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ぐるり世田谷

世田谷にはたくさんの「訪れたい場所」がある。古くから愛されてきたお店や、知る人ぞ知る穴場など、地元の情報をご紹介。思い出に残る昔の世田谷から今の世田谷まで。

2015.01.15

お母さんと赤ちゃんの心が休まる「もうひとつの実家」

毎週月曜日と金曜日、築160年の趣ある古民家にお母さんと赤ちゃんが集う「古民家mamas」。赤ちゃんたちは、広い畳の上で遊んだりお昼寝したり。お母さんたちは、スタッフやお母さん同士の会話を楽しみながら、みな一様にリラックスした表情で、和やかな雰囲気に包まれています。「古民家mamas」の現在とこれからについて、代表の吉原佐紀子(よしはらさきこ)さんにお話を伺いました。

お母さんと赤ちゃんの心が休まるもうひとつの実家「古民家mamas」

お母さんと赤ちゃんの心が休まるもうひとつの実家「古民家mamas」

ほっと一息、くつろげる空間

「古民家mamas」は、おもに0歳児の赤ちゃんと家族がすごせる場所として、2010年より東急世田谷線「松陰神社前」駅にある古民家を利用し自主運営の子育てひろばを開催してきました。

「出産から1歳のお誕生日ぐらいまでは、子育てがもっとも大変な時期。昼夜をとわず手がかかって体力的にもきつい上に、不安や悩みは次々出てきます。そんなお母さんたちの日常の延長に、ふと立ち寄ってホッとできる場所、子育ての本音をつぶやける場所をつくりたいと思いました」と、代表の吉原さん。

生後11ヶ月の赤ちゃんのお母さんは、「子どもが泣いてばかりで、家にいるのがつらくて来たのが最初。スタッフの方に抱っこしてもらって、ゆっくり座ってお昼を食べたときには、本当にうれしかった。ここでいろいろなお母さんとも話ができ、子育て仲間がたくさんできました」。また、生後2ヶ月の赤ちゃんのお母さんは、妊娠中から通う常連さん。「先輩たちからいろいろな体験談を聞いていたので、安心して出産にのぞめました。無事に生まれたことを皆さん喜んでくれて、かわるがわる抱っこしてくれたのがうれしかったです」と話してくれました。

お散歩の途中で看板に気づき、様子を見に来るお母さんもいます

お散歩の途中で看板に気づき、様子を見に来るお母さんもいます

本棚には子育てに関する本が並び、自由に閲覧できます

本棚には子育てに関する本が並び、自由に閲覧できます

「抱っこさせて!」。初めましての赤ちゃんは、スタッフやお母さんの人気の的

「抱っこさせて!」。初めましての赤ちゃんは、スタッフやお母さんの人気の的

互いに知恵を出し合い支えあう

「古民家mamas」のスタッフは、子育て経験豊富な先輩たち。家ではゆっくりお茶を飲む暇もないお母さんたちのために、カフェインレスコーヒーやハーブティー、ときには季節の野菜を使ったお料理やお菓子なども用意して迎えます。お母さんたちの話の輪に入り、子育てのよもやま話をしたり、赤ちゃんを抱っこしたり遊んだり。保育士、保健師、看護師などの資格をもつスタッフもいますが、指導や介入をすることはありません。相談を受けて、自らの経験談や知っている知識を話すことはありますが、それはお母さん同士が情報交換するのと同じ。誰かが悩みを話すと、スタッフもまわりのお母さんたちも、いっしょになって考えたり知恵を出し合ったりしています。

「古民家mamasに集うお母さんたちが、お互いの赤ちゃんの成長を見守り喜びあう存在になっていけたら。そして私たちも、お母さんたちの子育ての伴走者になれたらと思うんです」と吉原さん。そんなスタッフが作りだす雰囲気に、「ここは実家のよう」と感じるお母さんも多いようです。

月齢の近い赤ちゃんのお母さん同士は話も尽きません

月齢の近い赤ちゃんのお母さん同士は話も尽きません

いっしょに育っていく仲間たち

いっしょに育っていく仲間たち

目指すはフィンランドの育児支援

「古民家mamas」の活動をするなかで、吉原さんたちが出会ったのが、フィンランドの子育て支援制度「ネウボラ」です。ネウボラのキーワードは「切れ目のない支援」。保健師や助産師が常駐する施設(ネウボラ)で、妊娠から出産、子どもが6歳になるまでのあいだ、担当の保健師が継続して家族全体を支えます。医療的な健診だけでなく、子育てや家族の悩みまで相談できる個別面談があり、アドバイスや必要な医療機関などへの紹介もしてくれます。妊娠中から同じ担当者がサポートするため信頼関係が築きやすく、問題の予防や早期発見につながっているのです。

今後吉原さんが目指すのは、この考えを取り入れた「小さなネウボラ」。お母さんたちに寄り添い、日常のなかで信頼関係を築いて初めて支援ができるというもの。「古民家mamas」で培った経験に加え、地域の保健師や助産師、医師などの専門家との「顔のみえる連携」を深め、お母さんたちを孤独にさせない、安心して子育てできる街づくりのためになにができるかを考えているそうです。

活動の拠点となっていた古民家は、2015年3月末で閉館になりますが、新たな場所を探し、さらに発展させた子育て支援サービスの準備を進めているとのことです。今後の情報は、「古民家mamas」のブログ(http://ameblo.jp/kominkamamas/)で随時お知らせ。これまでの子育て支援を活用しながら、新しい制度を取り入れる活動に注目してみませんか。

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「切れ目のない子育て支援」の視察で島根県益田市から見学に

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(撮影 松本のりこ)

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(施設概要)※2015年3月末まで
開催日:月曜日11:00〜15:00、金曜日12:30〜15:00
参加費:ひと家族500円
住所:世田谷区世田谷4-14-3
アクセス:東急世田谷線「松陰神社前駅」または「世田谷駅」より徒歩3分
電話番号:080-9691-5323(開催時間内のみ)
URL:http://ameblo.jp/kominkamamas/

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紹介者プロフィール

まちとこ出版社

世田谷区を中心とした現役子育てママたちの編集チーム。妊娠時に世田谷区から配布される「せたがや子育て応援ブック」など世田谷区の発行物の編集のほか、「小さなお店のつくり方 育児しながら起業編」「忙しいママでもラクラク作れるこどもが喜ぶお弁当」(辰巳出版)など出版社発行の書籍の編集も手がける。

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