• HOME>
  • くらしの世田谷>
  • 新代田 小学校時代から続く地域との交流を引き継ぎ、新たなにぎわいを生み出す「まもりやまテラス」

くらしの世田谷

世田谷での暮らしを、よりよいものにするための情報。区民の衣食住に関わる取り組みやサービス、町の景観、子育て、町づくり、多世代交流の話など。

2023.06.07

新代田 小学校時代から続く地域との交流を引き継ぎ、新たなにぎわいを生み出す「まもりやまテラス」

環七沿いの京王井の頭線の新代田駅から少し入ったところに、小さな小学校の跡地があります。ここはかつて守山小学校でしたが、2016年に近隣の小学校と統合され廃校になり、その跡地を活用して2019年「まもりやまテラス」という複合施設に生まれ変わりました。施設立ち上げから運営に携わっている、世田谷区役所北沢総合支所地域振興課の渡邊健行さんと「まもりやまはたけ部」代表の清海敦子さんにお話をお伺いしました。

旧守山小学校の跡地を利用して作られた複合施設「まもりやまテラス」

 

小学校の跡地を、いつでもだれでも利用可能な場所としてリニューアル

「まもりやまテラス」は、外観は小学校そのままですが、中はおしゃれに改装され、地区会館、保育園、福祉作業所の3つの施設が入っています。そして、共有スペースである体育館(多目的室)や校庭(広場)、ロビーなどは、いつでも誰でも利用可能な場として開放しているというユニークな施設です。

「ここには2016年までの84年間、守山小学校がありました。守山小学校は環境学習に力をいれていて、自然観察会やビオトープ作り、風力発電、屋上緑化活動などが盛んでした。また、校庭の一角にウッドデッキを作って地域の方々の憩いの場として開放するなど、地域交流の拠点としても親しまれていました。そんな経緯から、2012年に小学校統合の話が持ち上がった時、地域の方々から「この居場所を残してほしい」という要望がとても多かったのです。そこで、今までの地域との関係性や学校への想いを引き継ぎ、地域の方々が運営に関わることのできる拠点として、今の「まもりやまテラス」ができたのです」(渡邊さん)

取材した日の午前中、広場では保育園の運動会の練習が行われていた

 

「まもりやまテラス」の利用方法は3つ。地域の方々の個人利用、「まもりやまテラスの会」への団体登録、けやきネットによる利用です。団体として利用する場合は事前に登録する必要がありますが(有料)、個人利用の場合は、原則事前予約なしで無料で利用できます。

「誰でもふらっと入ってきてOKな場所として、ロビーでは散歩の途中に立ち寄って一休みや友達とお茶をしたり、パソコンを持ち込んで仕事をしたり、地域の方々に自由に利用していただいています。鏡が一面に貼られた第1会議室はダンスや演劇の練習、リトミック教室などに使われることもあります。また、夕方になると、体育館や校庭は近隣の学校から集まった子どもたちで賑わいます。利用に関して最低限のルールはありますが、基本は譲り合いの精神を大切にしています」(清海さん)

福祉作業所「まもりやま工房」のコーヒーやお菓子が販売される「美まもりやまカフェ」にはたくさんの地域の方々が訪れる

 

地域住民ならだれでも参加できる部活動も盛ん

さらに、「まもりやまテラス」にはいつでもだれでも気軽に参加できる「部活動」というユニークな定期活動もあります。

「部活動は、事前に連絡さえいただければ誰でも参加できます。はたけ部や盆踊りの会、盆栽クラブ、フロアボールSCなどがあり、特にはたけ部は“子どもに土で作物を育てる体験をさせたい”というご家庭から人気です。会費もひと家庭年間1,000円(家族なら何人でもOK)と激安ですから(笑)。コロナ前は収穫した野菜をみんなで調理室で調理して食べたりしていました」(清海さん)

野菜の成長に合わせて、月2回程度活動。他、裏庭にはブルーベリーやみかんの木があり、当時子どもたちから「フルーツランド」と呼ばれていたそう

 

部活動では地域の方々の「こんなことやってみたい!」という声を随時募集しており、最近では大学生たちがビーチボールバレーの部活動をはじめたそうです。

「近所に住んでいる大学生がたまたま散歩中にここを見つけてくれ、「いつでもだれでも気軽に参加できる」というコンセプトとビーチボールバレーの特徴が一致すると立ち上げました。ビーチボールバレーのボールはビニール製なのでとても柔らかく、あたっても痛くないしネットも低いので、小さい子どもから大人まで幅広い世代が楽しめるそうです」(清海さん)

鮮やかな色の壁がおしゃれな多目的室。9:00〜17:30までの間はいつでも誰でも利用可能

 

大切にしたいのは、地域との繋がり、地域の活性化

「まもりやまテラス」では年に1回イベントも開催しています。去年開催した「ワクワクDAY」では、26団体が参加してスポーツ体験や手作りの石鹸作りなどの楽しいモノづくり体験を行い、500人ほどの来場者でにぎわったそうです。

世田谷区役所北沢総合支所地域振興課係長の渡邊健行さん(左)と「まもりやまはたけ部」代表の清海敦子さん(右)

 

「私たちが大切にしたいのは、地域の方たちとの繋がりです。ここを拠点に多くの世代の地域の方々が繋がって、地域がにぎやかになってくれるのが一番の願いです」(渡邊さん)

「このあたりは環七と下北沢に挟まれた地域で、商店街やお店など人が集まれる場所があまりないので、旧守山小学校はみんなが子どもと一緒に集まれる数少ない居場所のひとつとして地域に根付いてきました。そのせいか卒業生や保護者の方もこの学校に対する愛着がすごくあるんです。小学校はなくなってしまっても、その居場所や思いを「まもりやまテラス」として継承して小学校時代から続く地域との交流や賑わいを作っていき、さらにそこに若い世代がどんどん入ってきて地域が盛り上がってくれたらいいなと思っています。「まもりやまテラス」では誰でも参加できる定例会を毎月開催しているので、興味のある方はぜひ参加してよりよい運営方法を一緒に考えていただけたらうれしいです」(清海さん)

旧守山小学校の想いを引き継ぎ、新たに生まれ変わった「まもりやまテラス」。地域をつなぎみんなをワクワクさせるような場所として、これからも進化し続けます。

 

撮影 壬生マリコ(「美まもりやまカフェ」の写真のみ編集部撮影)

<まもりやまテラス>

住 所  世田谷区代田6-21-5
T  E  L   03-6407-1685
開館時間 9:00~21:30(多目的室は17:30まで個人利用、18:00から団体利用)
休館日  第2水曜日・第3日曜日、年末年始

 

この記事に関連するタグ:, , , , , , ,

紹介者プロフィール

写真

合同会社まちとこ

「まちとこ」は様々な得意分野を持ったプロフェッショナルな女性6人の編集・デザインチームです。「楽しい」「心に届く」を大切に、デザイン、編集、撮影を請負い、自ら商品制作、情報発信しています。

×

文字サイズ

  • 小
  • 中
  • 大