2022.07.25
本の新しい楽しみ方、世田谷区電子書籍サービス
世田谷区立図書館の電子書籍サービスをご紹介します。
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真剣なまなざしで作業に没頭、画材を広げて試行錯誤、かと思うと笑い声が聞こえる和やかな雰囲気のアトリエ。モノをつくることが大好きな人たちが集まる「マナブdeアソボ づくリンク(通称:づくリンク)」は、いわゆるカルチャースクールとは少し違います。「つくる」ことだけが目的ではなく、その場に集う仲間との交流やその先にひろがる可能性を視野に活動。ものづくりを軸につながること、その楽しさを伝えたいという主宰の片桐慶子(かたぎりけいこ)さんに話を伺いました。
イラストレーターとして活躍している片桐さんは、5年前非常勤講師を務めていたデザイン専門学校で、新しく開講する学科の主任を担当することに。その学科はグラフィックデザインについて学ぶだけではなく、クラフトなど「ものづくり」の知識も必要とするものだったそうです。
「主任は学科をプロデュースし適材適所に講師を配置、生徒のケアが大きな役割です。しかし成績を評価する際には、『手工芸品』が出来上がるまでに必要な作業量や、使い手に興味を持ってもらうにはどんな工夫が必要かを知っておくべきと思い、私も生徒と同じカリキュラムに参加しました。するとどんどんものづくりから得られる楽しさを実感するように」(片桐さん)。年齢に関係なく新しいことをはじめる楽しさや学校にはないカルチャースクールの魅力を感じるようになったそうです。
「学校はときに苦しいこともありますよね。高い知識や技術を身につけるには壁にぶつかり、思うように出来ず暗い顔になることも。カルチャースクールやワークショップには趣味として意識が強いので、楽しいやうれしい気持ちの方が大きいと思います」(片桐さん)
片桐さんには、「ものづくりから広がる交流の場」が必要だと感じる理由がもうひとつありました。一人前のクリエイターになるのは大変なこと。講師という立場も経験している片桐さんは、若手クリエイターの皆さんに「教える」ことも表現の場のひとつとし、経験してほしいと考えます。ものをつくるだけではなく、生徒が得意な分野では講師の立場となってワークショップを開催でき、自身の技術を広める新たな交流の場所として2013年1月に「づくリンク」の活動を開始しました。
活動場所は下北沢にある「COS下北沢」や、さまざまなものづくりに関連のある場所を利用し不定期に開催しています。講座内容は、手芸からアクセサリーづくり、木工にイラスト教室などさまざま。バラエティーに富んだ講座内容も魅力のひとつで、参加したいワークショップに申込むだけで気軽に受講できます。どの講座もカリキュラムがあるわけではなく、自由につくることができます。テーマによって異なりますが、各回の定員は10名前後と少人数。受講回数は1回から数回と作業工程によって変わります。わからないことや作品の希望なども伝えやすい雰囲気で、初心者の方も参加可能です。
参加したのは「古布再生!額縁で作る裂織のバッグづくり」。木枠を使った織り機を作るところから始まります。初日は経糸を張るために木枠の上下に釘を打ち付ける作業から開始。トントンカンカンとアトリエに響く音と金槌を持つ姿は、これから織物をするとは思えない光景。ものづくりに興味がある皆さんは一様に好奇心が旺盛で、いろいろなことにチャレンジします。同じ作業は織り機をつくるところまで。経糸を張る間隔や生地の組み合わせ、バッグの形に至るまで自由に作り上げます。みなさんの個性が現れ、「そんなアイディアが!」「そのデザイン可愛い」と回を追うごとに盛り上がります。
作りたいデザインが浮かばない場合でも、先生が見本をいくつか用意しているので安心です。「こういう方法もあるよ」とわかりやすく説明してくれるので、ぼんやりとしたイメージを伝えるだけでも大丈夫。みなさんこだわりも多く時間が足りなくなってしまうこともしばしば。夢中になる作業は、ほどよい疲労感と達成感が得られ気分転換にもなります。
「づくリンク」とは、ものづくりからつながる交流の意味を込めて、ものづくりの「づく」とつながるという意味の「リンク」を合わせたもの。だれでも気軽に始めることができるものづくりから、多方面へのつながり、可能性が見つかる楽しみな「場」となりそうです。
マナブdeアソボ づくリンク facebook
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宮城県生れ。世田谷在住。Web制作、アクセス解析が得意です。宮城県気仙沼市の食材を取り寄せ、郷土料理を作る「スローフード部」を定期的に開催しています。場づくりにも興味津々。世田谷と気仙沼をつなげること活動を日々模索しています。
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