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あたらしい世田谷

世田谷区民に伝えたい「あたらしい動き」をくみん手帖編集部がご紹介。施設、イベント、取り組みなど遊びから暮らしに役立つものまで。

2024.10.31

世田谷区民会館 かつての趣ある空間を継承しながら、誰もが使いやすく新しく生まれ変わって、ついに完成!

日本を代表する建築家・故前川國男氏の設計による、当時最先端のモダニズム建築として、半世紀以上の歴史を持つ旧世田谷区庁舎と旧世田谷区民会館。老朽化に伴い、旧庁舎の建て替え工事と世田谷区民会館の改修工事が行われることになり、2021年の着工から3年、新しく生まれ変わった世田谷区民会館がついに完成しました。世田谷区の文化・芸術の拠点として、区民が楽しみ、交流できる場を提供してきた世田谷区民会館の新たな魅力についてお話を伺いました。

これまでの趣ある空間を継承しながら、最新の設備を完備

「新たな世田谷区民会館は、文化・芸術の拠点として様々な設備機能を充実させました。例えば、施設の機能面では可動式前舞台を設置しました。舞台の前一部の台形部分が昇降する可動式の前舞台を採用したことで、舞台面を広く利用することができますし、舞台として使わない時は座席になるという使い方もできます。他にも最新の音響設備を設置したり、舞台の音を客席に届きやすくするため開口高さを改修前より高くしています」(世田谷区生活文化政策部、文化・国際課、文化・芸術行政担当の押川雪華さん)

ホールの定員は933名(前舞台利用時902名)車椅子は最大24席設置できる

 

「ホールには新たに親子室も2室設置しました。親子室は個室なので、周囲に気兼ねなく親子でゆっくり観劇したい時などにご利用いただけます。ちょっと舞台から離れてしまうという難点もあるのですが、専用のモニターを設置して舞台を楽しめるようになっています」(生活文化政策部、文化・国際課、文化・芸術行政担当係長 中村雅美さん)

親子室の座席は2席

 

新たな世田谷区民会館は、客席の座席の幅、奥行きを従来よりも広げ、最新の設備で音の響きや遮音性能の向上を行うなど、機能向上を達成しながらも、これまでの旧会館のような懐かしさも感じます。その理由は、ホールの内装に、旧会館と同様に、折板構造の形状がそのままが活かされ、改修前の杉板型枠によるコンクリート壁面の模様を再現するなど、長年区民に愛されてきた旧会館の意匠デザインが引き継がれているからかもしれません。また、舞台や客席、天井から床まで、木材を多用しているため、ホール内は木の香りと温もりに包まれた心地よい空間となっています。

旧会館と同様に折板構造を活かした壁面

改修前より広くなった座席空間。座席の布貼りには区のシンボルであるケヤキの葉脈をイメージしたデザインがあしらわれている

楽屋は大楽屋、中楽屋、小楽屋の3つ。大楽屋と中楽屋は移動間仕切りにより1室を2室に分けて使用することも可能。小楽屋にはシャワーブースもある

 

新たに設置された練習室は、今が申し込みのチャンス

今回のリニューアルで注目したいのが、新たに設置された2つの練習室です。

練習室Aは定員40人 広々として天井がとても高い

練習室Bは定員20人 本格的なドラムセットやアンプセット、デジタルピアノを完備(有料附帯設備器具)

 

これらの設備は区民もすべて利用することができます。(区外の方は料金が少し割増に)
「練習室Aは広くて天井が高く壁一面が鏡張りになっているので、ダンスやバレエの練習に最適です(バレエバーの貸出もあり)。練習室Bはドラムセットやキーボードなど本格的な音楽機材がそろっているので、あらゆる音楽活動に利用できます。これらの部屋は公演前のリハーサル室としても利用することができ、舞台袖までの出演者動線も確保されています」(押川さん)

団体の利用だけでなく、もちろん個人の利用も可能です。
「家だと大きな音を出して練習するのが難しいからと親子でバイオリンの練習で利用された方もいました。これらの練習室は周辺の区でもめずらしい施設なので、ぜひたくさんの区民の方々に利用してほしいと思います」(中村さん)

練習室は新たに完成したばかりで、まだ空きがある状態だそうです。今がお申し込みのチャンスかもしれません!

