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このひとの世田谷

世田谷の街に根ざした活動・取組みを行う人や、世田谷で活躍する「このひと」のインタビュー。それぞれの想いがある世田谷のお話。

2026.08.25

尾山台 まちを柔らかく照らすひと 「タタタハウス」森 美恵子さん

尾山台の商店街に佇むタタタハウスは、地域の人がふらりと立ち寄り、思い思いの時間を過ごせる場所です。その空気を形づくっているのが森 美恵子(もり みえこ)さん(以下、美恵子さん)です。訪れた人へ美恵子さんのさりげない声がけはタタタハウスの存在そのものです。

店内が見渡せるカウンターが美恵子さんの定位置

変わっても変わらないタタタハウス

尾山台の商店街は、石畳と街路樹が続く約350メートルの通りに約150店舗が並び、地域生活を支える場所です。その一角にあるタタタハウスは、昭和33年創業の「タカノ洋品店」が前身です。三代目の高野 雄太(たかの ゆうた)さんが、商店街のチェーン店化への危機感から「地域の人がつながれる拠点をつくりたい」と考えました。 その思いを形にするため、「おやまちプロジェクト」※1の活動を土台に2022年にリノベーションし、タタタハウスが生まれました。

二代目美恵子さんと三代目の高野 雄太さん

 

2階には東京都市大学 坂倉 杏介(さかくら きょうすけ)教授のコミュニティマネジメント研究室が入り、「おやまちリビングラボ」※2として、地域課題を学生とともに考える拠点になっています。
歩行者天国で人工芝を敷く社会実験や、小学校とのマルシェなど、まちの挑戦がここから広がっています。

タタタハウスを訪れる人に寄り添った品物が揃っている

 

1階にはカフェスペースや文具、学校用品が並び、洋品店時代から続く、お客さまとお茶を飲みながらゆっくりおしゃべりする空気がそのまま残っています。美恵子さんは「洋品店でお茶を出していた頃と気持ちは何も変わらない」と語ります。

入口の大きなガラス戸からは、カフェの灯りや店内の様子がよく見えます。おしゃべりしている様子や子どもが遊ぶ姿がそのまま外に伝わり、タタタハウスの居心地の良さが商店街ににじみ出ています。

明るい日差しの中、笑い声が響く

 

みんなのオアシス

高齢の常連客は、約束するでもなく、互いにタタタハウスに行けば誰かいるだろうと思って来るそうです。独り暮らしで家では話し相手がいない人も、ここでは自然に会話が始まり、近所の店での買い物やお寿司屋さんの話、戦争時代の話など、話題は尽きません。

常連客の山本 絹代(やまもと きぬよ)さんは、足が弱り座骨神経痛で立てずに這っていた時期があったそうです。見かねた友だちに誘われてタタタハウスに来てみると、気持ちがすっかり楽になったと語ります。 「お店にひとりで入れない私にとって、ここはオアシスだよ」と話す山本さん。
「(先日も)小さな子どもたちとおままごとをして、とても楽しかった。まるで昭和みたいだよ。ここがなくなったら本当に困る」(山本さん)

この日、訪れていた常連さんは、左から山本 絹代(やまもと きぬよ)さん、高橋 玲子(たかはし れいこ)さん、伴野 典子(ともの のりこ)さん

 

伴野 典子(ともの のりこ)さんは「ここに来るといろんな人と話せるから、しょっちゅう来ている」と話します。
「おやまち暮らしの保健室」※3なども開催されており、高齢の常連さんやファミリーもいて、お互いに健康を確認しあう関係が生まれています。

奇跡の繋がりがうまれる

タタタハウスには、さまざまな人が訪れます。 「おやまちパパ・ママ‐つむぎ‐会」※4は、子育てひろばです。赤ちゃんがごろんとできるように、棚のパレットをステージに組み替え、絵本やおもちゃもたくさん置き、ゆったり過ごせるようにしています。

外国につながる親子のサロン「おやこサロン ぱすれる」※5では、言葉や文化の悩みを共有し、数か国語で絵本を読み聞かせしたり、ゆるやかに交流します。日本の親子も参加でき、自然に仲良くなれる場です。体操着や上履き、学用品の持ち帰りなど初めての文化を知る親子も多いそうです。

