8月15日、終戦記念日。せたがや未来の平和館に、小学生のRさん(仮名)親子と訪れました。Rさんは、世田谷公園には何度も遊びに来たことがあるそうで、その建物は知っていましたが、入るのは初めてです。

世田谷区平和資料館前で、マップを手に楽しみな様子
池尻・下馬地域の軍事施設をめぐるウォークラリー
夏休み期間の特別企画で、軍事施設跡を見て回わるウォークラリーが開催されているということで、参加しました。館内に入り、受付窓口からマップをいただきました。

池尻・下馬地域 ウォークラリーAマップ
まずは、池尻方面に向います。最初のポイントは「池尻神社」です。「246号から鳥居がみえる神社ですよね。」とお母さん。すると、神社の東側にある入り口脇に、ラリークイズの設問になっている「薬水の井戸」を発見!マップに記載の「駒沢練兵場」の「簡易排水施設跡」も見つけることができました。

薬水の井戸を発見
Rさんが「神社の中も見てみたい」ということで、神社の中をゆっくり見て回ることにしました。たくさんの車が通る国道246号線に面しているとは思えないほど静かな境内。木々に囲まれ、涼しい風が吹き、とても心地よい場所です。「遠出しなくても世田谷には、まだまだ知らない素晴らしいところが沢山ありますね。」とお母さんも楽しんでいます。お参りをして、絵馬に書いてあることを読んで、ゆっくりとした時間を過ごしました。
「じゃ、次に行こうか!」と気分が変わった所で、次のポイントへ出発。住宅街を少し進むと、学校法人食糧学院の前にたどり着きました。学校を挟んで、左右に道が分かれています。東側の道を進むとすぐ左手に、突然巨大な施設が現れました。

突然住宅街に現れる巨大な建造物に驚く
「ここは何?」と驚くRさん。お母さんとウォークラリーマップで確認すると、そこは戦時中の「陸軍糧秣廠(りょうまつしょう)」とあります。馬の食料倉庫だったそうです。建物は100mも続いていて、ものすごい迫力です。「ここに馬がいたの?」と聞くRさんに、お母さんが「馬の餌をここに保管していたの。こんなに広いところに置くぐらい、たくさんの馬がいたってことだね。」と当時を想像しました。

構造も露わで、柱も少ない大空間
ウォークラリーでは他にも、陸軍用地の大きさがわかる境界石や兵舎など、今に残る戦時中の痕跡を確認することができました。
せたがや未来の平和館に戻りました。館内の展示室に入ると、たくさんの写真や展示物が所狭しと並んでいます。

当時の写真から、何が起こっていたのか考える
見たことが無いものばかりが並び、これは何?これは何?とたくさん疑問が出てきます。

玄米を一升瓶に入れ、棒で3時間突いて精米していた

物資がひっ迫して革がなくなり、鮭の皮で作られた靴

学童団体疎開の写真は区内の小学校名の記載があり、身近に感じられました

市民用の防毒マスク

世田谷平和資料館館長からお話しを聞く
お母さんやスタッフの方に説明してもらいながら、ゆっくりと見て回りました。展示の最後の壁には、昔から現在までの戦争の年表が掲示されています。お母さんが「戦争は今もおこっているんだよ。」と伝えていました。見学を終えたRさんは「ボロボロのワンピースを見て、とても怖かった。戦争は嫌だと思いました。」といいます。

焼け焦げたワンピースの展示の前で長く考えていたRさん
せたがや未来の平和館は、子供たちの楽しそうな声がたくさん聞こえる公園の中にあって、ミニ上映会やライブラリー、展覧会や読み聞かせやクイズラリーなど様々な趣向を凝らしています。展示は、身近なものも多く、今子供たちが通っている小学校の戦時中の様子なども見ることができます。
このせたがや未来の平和館が、こどもたちの大好きな世田谷公園の中にある、ということに大切な意味があるようにも感じます。世田谷公園に行かれた際に、何気なく、せたがや未来の平和館を訪れてみませんか。子供達と未來を考えるきっかけになるかもしれません。