2022.07.25
本の新しい楽しみ方、世田谷区電子書籍サービス
世田谷区立図書館の電子書籍サービスをご紹介します。
世田谷での暮らしを、よりよいものにするための情報。区民の衣食住に関わる取り組みやサービス、町の景観、子育て、町づくり、多世代交流の話など。
世田谷区が実施しているレンタサイクル、コミュニティサイクルを利用したことはありますか?区内の6駅7ヵ所にサイクルポートが設置され、そのうち4ヵ所ではコミュニティサイクルという制度も導入されています。上手に使えば便利でお得なこのシステム、これまで知らなかったという人も、ちょっと面倒そうと思っていた人も、きっと利用してみたくなりますよ。
レンタサイクル、コミュニティサイクルを管轄するのは、世田谷区役所、交通政策担当部交通安全自転車課。この日は担当の本田加奈子さんに桜新町のサイクルポートで、お話を伺いました。
都内最大の人口を抱える世田谷区内の住民、世田谷に通ってくる人たちは、電車やバス以外にも自転車を交通手段としてきました。しかし、人口が増えるにしたがって、放置自転車が多くなっていったといいます。その数なんと、昭和62年には約33,000台*1。主に駐輪場の不足や、駐輪場にとめるという意識がまだ低かったことが原因でした。
「駐輪場を増やしていくと、反比例して放置自転車は減っていきました。でも、駐輪場を無尽蔵に増やせるわけではないので、平成6年にはレンタサイクル事業を桜上水から始めました。駐輪場もレンタサイクルの設置場所と台数も徐々に増えていき、現在、区立の駐輪場は48ヵ所約24,000台分の用意があり、放置自転車は約2,800台にまで減りました」(本田さん)
加えて、民間の駐輪場も51ヵ所あり、約26,000台を収容できるようになっているそう。官民合わせて50,000台もの自転車を収容できるようになっています。一方、サイクルポートは桜上水、三軒茶屋(2ヵ所)、成城、経堂、桜新町、等々力に設置され、レンタサイクルを合わせて1,600台を管理するまでに拡大しています。本田さんもユーザーのひとり。利用者は老若男女さまざまで、中には、自分では自転車を持たずに、家と駅の往復にレンタサイクルを使う人もいるのだそう。
「桜新町では学生の利用者が多いです。桜新町まで電車で来て、そこからレンタサイクルに乗って大学まで行くんですが、先輩から後輩へ、便利なものがあるよと伝わっているらしいですよ」(本田さん)
レンタサイクルに続いて、平成17年にはコミュニティサイクルの社会実験がスタートします。東京都で2番目に広い世田谷区。公共交通機関の京王線、小田急線、東急各線の駅が点在し、バス路線も豊富です。しかし、地図を見てみると電車の線路は主に横に伸び、縦のラインの交通網が少ないことに気がつきます。これを結ぼうと始まったのがコミュニティサイクル事業。レンタサイクルと合わせて行われている、貸し借りを違うサイクルポートでできるシステムです。
コミュニティサイクルを利用できるのは、桜上水、経堂、桜新町、等々力の4ヵ所。うまく利用すれば、電車を乗り継ぐと30分以上かかってしまう経堂—桜新町間をはじめ、直線距離にしたら近いのに、乗り換えが煩わしい区間を、自転車なら15〜20分ですいすいと風を切って走ることができます。もちろん、桜上水から自転車に乗り、等々力までの7.7kmを走ってそこで返却してもOKです。
「ゆくゆくは下北沢や三茶にも拠点を置いて、さらに交通の不便を解消したいですね。まだ区民に浸透していない部分もありますが、走りながらいろいろなところに立ち止まれるので観光にも使えますし、区内に点在する会社を回る営業職の人にとっては、出発地点と別の場所で乗り捨てできるので便利に使っていただけると思います。便利さをもっと知ってもらって利用者を増やしたいですね」(本田さん)
借り方もとても簡単。まずは利用したいサイクルポートで、身分証明書などを提示して、利用登録をしておくこと。定期利用は人気で、ポートによっては2週間以上待つこともあるそうですが、日決め利用もカードの種類が違うだけで、借りる、返すの作業は定期利用とあまり変わりません。
私も、利用者が持つICカードをお借りして、実際にレンタサイクルに乗らせてもらうことができました。まずは通常の自転車、電動のもの、チャイルドシート付きの自転車から何に乗るかを選びます。思ったよりもたくさん、そしてさまざまな種類の自転車が整然と並んでいて、電動自転車の中にはスポーツタイプのものもあります。サイクルポートでは自転車のメンテナンスも欠かさないので、どれも乗り心地は良さそう。私は、「重いものを乗せるときなんて最初の踏み出しが本当に楽ですよ」と本田さんにおすすめされて、電動自転車をチョイス。電動自転車には、人生初乗りです。
自転車を選んだら、出入り口まで持って行き、機械にICカードをかざすとバーが開き、ちょうどスイカで改札を通るような感覚。初めての電動自転車には、軽くてすいすい進んでびっくりです。しばしサイクリングを楽しみました。そして返却するときも、スイカの要領でピッとタッチして駐輪場に入り、所定の場所に戻せばおしまい。24時間まで同一料金なので、追い立てられる感じがないのも、使いやすいと思いました。私の様子を見守っていてくれたのは、シルバー人材センターから派遣された方々で、皆、いきいき仕事をしている様子。「仕事仲間がいるのがいいですね。自転車に不具合がないように気をつけています」と、自転車をチェックしながら話してくれました。
次回は、サイクルポートに備え付けられていた直売所マップ片手に、農家巡りでもしてみよう、電動自転車で遠出してみるのもいいな、などと夢膨らむ試乗体験でした。皆さんも日々の生活に、観光に活用してみてはいかがでしょうか。
*1 放置台数は毎年10月の平日晴天の午前11時頃に調査。平成23年度までは各駅自転車100台以上、原付・自動二輪50台以上を対象。平成24年度からは実数による。
住所: | 世田谷区桜新町2-7-15 |
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電話番号: | 03-3427-7346 |
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東京生まれ、宮城育ち。大学卒業後、(社)農山漁村文化協会へ入会。バイクで全国行脚をする営業生活を経て、編集局に配属になり、食について扱う雑誌編集に携わる。退会後、フリーランスの編集者となり、広く《食べごと》を豊かにしていくべく活動中。
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