おやまち暮らしの保健室 案内( PDF)

また、子育て中のママが美恵子さんに相談し、夢だったお弁当販売※6やケーキ販売※7、手作り品販売を始めたりと、やりたい事を実現する場所となっています。

タタタハウスでの様々な活動は、貸し切りにせず通常営業の中で行われます。そのため、特定の仲間同士が集まるだけでなく、常連さんや立場も年齢も異なる人たちが出会い、気づくと0歳から90歳代までが奇跡のように混ざり合う場になっています。そうして尾山台のまちでは、道行く高齢者と親子が自然と挨拶し、世間話をするような関係が出来ていくきっかけとなっています。

尾山台をゆたかに照らす場所

おやまちリビングラボでは、映画部、読書会、ランニング部など、誰かの「やってみたい」から始まった部活動※8があり、イベントも盛んで交流の機会がたくさんあります。仲間入りしたい。おしゃべりしたい、困った時に相談する人が欲しい。その入口にタタタハウスと美恵子さんがネットワークのハブとなり、どんどんコミュニティと繋げていきます。

「まちの高齢の方と親子世代が自然につながるようになったのが嬉しい。みなさんが長く元気でいてくれること、子どもたちがすくすく育つことが一番の願いです」 (美恵子さん)
美恵子さんは、地域の人の健康や成長を何より気にかけています。

タタタハウスの大きなガラス戸からは、いつも美恵子さんやまちのひとびとの笑顔が見え、尾山台のまちを明るく照らしています。

66年前から尾山台で親しまれている「タカノ洋品店」。柔らかい灯りの下、美恵子さんや常連さんたちの笑い声は、尾山台のまちを明るく照らし続けています。

※文中補足

※1 「おやまちプロジェクト」

おやまちプロジェクト(2017年発足)
尾山台小中学校・東京都市大学・商店街・地域住民が連携し、地域に垣根を越えたつながりをつくることを目的に始まった取り組み。 歩行者天国を活用した路上ゼミ(累計100回以上)、小学校とのマルシェ企画、カレー食堂やフードパントリーなど、 日常の中で人が出会い、助け合う仕組みを育ててきた。
HP https://oyamachi.org/

※2 「おやまちリビングラボ」(2022年開設)

正式名称は「東京都市大学ウェルビーイング・リビングラボ研究ユニット」。
タタタハウス2階を拠点に、学生が地域課題を研究しながら、 高齢者の健康相談、子育て支援、部活動(映画部・読書会など)を行う“地域の実験室”。 おやまちプロジェクトの活動基盤を引き継ぎ、 多世代が混ざり合う尾山台のコミュニティを支えている。
HP https://livinglab.oyamachi.org/

※3「おやまち暮らしの保健室」

タタタハウスで行われる「病院に行くほどではないけれど、暮らしの中で悩みについて相談できたり、多様なまちの人々と交流ができたりする、誰もが日常的に気軽に立ち寄ることができる“まちの保健室”。
HP https://oyamachi.org/1451/

・看護師 常駐DAY(毎週水曜日)
・コーヒーと血圧計(月1回)
・縁側カフェ(認知症カフェ)(毎月第3金曜)

※4 ・おやまちパパ・ママ会―つむぎー(毎月第3月曜)
Instagram https://www.instagram.com/oyamachi.oyako/

※5 ・おやこサロン ぱすれる(月1回)
Instagram https://www.instagram.com/passerelle.lily/

※6「モメコ弁当」

Instagram @momeco_bento

※7「Bake Shop Kuu 」

白砂糖を使わないオーガニックチョコなど素材にこだわったやさしいお菓子。
Instagram @KUU39_39

※8「おやまだい部」

すきでつながる すきにつながる 尾山台の部活動
Instagram @oyama_dive

 

施設概要

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紹介者プロフィール

写真

ハイコラ

ママさんライター

子どもからシニアまで支え合える地域づくりを目指し、「おむつ替えMAP」の制作、「三茶テイクアウト」、「松陰通りテイクアウト」WEBサイト制作、「せたがやこども弁当」等の、親子と地域を繋ぐ子育て支援活動しています。

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