東京2020オリンピックのメイン会場を開放
小田急小田原線「千歳船橋駅」から歩いて15分のところにある馬事公苑。面積は約18平方メートルと、東京ドーム4個分の広さを誇ります。1940(昭和15)年の開苑以来、馬事振興、乗馬の普及や人材の育成に活用され、1964(昭和39)年東京オリンピックでは馬場馬術競技の会場となりました。世田谷区民にとっては、毎年開催されている「せたがや ふるさと区民まつり」の会場としてもおなじみです。
馬事公苑がどう変わったのか。早速見ていきましょう。
新しくなった馬事公苑の苑内地図‘(地図内の番号と本文中の番号は対応しています)
苑内地図 PDF
正門を入ってすぐ左手にあるのは、東京2020オリンピックで使用された「メインアリーナ」。大会を機に国際基準の砂が撒かれており、今後も馬術競技のメイン会場として使われる予定です。競技会が開催されていない日でも、スタンドの観客席はいつでも利用OK。お弁当を食べながら、馬事公苑の歴史に思いを馳せつつ、術競技を身近に感じられる空間です。
大きく生まれ変わったメインアリーナ
正門のすぐ正面に広がるのは、広大な天然芝のはらっぱ広場(map①)。1964(昭和39)年の東京五輪で馬術競技の会場となった「グラスアリーナ」が前身で、ピクニックを楽しむファミリーで賑わっています。
はらっぱ広場。すぐ近くには遊具を備えた「子ども広場」もある
はらっぱ広場の右手に広がる武蔵野自然林(map②)は、散策が楽しいエリア。原生林がそのまま残されていて、手軽に森林浴気分を味わえます。ユニバーサルデザインに対応したフォレストパスを進むと、子どもたちの冒険心をくすぐるツリーハウスが見えます、通常は中に入ることはできませんが、今後のイベント時には開放が予定されているそうです。
再整備で伐採された木を使って作られたツリーハウス
このエリアには、石段にオリンピックの開催年と場所が刻まれたオリンピックテラスもあります。2020東京大会を踏まえた整備工事でこの石垣を一度解体し、誰もが登れるようにと再構築したのが、このオリンピックテラスです。
オリンピックテラスの隣には、2020東京大会の記念碑も設置されている
人が少ない穴場を発見!
広々とした放牧場や馬の練習場であるAスクエア(map➂)、Bスクエア(map④)を左手に見ながらさらに進むと、ナチュラルアリーナ(map⑤)が見えてきます。正門からは少し距離があるためか、比較的人が少なく静かに過ごせる穴場。ベンチに座って池を眺めながら、読書をしたり、考え事をしたりと、とっておきの場所になりそうです。
運が良ければ、トレーニング中の馬に会えることも!
芝生が広がるナチュラルアリーナ
ナチュアラルアリーナにある池の前には、屋根付きのベンチスペースがある
苑内の高台から見下ろした馬事公苑の風景
洋食レストランもオープン
メインアリーナの方に戻ると、四季折々の花々が咲く彩のこみち(map⑥)があります。木の丸テーブルとイスが並んでいるので、休憩スポットとしてもおすすめ。春になると桜が咲くそうで、楽しみですね。
彩のこみち。歩道が整備され、散策が楽しめる
メインアリーナに隣接して建つピカピカの建物はメインオフィス(map⑦)。1階には馬術関係の映像が流れ書籍が並ぶ「ホースギャラリー」や、ソフトクリームやコーヒーなどの軽食が楽しめる「カフェスタンド」、小さなお子さん連れの方が安心して利用できる「キッズコーナ・授乳スペース」があり、憩いの場となっています。そして2階には、以前の馬事公苑にはなかった本格的なレストラン「リナトキッチン」が誕生。今後はテラス席を設け、メインアリーナでの競技を見ながら食事が楽しめるようになる予定です。馬好きの方にはたまらない、特等席になりそうですね。
広々としたホースギャラリー。馬術をリアルに疑似体験できる「ホース シミュレーター」は、今後稼働する予定
リナトキッチンでは、旬の素材を使った体に優しい料理を提供
以上、新しく生まれ変わった馬事公苑をご紹介しました。うれしいのは、苑内のあちらこちらにベンチや椅子、小さな子どもの背丈に合わせた水飲み場が設置されていること。幅広い世代の方がそれぞれのペースで散策をしながら、自分だけのお気に入りの場所を見つける楽しみもあります。
なお、2023年12月8日〜10日には「第15回 JRA ジャパン ブリーディングホースショー」が開催されます。本格的な障害馬術競技を、間近で見られるチャンス。この機会に、出かけてみてはいかがでしょうか。
文 渡辺裕希子(合同会社まちとこ)
撮影 壬生マリコ