みんなの世田谷レポート

世田谷で行われたイベントやワークショップなどの体験レポート。くみん手帖編集部およびくみんライターが参加した感想や、当日聞いたお話、エピソードなどをご紹介。

2014.04.03

松陰神社通り商店街に、ダンボールの巨大基地、現る!

路地裏の空き地でダンボール秘密基地作り、それも街の真ん中、松陰神社前の商店街で!ワクワクするようなこのイベントは、松陰神社通り商店街組合の若手メンバーによるユニット「良鳩部(いーはとーぶ)」と、親子の遊びイベントの企画で話題の「子ども原っぱ大学」によるコラボレーション。大人も子どもも本気で遊んだこのイベントは、お祭りとはひと味ちがう、商店街活性化の新しいツールになりえそうです。

商店街の路地裏にある空き地が舞台。住むこともできそうな立派な基地が完成しました。まるで要塞のようです

商店街の路地裏にある空き地が舞台。住むこともできそうな立派な基地が完成しました。まるで要塞のようです

大人も子どもも夢中!ダンボールで本格建築

吹く風がまだ冷たい3月上旬の日曜日、松陰神社通り商店街の路地裏の空き地に約30組の親子が集結しました。空き地の隅には山積みになった大量のダンボール。これからこれで、巨大な秘密基地を作ろうというのです。

「お父さん、お母さんも本気でがんばって!用意スタート!」

イベントを主催する「子ども原っぱ大学」代表の塚越暁さんのかけ声と同時に子どもたちの歓声が響き渡り、空き地はダンボールでみるみる埋まっていきました。大人も子どもも真剣そのもの。心の向くままに組み上げるお母さん、柱を組んで本格的な家作りに挑戦する小学生。建物と建物の間は大人が通れないほどの小さくて細い秘密の通路でつながれ、その中を小さな子どもたちが走り回っています。

子どもの参加者は、歩き始めたばかりの赤ちゃんから小学校高学年までという幅広さ。小さな子どもたちはお父さんお母さんが組み立てた家をペンキで塗ったり、ダンボール用のカッター使って窓をくりぬいたり。小学生くらいからは、仲間と協力して自分たちの基地を作り上げていました。

ダンボールと絵の具で自由に、真剣に遊びます。壊しても汚れても、何があっても今日だけは怒られません

ダンボールと絵の具で自由に、真剣に遊びます。壊しても汚れても、何があっても今日だけは怒られません

頭の中の設計図通りの基地を作るには、取りかかりが肝心。バランスと重さを考えて慎重にスタート

頭の中の設計図通りの基地を作るには、取りかかりが肝心。バランスと重さを考えて慎重にスタート

材料はダンボールとガムテープだけ

私も6歳の息子と基地作りに挑戦!大きいのに軽く、丈夫なのに取り扱いやすいダンボール。簡単に大きな建物が出来るので、次は窓をつけよう、屋根を塗ろうと次々イメージが膨らみ、子どもそっちのけで夢中になってしまいました。息子のほうは建物の壁に絵を描いたり、小物を作ったりしたあとは、会場でできたお友だちとすっかり仲良くなって遊んでいます。

「僕らが注意する事は、刃物の取り扱いと道路の飛び出し。それから絵の具の無駄遣いですね(笑)。あとは大人も子どもも好き勝手やって!」(塚越さん)

子ども原っぱ大学は、身近な自然を使った親子の遊びイベントを企画・運営しています。この「ダンボール秘密基地づくり学科」は人気の定番イベントですが、今回が都内初開催だとか。ほかにも、たき火を囲みながら手作り望遠鏡で天体観察をする「星空マイスター学科」や、子どもたちが一眼レフのマスターを目指す「ホンキのカメラ学科」などユニークなイベントがいっぱい。親が子どもに「教える」のではなく、親子が一緒に夢中になって最高の時間を味わってもらいたい、そんな思いで活動しています。

