2021.09.09
下北沢 屋外のピアノコンサート、人の出会い・交流するシモキタまちピアノ
再開発でますます活気づき、新しい顔を見せる下北沢。その駅前近く、ビルのオープンスペースにある誰でも弾けるピアノは、行き交う人々に憩いのひとときを奏でてくれます。
世田谷での暮らしを、よりよいものにするための情報。区民の衣食住に関わる取り組みやサービス、町の景観、子育て、町づくり、多世代交流の話など。
尾山台のハッピーロード商店街にある「パイ焼き茶房」は、カフェと洋菓子販売の店です。材料にこだわったランチやケーキが人気で、お昼時はこども連れのおかあさん達や中高年のグループ、近所にお勤めの人で大賑わい。一見商店街にある普通のカフェですが、実はここ、障害のある人が就職や自立した生活を目指す、自立支援の作業所でもあるのです。ここで販売されている洋菓子は、近くの「パイ焼き窯」という製造所でつくられていて、こちらもやはり就労支援事業所のひとつ。今回はその「パイ焼き茶房」と「パイ焼き窯」を紹介します。
「パイ焼き茶房」に入ると正面はケーキのショーケースのある洋菓子販売コーナー、右手はカフェコーナーで壁面は月替わりのギャラリーになっています。今月は近所の幼稚園児のかわいい絵がかかっていました。
昼時はいつも満員の「パイ焼き茶房」、その人気の理由は何なのでしょうか。パイ焼き茶房の生活支援員の名古屋靖子(なごややすこ)さんが、そのこだわりを教えてくれました。
「とにかく食材に気を使っています。野菜は、区内の農家や市場から直接仕入れた新鮮なものですし、お菓子に使うバターなども最高級のもの。また、調理の下ごしらえに手間をかけるなど、細かい工夫が味の違いになってご好評いただいているのだと思います」(名古屋さん)
ランチの一番人気はカレーにレモン果汁をたっぷりかけて食べるレモンカレー、レモンの酸味がさわやかです。飲み物のメニューでは、黒豆のジュースという甘酸っぱいオリジナルジュースがあり、ホット、アイスともにちょっと癖になる味。老若男女問わずに根強い人気があるそうです。10時と14時に焼き上がる温かいアップルパイも人気です。また、カフェで働く障害者を支えるために、ここでは多くのサポーター(ボランティア)が仕入れや調理などでカフェの運営を支援しています。
「サポーターの数は中高生の体験学習なども含めると年間数百名にもなります。障害者は職員やサポーターの支援を受けながら、お客さんの注文をとり、コーヒーをいれたり、ランチを運んだり、洋菓子を販売したりしてカフェの仕事をしています。障害者の数は今は15名で、3つのシフトに分かれて働いています。」(名古屋さん)
「パイ焼き茶房」の洋菓子は「パイ焼き窯」という別の作業所に所属している障害者が作っています。「パイ焼き窯」の管理者で就労支援員の鹿島法博(かしまのりひろ)さんに洋菓子づくりについて伺いました。
「ここでは約25名の障害者がパテシィエやサポーターの支援を受けながら、洋菓子を作っています。作業所で作っているからと侮らないでください。見た目は普通の洋菓子ですが、味はどれも本格高級洋菓子。その理由は3つのこだわりにあります。」(鹿島さん)
「1つめのこだわりは、一流の材料を使っていることです。プロの菓子職人に負けないおいしい洋菓子を作るために、最高のものを使っているのです。パイ焼き窯では約70品目の洋菓子を製造していますが、保存料を使用せず、小麦粉は国産の無漂白粉、砂糖、黒糖も国産です。新鮮な地卵にチョコレートはベルギー産。コストは高くなりますが、『パイ焼き窯の洋菓子はおいしい』と評判になりお客さんのリピーターができることで、作っている障害者の大きな喜びとなり、働くことの意識向上につながるのです。」(鹿島さん)
「パイ焼き窯の2番目のこだわりは作業工程にあります。最初から最後まで手作りにこだわり、機械は使用していません。機械で製造したお菓子は画一的な味になりますが、手作りのお菓子は材料本来の味が出ます。
『本日の菓子作り』とホワイトボードに書かれた指示を見て、障害者は自分の得意な菓子を選択し、自分で作ったレシピ(材料と重さ)を作ります。流れ作業や分業は一切せず、材料の計量から形成まで、一連の作業を一人でこなすことに。
見て覚える、聞いてメモして覚える、くり返して覚える。習熟の度合いは一人一人違いますが、こうして商品に責任を持つことで、どんな仕事に就く場合にも必要な基礎力を身につけるのです。
パイ焼き窯ではパイ焼き茶房での販売のほか、イベントの特別注文や近所の飲食店に卸す分などで1日に30万円相当の洋菓子を作ることもあります。このように大量のお菓子を作る作業所は全国にも類を見ないそうです。」(鹿島さん)
「パイ焼き窯の3番目のこだわりは、地元・世田谷とのコラボレーションにあります。区内の果樹園で生産されたりんごやプルーンを使ってお菓子作りをしています。特にアップルパイは秋のリンゴの収穫とともに販売を開始し、収穫が終わると販売も終了するという数量限定のパイ。区内のりんご農家の方から収穫に来て下さいと直接連絡が入ります。大ぶりのアップルパイ、素材の味とせたがやの思いが詰まった逸品です。」(鹿島さん)
パイ焼き茶房の店内の壁面はレンタルギャラリーになっています。レンタル料は1ヵ月1万円ととてもリーズナブル。このギャラリーによって、店内の雰囲気が毎月ガラッと替わり飽きないと評判です。
また、毎月第3水曜日14:00~16:00には「パイ焼き茶房でサロン楽描(らくがき)と八百屋ジャズの歌声喫茶」が開催されています。中高年がなつかしい歌を皆で歌う会で、料金はお茶とお菓子付で900円。予約不要で誰でも自由に参加できます。
その他にも大テーブルを借りて絵画教室を開催している人がいたり、その横では普通にお茶しているお客さんがいたりと、とにかく老若男女、千客万来なのがパイ焼き茶房です。
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パイ焼き茶房
世田谷区等々力2-18-1
営業時間:10:00~19:00
定休日:日・祝
パイ焼き窯
世田谷区等々力2-36-13
電話:03-3702-0459
住所: | 世田谷区等々力2-18-1 |
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電話番号: | 03-3703-0415 |
住所: | 世田谷区等々力2-36-13 |
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電話番号: | 03-3702-0459 |
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