気持ちで過ごせるところを目指して、「みんなのひろば」はつくられました。身体の違い、世代、国籍、文化などの違いがあっても、楽しめ、遊べるように工夫や配慮されています。見た目だけでなく、音や手触り等、感覚も活かし遊べる様になっています。園路や遊具へのアプローチは、車いすでの移動・介助も容易にできる様に設計されました。広い通路幅、スロープ誘導、弾力性のあるゴムチップ舗装等が施されています。万が一の転倒時の安全性を高め、安心して遊びにチャレンジできる様に配慮されています。

「大型ぶらんこ」ブルーの背もたれ付や、オレンジの円盤型のシートは、自力で姿勢を保ちにくいお子さんでもぶらんこが安全に楽しめるよう工夫されています。いつも長蛇の列ができる人気遊具のひとつです。

「ぐるぐるマウンテン(回転遊具)」宇宙人かクラゲのようなカタチがユニーク。窪みに身体をもたれて座ることができるので、自力で姿勢を保ちにくいお子さんもみんなと一緒にぐるぐる回転を楽しむことが出来る。乗っている大人も子ども、見てる人もなぜかハイテンションな気分になれる遊具。

「複合遊具」スロープにより、車いすに乗ったままでもトップデッキへ上がり、幅広の滑り台で介助者と滑るこが出来ます。スロープの柵にはパネル遊具、ネット遊具やボルダリング風のチャレンジできる斜面もあり、遊び方は尽きない。刻々と角度がかわる陽ざしを受けて生まれる影は、幻燈を見ているようだ。

みらい号(船型遊具)既存の遊具に幅広いスロープを付け、車いす利用者もトップデッキまで上がれるよう改修。介助者と滑り台が滑れる広さがあり、乗ってきた車いすを降ろしやすいよう、幅広の階段がある。

「伝声管」花のラッパ状の口を様々な高さにすることで、車いす利用者含め、だれでも声の伝達遊びを楽しめる。

「シェルター遊具」音などに敏感なお子さんが、中のひとり掛けベンチに座ることで、静かな環境を取り戻し、心が落ち着けるよう作られている。車いすが回転できるスペース(直径1,500mm)も確保されている。周りの賑やかしさから、ちょっと小休止する時にちょうど良い空間で、居心地よい。

「迷路」車いす利用者も楽しめる高さや、視覚障害のある子どもも、パネルに刻まれた足跡を手でたどることでゴール出来る。パネルには触って楽しむ仕掛けもある。

「スプリングシーソー」幅広の座面なので、姿勢を保ちにくい子どもも、介助者に支えられながら一緒にギッタンバッタン出来る。

「楽器遊具」手で鍵盤を押して鳴らす楽器。それぞれ、鍵盤へ手が届く高さを変えている。

 

また、高さや広さの違うベンチやテーブルを園内に配置。身体的に様々な違いがあってもだれもがひと休みしやすいように配慮されています。「みんなのひろば」をぐるり取り囲む低い植栽と柵の外には、木陰のベンチ。保護者等が、柵の中で遊んでいる子どもたちを見守れる様に配置されています。

園内真ん中には、日陰となるパーゴラと様々な大きさのベンチ。また、テーブルセットは丸みを持たせ、車いす利用者や下肢の力が弱い方が摑まり立ち等の介助となる様に、手すりが付いている。

「みんなのひろば」のそばの木陰とベンチ。ここから、程よい距離で、遊んでいるこどもたちを見守ることもできる。柵の色はモニタリングの声を活かして塗り替えられる予定。柵との緩衝材の役目も果たす植栽は、低木のジンチョウゲなどで、季節の香りが楽しめるようにもなっている。

「配慮はするけれど区別はしないあそび場」を目指して、まだまだ進化する。

都立公園は、平成30年より、「障がいの有無にかかわらず、安全に楽しめ、全ての子ども達が共に遊び、学ぶことのできる機会を提供する」と、今までに類のない遊具公園づくりに取り組んできました。整備にあたり様々な立場の関係者の方々の意見聴取が行われました。障がい等も様々に違う子どもたちを遊び場からの排除や差別的扱いをなくすこと。身体的な遊びだけでなく自然環境に触れられる遊び、多様な選択肢がある環境や運営のプログラム等。課題は多岐にわたりました。それらを踏まえ、都立公園61箇所の中から、遊具広場へのアクセスの利便、だれでもトイレの大型ベッド有無等の条件から、23区内では砧公園が選ばれ、整備されました。