取り扱いに注意することを約束して、子どもたちもダンボールカッターを手に取り組みます

取り扱いに注意することを約束して、子どもたちもダンボールカッターを手に取り組みます

こちらはカフェ風基地。ほかにも一軒家やドーム、お茶の間風など個性あふれる基地の数々が建ち並びました

こちらはカフェ風基地。ほかにも一軒家やドーム、お茶の間風など個性あふれる基地の数々が建ち並びました

軽トラックなど車4台で運んだダンボールと30ロールのガムテープは、ランチ前にはすっかりなくなり、空き地に巨大な街が現れました。

商店街をあげて参加者を歓迎!

ランチには、松陰神社通り商店街の自慢の惣菜を集めた「松陰神社前スペシャルお弁当」が登場。商店街の方々が見守るなか、基地やダンボールの山の上など、思い思いの場所に座り、街の愛情が詰まったお弁当をほおばりました。

この空き地での基地作りは、子ども原っぱ大学と松陰神社通り商店街組合の若手メンバーによるユニット「良鳩部(イーハトーブ)」の出会いにより実現しました。良鳩部のメンバーは、串揚げ店「どんからり」の湊文武さん、カフェ「STUDY」の国本快さん、「商アリク」の廣岡好和さん、不動産会社「松陰会館」の佐藤芳秋さんの4人です。

「商店街の活性化は子どもがキーと考え、親子イベントの開催を続けています。子どもの声は人を集める力を持っていますし、昔のようにお店と子どもが関わり合える日常を取り戻すことが商店街のにぎわいの源になるんです。イベントを契機に商店街の横のつながりも強めたいと考えています。」(良鳩部:佐藤芳秋さん)

松陰神社通り商店街の愛情いっぱいのお弁当。これに加えて温かいスープが配られました

松陰神社通り商店街の愛情いっぱいのお弁当。これに加えて温かいスープが配られました

左から国本さん、湊さん、佐藤さん、廣岡さん。良鳩部はこの街を理想郷に、という思いから名付けられました

左から国本さん、湊さん、佐藤さん、廣岡さん。良鳩部はこの街を理想郷に、という思いから名付けられました

街の景色を作った気持ちが街への愛着に

これまで良鳩部では、空き地でのバーベキューなどさまざまな親子向けの催しを企画してきましたが、今回のコラボでは、子ども原っぱ大学が持つ原っぱ遊びのノウハウによりダイナミックな催しにすることができ、層の厚い親子ネットワークを通じて参加者を募れたことで、地元以外の人にも松陰神社の魅力を紹介することができました。

ランチを終えると基地作りもラストスパート。通りかかった地元の親子連れが飛び入り参加したり、商店街の人たちが見物に来たりと、空き地のまわりもますます賑わってきます。

そして、午後2時半、基地作り終了! 銭湯の煙突を背景にした基地の姿はまさに要塞!自分たちで作った大きな作品に感慨もひとしおです。そして充実感と共に胸に残ったのは松陰神社の街への親しみ。街の景色に主体的に関わる経験をしたこと、親子で思いを共有したことが街への愛着を深めたようです。これはお祭りとは違う街の活性化へのアプローチと言えそう。子ども原っぱ大学と松陰神社通り商店街のコラボ企画はこれからも続くとのこと。この街のファンがますます増えそうな予感です。

子ども原っぱ大学の代表、塚越暁さん。「子どもと遊ぶって楽しいな」という父親としての気づきが活動の原点

子ども原っぱ大学の代表、塚越暁さん。「子どもと遊ぶって楽しいな」という父親としての気づきが活動の原点

空き地の入口。完成後30分で街は跡形もなく消え、ダンボールはリサイクル工場へ運ばれて行きました

空き地の入口。完成後30分で街は跡形もなく消え、ダンボールはリサイクル工場へ運ばれて行きました

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世田谷くみん手帖編集員

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