集会室もリニューアル。プロジェクターやスクリーンなどを備え、講演会や会議のほか展覧会などでも利用できる

 

旧会館のシンボル的な階段を再現

エントランスホールには旧会館のシンボル的な存在であった大階段が復原され、当時の趣を感じさせます。

階段には赤絨毯も敷かれている

 

エントランスホールには旧第1庁舎の階段壁にあった故大沢昌助氏デザインのレリーフを約7割に縮小して復原しました。レリーフの裏側には、前川ギャラリーとして、旧区民会館や旧第一庁舎、第二庁舎の設計者である故前川國男氏や故大沢昌助氏に関わる資料を展示しています。

この柄どこかで見た覚えがある…という方も多いのでは?

 

他、2階ホワイエの展示スペースでは世田谷美術館の美術品を展示しています。世田谷区が所有している世田谷美術館の所蔵品を気軽に観られるようにしたい、という区長の思いから展示しているそうです。

展示物は年に2回入れ替え予定。取材時には北大路魯山人と人間国宝である原清氏の作品が並んでいた

耐震性を高めるため、区民会館では既存躯体の耐震補強を行い、新庁舎では免震構造を採用した。地震発生時に免震構造が働くと、床の一部(エキスパンションジョイント)が動くため、安全性に配慮して、床が動く範囲は素材の色を変えている

 

広々としたラウンジは区民の憩いの場に

2階にはラウンジがあり、今後の活用を検討しています。
「今年度はホールでイベントがある時にカフェスペースとして利用してもらっていますが、ラウンジでのコンサートの開催なども予定しています」(中村さん)

全面ガラス張りの窓からは3期工事終了後に旧会館を継承した緑豊かな庭園が望める予定

 

1階エントランスホールに続き、半地下の階には広々とした共用ペースがあり、誰もが自由に利用することができます。
「親子連れの方が寛ぎに来たり、友人同士で談笑されたりしている姿などをよく見かけます」(押川さん)

旧区民会館の地下にあった「レストランけやき」の跡地も天井の高い広々とした憩いの場に

取材に答えてくれたのは、世田谷区生活文化政策部、文化・国際課、文化・芸術行政担当 押川雪華さん(左)と係長 中村雅美さん(右)

 

新しく生まれ変わった世田谷区民会館は、最新の設備や耐震性を備えながらも、旧会館の良き趣きを活かし継承された施設でした。フリースペースもたくさんあるので気軽に立ち寄りやすく、区民の憩いの場にもなりそうです。

今後、二期工事では東棟にレストランや屋上庭園が完成予定です。三期工事が終了する頃には中庭や池、西棟の屋上庭園も完成予定とのこと。ますます開放的で活気のある空間になっていきそうです。

なお、現在、新しくなった世田谷区民会館の愛称募集をしています(2024年12月15日必着)。生まれ変わった世田谷区民会館にふさわしい愛称をあなたも一緒に考えてみませんか?

 

◎世田谷区民会館愛称募集(応募先)

https://www.city.setagaya.lg.jp/02408/15889.html

担当 世田谷区文化・国際課 文化・芸能行政担当
電話 03-6304-3427

 

写真/壬生マリコ(合同会社まちとこ)

一部写真提供(世田谷区・(株)世田谷サービス公社)

施設概要

  • 東京都世田谷区世田谷4-21-27
    住所: 世田谷区世田谷4-21-27
    電話番号: 03-5452-2837
    営業時間: 9:00~22:00
    定休日: 休館日 原則毎月第2・3月曜日、12月第3土曜とその翌日(予備日:1月第3土曜とその翌日)、年末年始(12月28日~1月4日)

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合同会社まちとこ

「まちとこ」は様々な得意分野を持ったプロフェッショナルな女性6人の編集・デザインチームです。「楽しい」「心に届く」を大切に、デザイン、編集、撮影を請負い、自ら商品制作、情報発信しています。

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