2021.12.15
砧公園 だれもが楽しめ、遊べるで進化し続ける「みんなのひろば」
都立砧公園内に2020年3月にOPENした、遊具広場「みんなのひろば」。公園のユニバーサル化を推進してきた東京都が全国に先駆けて、だれもが当たり前のように利用でき、共に楽しめる遊び場、第1号として整備されました。先駆的な取り組みと注目される「みんなのひろば」は、遊びを通して、様々な子ども達の「やりたい」と「たのしい」を叶える為に、進化し続けています。
世田谷で行われたイベントやワークショップなどの体験レポート。くみん手帖編集部およびくみんライターが参加した感想や、当日聞いたお話、エピソードなどをご紹介。
自家製ぬか漬けに興味はあるものの、家庭にぬか床がなかった私にとって作り方や保管方法、毎日のお手入れなどわからないことばかり。一人でぬか漬けに挑戦するのは敷居の高いことでした。ところがご近所でぬか漬け講習会を開催している「ぬか漬けマラソン」の存在を知り、さっそく参加してみることに。ぬか床を作るだけではなく、ぬか漬けのしくみを楽しく学べる講習会の様子をレポートします。
(くみん手帖編集部/山本多恵子)
ぬか漬けマラソンは、世田谷区内の施設やカフェ、個人宅などキッチン設備のある場所で不定期に開催している、ぬか床づくりのワークショップです。この日は、主宰のおかべなおえさんのご自宅で行われました。
あらかじめ用意するのは、容器と捨て漬け用の野菜、塩や赤唐辛子など家にあるもの。生ぬかは、おかべさんご用達の山形県大蔵村産の無農薬のものを使用します。「生ぬかを食べたことありますか?」の質問に、首を横にふる私たち。「どうぞ食べてみてください」と言われて口に含むと、ぬか漬けのイメージとは違って、きなこのような味わいに「甘い!美味しい!」の声が。
さっそくぬか床づくりに取り掛かります。作業は思っていたより簡単で、生ぬか、塩、水を混ぜるだけ。静かに混ぜないと、生ぬかがふわふわと舞うため、優しくゆっくり混ぜていきます。均等に混ざったらしっとりとした手触りのよいぬか床ができあがりました。
そこに、各自持参した捨て野菜やとうがらし、昆布を入れてぬか床づくりは終了。あとは自宅で2~3日後の天地返しや捨て野菜の入れ替えを行いながら20日間ほど(季節によって捨て漬け期間は変わります)ぬか床内の乳酸菌が増えるのを待ちます。すぐにぬか漬けライフが始まると思っていましたが、そこは良いぬか床を育てるために我慢。
エプロンシアターという言葉をご存知でしょうか?子どもに話を聞かせる手法のひとつで、話し手が舞台となるエプロンを着用し、ポケットから動物や食べ物のキャラクターが登場する人形劇のこと。おかべさんは、お手製のエプロンシアターの手法で、ぬか床の中で何が起こっているのか、発酵の仕組みを教えています。どんな菌が育ちどのような働きをするか、菌の種類によって好む場所が違うことなど、小さな世界の仕組みをわかりやすく学ぶことができました。
「ぬか床の作り方やテキストだけでは、ぬか床の仕組みがわかりにくく、日々のお手入れの目的が伝わらないと思いました。視覚で覚えてもらうためにエプロンシアターを使っています。仕組みがわかると初心者でも失敗が少ないと思うんです」(おかべなおえさん)
おかべさんのぬか床を使い、下ごしらえのポイントと、実際に漬けた食材を取り出しながら仕込みのポイントを実演。定番のきゅうりやにんじん、なすの他にこんにゃくや高野豆腐などの変わり種も。家庭用の小さなぬか床にこんなに食材が入るの!と驚くほどお皿いっぱいのぬか漬けがテーブルに並びました。一夜漬けから長いもので2週間以上漬ける食材も。出てくる食材一つ一つに「どのくらいの期間漬けるんですか?」など家での実践に備えて質問が飛び交います。
時間はすっかり正午をまわり、お腹もすいてきたところでランチタイムに。おかべさんお手製のぬか漬けで、化学調味料が入っていない素材そのものの味を美味しくいただきました。食感の違いでいろいろなぬか漬けが作れると実感。食事の際も参加した皆さんと、上手に漬けるコツ、何を漬けてみたいかと漬け物の話で盛り上がります。漬かり過ぎた古漬けは、旨みをたっぷりすっているので「漬け物出汁」にするのがおすすめだそう。塩分が強い場合は、30分~1時間ほど塩抜きした後で、スープの出汁やチャーハンの具材に使ってもよいのだそうです。
受講した皆さんからは、ぬか漬けの味や相談以外に、家族とのぬか漬けライフについてうれしい声が寄せられるそうです。
あるお母さんは、ぬか床を混ぜているとお子さんが「混ぜているでしょー!」と駆け寄ってきて、興味津々にその様子を見ているとか。そうしてお母さんが作っている姿を見ているので、食卓に上がったぬか漬けも美味しく食べてくれるのだとか。野菜嫌いのお子さんがぬか漬けなら食べてくれることもあるそうです。
「毎日ぬか床のお手入れをしていると、祖母が『大事にしているかい』と語りかけてくれてるような気がします。大事にというのは、ぬか床だけではなく家族の健康だと感じます」(おかべさん)
受け継がれる家庭の味は少なくなりましたが、ぬか漬けを通した家族の姿は今も昔も変わらないのではないでしょうか。講習から1ヶ月、我が家のぬか床も元気に育っています。
この記事に関連するタグ:ぬか漬け, ぬか漬けマラソン, 漬け物, 発酵食品
宮城県生れ。世田谷在住。Web制作、アクセス解析が得意です。宮城県気仙沼市の食材を取り寄せ、郷土料理を作る「スローフード部」を定期的に開催しています。場づくりにも興味津々。世田谷と気仙沼をつなげること活動を日々模索しています。
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