くらしの世田谷

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2023.11.27

砧公園 世田谷区動物フェスティバルが4年ぶりに開催

好天に恵まれた11月の3連休の最終日に開催されていたのは、「第42回世田谷区動物フェスティバル」。コロナ禍の中止を経て4年ぶりの人気イベントの開催に、動物とふれあうのを楽しみにした家族連れや、犬を連れた愛犬家たちなど多くの人でにぎわいました。世田谷区と一緒に主催し、フェスティバルの運営を担った実行委員長で、公益社団法人東京都獣医師会世田谷支部の理事、豊田昌太郎さん(けいこくの森動物病院院長)にお話しを伺いました。

11月5日、砧公園ねむの木広場は多くの動物好きでにぎわった

 

世田谷の子どもが動物にふれる機会を

42回目を迎える「世田谷区動物フェスティバル」が始まったのは、1982年。コロナ禍で、2020年からの3年間は中止を余儀なくされましたが、この秋、再び開催の運びとなりました。
「子どもたちが動物と触れ合うことで、生き物に興味を持ち、命の大切さを知る情操教育の機会になればということで始まったイベントだと聞いています。その思いは、今も変わりません。お子さんに来てもらって、動物と触れ合ってもらう機会を提供できるのはとてもうれしいです。」と豊田さん。40年以上も続く歴史あるこのイベントは、毎年およそ16,000人が来場し、獣医師会が開催する動物イベントでは日本一の規模を誇るそうです。世田谷区と共催しているのは、公益社団法人東京都獣医師会世田谷支部。獣医師会に所属している世田谷区内の獣医が、日常の業務をこなしながら持ち回りで役員としてイベントを運営しています。

 

フクロウやタカ、ワシなどを身近に見られる「猛禽類の展示」コーナーも。檻なしで直接見ると、迫力を感じる

 

動物フェスティバルの最大の魅力は、動物園に行かないと見られないようなさまざまな動物と、世田谷区内の公園で出会えることです。フクロウやワシ、タカが檻なしで展示されている「猛禽類の展示」や災害時などに活躍している救助犬や老人施設などで癒しとなっている介助犬がいるブースや、ふれあいながらポニーやヤギなどと写真を撮れる「動物とふれあい撮影コーナー」などがありました。

一番人気はウサギなどの小動物と触れ合える「こどもふれあい動物教室」。あまりに人気のため抽選制となっており、イベント開始前から多くの親子連れが並んでいました。晴れて抽選に当選した子どもたちは、スタッフの説明を聞いてさわり方を習いながら、そっと優しくウサギをなでていました。

大人気の「こどもふれあい動物教室」。触り方を教わりながら、そっとウサギをなでなで

 

残念ながらそこで抽選に外れても、フェスティバルにはさまざまな物を間近に見られます。「ふれあい動物教室」のすぐ横にはハリネズミやパンダネズミがいて、子どもたちがのぞきこんでいました。ふだんあまり動物に接する機会のない小さな女の子が「動物ってくさいんだね」とお母さんに話していた姿が印象的。動いたり、においがしたりと、「かわいい」だけでない生き物をリアルに体感できるのがこのイベントのいいところです。

愛らしいハリネズミもフェスティバルに参加

 

動物病院体験ブースは、本物の獣医さんが付き添って診察体験できるのがうれしい

 

そのほかに人気だったのは、「動物病院体験」。獣医師会世田谷支部の中で「犬を連れて来てもいいよ」と申し出てくれた獣医さんが担ってくれたそうです。子どもたちは、白衣を着て獣医になった気分で、本物のレトリーバーに聴診器をあてる体験ができました。子どもにとってあこがれの職業である「獣医さん」を、本物の獣医さんに教わりながら体験できるのは貴重な機会です。

また、救助犬と介護犬のブースでは、災害時などに活躍する救助犬たちや、老人の介護施設などで癒してくれる介護犬をなでたり、それらの飼い主にその活動について聞けたりと、やはり貴重な体験ができました。

一般家庭の飼い犬が、訓練してテストに合格して救助犬、介護犬となり、ボランティアで活動する

 

多くの団体・人の協力で開催される、命を扱うフェスティバル

このイベントは、主催している世田谷区と獣医師会のスタッフだけでなく、出展している団体や動物に関わる専門学校、都立園芸高校の学生も参加し、多くの方たちに支えられています。生き物が関わるイベントの開催前の準備は、さまざまな団体と連絡を取り合い、大変な作業。
「人も生き物もたくさん参加するイベントなので、とにかく無事に終わってくれることを考えています」と豊田さん。当日は、愛犬家と飼い犬も多く集まるので、犬同士のケンカなどの不測の事態が起こらず、安全にイベントを終えることに気を配ります。

園芸高校の生徒たちは、学校の敷地内で拾った木の実などで工作をするブースを出展

 

命を扱い、大勢が関わる大きなイベントの開催に大変な思いをしながらも、獣医師会が動物フェスティバルをし続けるのは、区民に動物と触れ合い、楽しんでほしいから。
「最近はお子さんがいらっしゃらない方で犬や猫を飼っている方も多い。イベントのあり方としては、今後そのような方たちに対しても楽しめるよう、目的も考えていきたい」と話す豊田さん。実際、フェスティバルにはペットの健康などについて相談ができるブースや、愛犬のお手入れができるブースなども人気を集めていました。

アロマブラッシングコーナーで気持ちよさそうにブラッシングを受けるワンちゃん

 

しつけ教室など、愛犬家に役立つコーナーも

 

最後に、豊田さんに世田谷で動物たちを診療して日頃感じていることを伺いました。
「コロナ禍で、犬や猫を飼う方がとても増えたと感じています。以前はなかったようなトラブルが増えてきたと感じています。習性を理解しないまま飼い始めて問題が起こったり、病気などの予防のためにしなくていけないことがあることを知らなかったり…。ペットを飼っていただくことは、とてもいいことだと思うのですが、飼う前にはよく調べ、しっかり考えてから飼い始めていただきたいと思います」

フェスティバル当日にお話しを伺った豊田さん

 

撮影  壬生真理子

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