「砧公園駐車場障害者用スペース」公園併設の駐車場からもほど近く、4台分のスペースがある。林の先に「みんなのひろば」が見える。

「駐輪場」公園併設の駐輪場から、「みんなのひろば」はすぐそば。

元アスレチック広場だった名残の微小な地形起伏は、ゆったりとしたスロープの園路でアプローチすることで、かえって空間的な面白さが生まれた。

 

「みんなのひろば」が整備される間には、運営を担う公益財団法人東京都公園協会(以下、公園協会)砧公園担当スタッフも勉強会を重ね、取り組んできたそうです。「みんなのひろば」のオープン以降も、園内で子どもたちが遊ぶことで気が付く配慮や工夫するべき点を見つける為に、モニタリングも重ねて実施しています。そのモニタリングで得た声を遊具・設備の改善につなげたり、子どもたちの本音として、リーフレットにまとめ、公園協会のWebでも公開しています。園内設備や遊具の整備などのハード面はもちろん、それだけでは解決できない課題等は、砧公園担当スタッフが巡回時にこまめに話しかけながら、時には相互の理解や譲り合いを促すこともあるそうです。
日々、利用者の声に耳を傾け、届いた声を元に、だれもが心地よく遊べるように配慮や工夫をして遊具整備や運営しています。

モニタリングのヒアリングやアンケート等で寄せられた「本音」をまとめたリーフレット。砧公園サービスセンターの紹介頁には、「みんなのひろば」への思いや、「みなさんの声、もっと届けください。一緒に楽しいひろば、公園空間をつくりましょう」の記載がある。リーフレットは公園内で配布やHPで公開している。

 

近々、モニタリング等で、「みんなのひろば」をぐるりと囲む柵と出入口の扉が視覚的に見えにくい方がいることへの配慮として、どんな色がいいか意見を集め、選ばれた色で塗り替える予定があるそうです。

「どんな掲示板がいいか」などをヒアリング(2021.11.6実施)。©東京都公園協会

 

「様々な配慮や声かけを丁寧に重ねていく事で、遊ぶ子どもたち自身が、お互いの違いに気づき、気にかけ、譲りあいながら、一緒に遊ぶ広場を目指しています。」と砧公園サービスセンター長は話されます。

「みんなのひろば」では、互いにゆずりあう、大型ぶらんこ。安心して乗れるので、遊び方も気分もどんどん大胆になっていく。

 

「みんなのひろば」は、だれもが居心地よく楽しめ、遊べるように、利用するみんなで関わり合いながら創り、進化し続ける遊びのひろばです。みなさんも是非、遊びに出かけてみませんか。

「みんなのひろば」は、改修された「みらい号」と共に、みんなの声を受け止めながら、だれもが遊べるひろばを目指し、進化してし続けていきます。

 

(注1)ユニバーサルデザイン

「年齢や能力、状況などにかかわらず、デザインの最初から、できるだけ多くの人が利用可能にすること」が基本コンセプト。ユニバーサルデザインという概念は、米ノースカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンター のロナルド・メイス(Ronald Mace)により、1985年に7つの原則を元に公式に提唱された。(出典Wikipediaより抜粋)

(注2):インクルーシブ

日本語にすると「包み込むような/包摂的な」という意味。「ソーシャル・インクルージョン」(社会的包摂)という言葉から来ており、これは「あらゆる人が孤立したり、排除されたりしないよう援護し、社会の構成員として包み、支え合う」という社会政策の理念を表している。(出典Wikipediaより抜粋)

 

問合せ先:(公財)東京都公園協会 砧公園サービスセンター

TEL:03-3700-0414 FAX:03-3700-7059

 

施設概要

この記事に関連するタグ:, , , , , , , , , , ,

紹介者プロフィール

写真

くみん手帖編集員 せたがや歩兎庵

"手考足思"を座右の銘に、まち・ひと・ものに纏わる思いやコトを採集し、大風呂敷を広げる、自称「マチアルキニスト」。

関連記事

×

文字サイズ

  • 小
  • 中
  • 大