渓谷は等々力駅から歩いてすぐ!
東急大井町線等々力駅から用賀中町通りを南へ徒歩5分、等々力渓谷の入り口があります。等々力渓谷は、国分寺崖線の南端、多摩川の支流「谷沢川」が流れる渓谷です。全長は約1km、高低差が約10mあります。入口近くにある温度計は、渓谷上と渓谷下の気温を示しています。渓谷下は真夏でも2~3度涼しいそうです。
渓谷内で体感する気温差は、計測センサーでも実証されています。
階段を降りて、大自然の等々力渓谷へ
渓谷の最上流部に位置する、赤色の「ゴルフ橋」脇にある階段を下りて渓谷に入ります。高低差10mを50段くらいの階段を降りると、大自然の等々力渓谷です。
頭上に生い茂った緑の木々で、木洩れ日が落ち、目前には谷沢川が流れ、涼しい空間が広がっています。また、まるで渓谷上と遮断されたこの空間は、とても静かで、鳥のさえずりが聞こえました。“さやさや”と流れる谷沢川のせせらぎ、“ちらちら”と光る木漏れ日、すーっと木々を通り過ぎる風の中で、深呼吸すると、心が安らいできます。
木漏れ日に誘われながら、谷沢川のせせらぎ沿いを歩きます。
いくつも伸びる名所までの脇道
渓谷を下流へ進でいくと、脇道があります。渓谷の見どころは、渓谷以外にもあり、脇道の先にはお不動様や瀧などの名所があります。入口で居合わせた皆さんも、思い思いの脇道へ進んでいきます。
等々力渓谷遊歩道には自然と歴史を感じる見どころが点在しています。
私は、環状八号線の下を超え、橋を渡り左岸の広場へ、さらに脇道を進むと、「等々力渓谷3号横穴(東京都指定史跡)」があります。昭和48年に発掘された、古墳時代後期の崖に横穴を掘ったお墓の1つです。(ちなみに広場には、おトイレありました。)
この橋から東京都指定史跡「等々力渓谷3号横穴」の古墳群へ辿れます。
この橋から東京都指定史跡「等々力渓谷3号横穴」の古墳群へ辿れます。渓谷へ一旦戻り、右岸をさらに下流へ。脇道を進むと、1000年の歴史をもつ満願寺の「稚児大師御影堂」があります。学問の神様「弘法大師(空海)」の幼少時の姿「稚児大師」がまつられています。お子さんでも参拝しやすいように低い位置に拝殿が作られています。
さらに右岸を少し進むと、風情のある日本庭園があります。緑いっぱいの渓谷内から、一気に視界が開け、気持ちいいです。ちょっと疲れたのでベンチでひと休みしました。
また、等々力渓谷の西側にある「玉川野毛町公園」につながる脇道もありました。同公園には、「野毛大塚古墳(東京都指定史跡)」があります。約1600年前の南武蔵地域の大首長のお墓で、全長82m、高さ11mの帆立貝型で、国内有数の規模がある古墳だそうです。古墳には登ることも出来ます。渓谷とともに、お子さんと公園へ古墳を見に行くのも良いかもしれません。
等々力という地名の由来となった「不動の瀧」
「利剣の橋」で左岸へ渡ると「不動の瀧」という滝があります。800年前に湧出したといわれ、滝の水は霊水として信仰されているそうです。また、「等々力」という地名は、この滝の音が周囲に“轟(とどろ)いた”ことが由来になったといわれています。滝の水量はわずかですが、等々力の歴史を大きく感じることが出来ました。
かつて轟く瀧音で、地名の由来にもなった「不動の滝」。今も霊水として信仰されています。
瀧の向かいにあるのは甘味処「雪月花」。甘味メニューは、あんみつ、くずもちの他、かき氷、おしるこ、ところてん等もありました。ひと休みするのにちょうど良いです。お店は、ソーシャルディスタンスを保てるようベンチを増やし、しっかりコロナ対策されていました。「不動の瀧」の音を聞きながら、美味しい「あんみつ」をゆっくり食べる。とても素敵な時間が過ごすことが出来ました。
甘味処「雪月花」で一服。脚の疲れも癒す至福のひととき。
明王台、そして1200年の歴史がある等々力不動尊へ
渓谷の階段から直接境内に繋がっている等々力不動尊。途中、右に下る道があり「明王台(みょうおうだい)」と名付けられたこのエリアがあります。ここでは、今の季節ならではの新緑の木々の姿を、木の上から眺めることができました。
樹々生い茂る「明王台」からの眺望は、都市部に居ることを忘れそうです。
階段を上ると、「等々力不動尊」が現れます。静寂の中に、威風堂々とした佇まいの不動尊は、1200年の歴史を感じます。等々力不動尊のご住職は「等々力不動尊は四季折々に花が咲き、鳥が訪れ、自然の変化を楽しむことができます。また年間を通して節分の豆まき・花まつり・菊まつり等を行っていますので、自然の変化を楽しみながら、日本の伝統や文化に触れていただければ幸いです」とおっしゃられていました。
今は遠くに出かけるのも難しい時期ですが、世田谷区内のこんな素晴らしい渓谷を探訪てはいかがでしょうか。大自然の等々力渓谷をゆっくり歩き、甘味処でひと休みして、歴史ある等々力不動様で未来を願う。リフレッシュになること間違いありません。今度また家族で探索したいと思っています。