ぐるり世田谷

世田谷にはたくさんの「訪れたい場所」がある。古くから愛されてきたお店や、知る人ぞ知る穴場など、地元の情報をご紹介。思い出に残る昔の世田谷から今の世田谷まで。

2014.09.19

書くことが楽しくなる小さな原稿用紙「MEMO-GEN」

「MEMO-GEN」という140字詰めの原稿用紙をご存知でしょうか。紙やWEBのデザインを手がけるデザインユニット「PORT」が考えたオリジナル文具で、大きさは縦55mm×横172mmの小さな原稿用紙です。活版印刷で刷られた原稿用紙はかすれや凹凸がどこか懐かしく、筆をとるのが楽しくなるメモ帳。土日にはアトリエ兼ショップ&ギャラリー「FORT by PORT」として展示会やイベントを開催している事務所にお邪魔してきました。

140文字の原稿用紙「MEMO-GEN」

140文字の原稿用紙「MEMO-GEN」

Twitterから俳句や川柳、短歌まで

「PORT」が事務所を構えるのは、京王井の頭線池ノ上駅から徒歩3分ほど、味のある古い雑居ビルの一室。商店街には、昔ながらの八百屋や酒屋のほか、足繁く通うファンも多い隠れた名店が並ぶ街で、このビルの1階も今は大きなシャッターが閉まっているものの、昔は八百屋さんお肉屋さんや乾物屋さんがあつまる市場として賑わっていたそうです。

アトリエ兼ショップ&ギャラリーとしてオープンする土日には、シャッターの隣にある白いドアの横に「FORT by PORT」の看板が設置されます。築50年を超える建物は、外観だけでなく内装もノスタルジックな雰囲気。事務所内にある柱は太く、梁も天井から大きく張り出し存在感があります。

「PORT」は、ご兄弟でもある大竹雅俊(おおたけまさとし)さんと大竹雄亮(おおたけゆうすけ)さんの共同経営。独立する前からお互いのクリエイティブ論を語り合い、「こういうものが作りたい」「こういうものがあったら」と議論を深めていたそうです。

ある日「Twitterに対応するメモ帳があったらいいね」というアイディアが生まれ、互いの意見を重ね具体的に形に落とし込み「MEMO-GEN(メモゲン)」が誕生しました。140文字の制限を原稿用紙で表現し、印刷には活版を使用、スマートにメモを持ち歩けるよう二つ折りにするとクレジットカードと同じ大きさになるなどの細かいこだわりが随所に感じられます。そして『Twitterに対応するメモ帳』には大きな思いがありました。2011年3月11日東日本大震災直後、Twitterではさまざまな情報が飛び交いました。その中には間違った情報や信憑性に欠ける記事が多く出回り、混乱した人も多かったのではないでしょうか。

「パソコンやスマートフォンは気軽に書け、そのまま配信できてしまいます。手書きというワンクッションを挟むことで、書くことや考えることを見直せたらいいなぁと思ったんです」(大竹雄亮さん)

味のある古い雑居ビルの2階に事務所を構える「PORT」

味のある古い雑居ビルの2階に事務所を構える「PORT」

土日には、アトリエ兼ショップ&ギャラリー「FORT by PORT」の看板が

土日には、アトリエ兼ショップ&ギャラリー「FORT by PORT」の看板が

築50年以上の建物。内装にも赴きがあります

築50年以上の建物。内装にも赴きがあります

140文字の原稿用紙は、Twitterから俳句や川柳、短歌など日本の定型詩にも対応

140文字の原稿用紙は、Twitterから俳句や川柳、短歌など日本の定型詩にも対応

さらに縦を7文字にすることで、五音と七音の組み合わせによる俳句や川柳、短歌にも対応。古来より続く日本の定型詩に対応することで、幅広い層が活用できるメモ帳になりました。

つぶやきの対象を変えていこう

Twitterでいう自分のつぶやきの下書きが「MEMO-GEN」だとしたら、「LETA-GEN(レタゲン)」はつぶやきを相手に送るポストカード、「REPO-GEN(レポゲン)」はものにたいしてのつぶやきとして余白を多くとり自由に使える絵日記風の原稿用紙ノート、と原稿用紙のデザインを展開しながらアイテムが増えていったそうです。

そしてアイテムごとに素敵なエピソードや使い方も。
イベントに出店していると「LETA-GEN」を見た外国の方が「このポストカードで祖国の友人に日本語で手紙を送りたい」と、日本語の代筆を依頼されたこともあったそうです。

自由に使えるスペースが多い「REPO-GEN」は、ものづくりの作家さんが自分の作品をスペースに置き作品の説明を書いて展示したり、旅行の思い出を絵日記にして展示したりとクリエイターの方にも人気。

さらに原稿文具シリーズを国語の授業で活用している高校があるそうです。先生の話によると学生はtwitterの普及により140文字という文字制限に慣れているとか。400字詰めの原稿用紙に作文を書くより140文字の原稿用紙の方がすらすらと何枚も書けるそうです。二人組になり「MEMO-GEN」で連歌を作成したり、「REPO-GEN」を使い絵と作文を組み合わせた読書感想文など、さまざまな取り組みをされているとのこと。何より生徒の皆さんからは「可愛い」とうれしい声が。

ものづくりの作家さんはMEMO-GENで商品説明

ものづくりの作家さんはMEMO-GENで商品説明

たてよこ自由に使える「高橋久美子×PORT たてよこ詩作ノート」

たてよこ自由に使える「高橋久美子×PORT たてよこ詩作ノート」

高校生にも人気の原稿文具シリーズ

高校生にも人気の原稿文具シリーズ

小さな港で起こる、とっておきの時間

ヒトやモノが集まることをイメージして付けられた港という意味の「PORT」には、同じ商店街の方から名刺作成の依頼があったりと地域のつながりも徐々に増えているそうです。そしてアトリエ兼ショップ&ギャラリー「FORT by PORT」の「FORT」には砦や交易所の意味があり、集まってきた人たちと一緒に何かを行動できる「場」を作りたいという思いを込めてつけたとのこと。「ジャンルレスでいろいろなことをやっていきたい」と話す大竹雅俊さん。

「FORT by PORT」では不定期に、マーケットや展示会が開催されます。「MEMO-GEN」から始まり、人が集まる「港」ができた「FORT by PORT」に遊びに行ってみませんか。

ギャラリーには、陶器、木工雑貨、デザイナーのプロダクトなどが展示

ギャラリーには、陶器、木工雑貨、デザイナーのプロダクトなどが展示

大竹雅俊さん(左)と大竹雄亮さん(右)

大竹雅俊さん(左)と大竹雄亮さん(右)

FORT by PORT
東京都世田谷区代沢2-36-26 小坂ビル207
営業時間:12:00 ~ 20:00
営業日:土曜日・日曜日
HP:http://port.vc/

PORTへのお問い合わせはこちらから
http://port.vc/contact/

施設概要

  • 東京都世田谷区代沢2-36-26
    住所: 世田谷区代沢2-36-26 小坂ビル207
    営業時間: 12:00 ~ 20:00
    URL: http://port.vc/
    その他: 営業日:土曜日・日曜日

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紹介者プロフィール

山本多恵子

宮城県生れ。世田谷在住。Web制作、アクセス解析が得意です。宮城県気仙沼市の食材を取り寄せ、郷土料理を作る「スローフード部」を定期的に開催しています。場づくりにも興味津々。世田谷と気仙沼をつなげること活動を日々模索しています。

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