地元クラブのジャージを身にまとい誇らしげにスタジアムへ。スポーツ好きなら一度は憧れる風景が、ここ世田谷で始まっています。
リーグワンで唯一世田谷区をホストエリアとする「ブラックラムズ東京」(写真提供:ブラックラムズ東京)
チームカラーはあきらめない泥くささ 昨年はメイン平が日本代表入り
「泥くさいひたむきなプレーがチームらしさ。最近数年は優勝争いに絡めていませんが、その分地域の大切さを分かっている選手が多くいます。地元の二子玉川の飲食店に顔を出して“ポスター貼ってくれませんか”と選手が自分たちから動いてくれることも。30点、40点をとる派手さでなく、1点2点を競り合って勝利をもぎ取る、そんなチームです」とホームタウン担当で選手OBの大山大地さんは語ります。
大山さん(右)の現役時代のポジションはスクラムの要のロック。訪問する小学校では「ダイダイ」と呼ばれ人気者。左はアカデミーヘッドコーチの「ムーさん」こと武川正敏さん
注目選手は昨年6月に日本代表にデビューした、22歳のFBメイン平選手やリーグベスト15に選ばれた若き司令塔のSOアイザック・ルーカス選手。明治大学時代も主将として活躍したHO武井日向選手をキャプテンに、日本人選手と各国の代表クラスの外国人選手たちが融合。「ラムズファミリー」と呼ばれるチームの仲の良さも特徴で、白と黒の羊の男の子「ラムまる」は、昨年リーグワンのマスコット総選挙で初代王者に輝きました。
若手エースのメイン平選手。鮮やかなステップや巧みなキックが持ち味で、力強いランでトライを狙う(写真提供:ブラックラムズ東京)
住宅街の真ん中で、各国代表クラスの選手が白熱の練習。ラインアウトの最高到達点は4メートルを超え、民家の2階と同じ?!
海外から取り寄せた最新鋭のスクラムマシーン。スクラムの両側から押せる
ゲストティーチャーとして教えた子どもは1万5000人!
リーグワンの前身となるトップリーグ時代の2016年から、区の教育委員会と連携し小学校へのゲストティーチャーとして訪問授業を展開。当初は年16校程度の応募でしたが、年々人気を呼び、今年度は区内の小中校の半分以上の50校を訪問予定です。シーズンオフ(6月~10月頃)には選手2人、スタッフ2人で学校を訪問し小学3~4年生を中心にタグラグビーを通じ交流します。
「たくさん応募があるのは嬉しいですね。ワールドカップでラグビーを知ってくれた子も増えてきて、中にはチームのTシャツを着てきてくれる子どももいます」と優しい笑顔の大山さん。8年間の活動を通じ、クラブは延べ1万5000人の子どもにタグラグビーを教えてきました。
ラグビーは前に進んでトライを奪うスポーツ。最近はゲストティーチャーとして、子どもたちに積極的に前に出る大切さも教えている(写真提供:ブラックラムズ東京)
世田谷区内で選手と会えるイベントもたくさん
最近は地域のまちづくりセンターのシニア向け健康体操にも、筋骨隆々な選手たちがお手本役として積極的に参加。また練習グラウンド近くの砧南小学校の通学路では、月に2回スタッフが登校の見守り役として黄色の旗を持ち、横断歩道脇に立つ姿も。昨年6月のファン感謝祭は、二子玉川駅隣接の吹き抜け空間「二子玉川ライズガレリア」で開催され、着々と地域に溶け込んでいます。
用賀地区の夏祭りや経堂駅での防犯活動、区民スポーツまつりなどにも選手はフットワーク軽く登場しており、トライやパスなどのラグビー体験会も区内で細やかに開催されています。
試合会場には「ラムまるドーム」や、キッチンカー、ラグビー体験ができるコーナーも用意されお得感もいっぱい。ホストゲームは秩父宮ラグビー場でも開催される
発展途中のラグビー新リーグ 「ファンの方と一緒に成長を!」
プロ野球やJリーグと違い、選手との距離の近さもリーグワンの魅力の一つ。SNSでの発信も積極的で、練習場に近い二子玉川地区近辺では、選手との遭遇率も高いかも? 慶応大ラグビー部で主将をつとめ、入団4年目のWTB栗原由太選手は「(リーグワンは)プロスポーツとしてはまだ発展段階。その分ファンの方と一緒に成長していかれると思っています。“子ども”と思って今後の成長を見届けて頂けたら絶対面白いと思います!」
世田谷区内各所で見かける広告。都会的な雰囲気のチームでポスターもクールなデザインです
70年前から同じ場所にあるという練習場。Hポールが風景に溶け込んでいる
1月21日の第5節埼玉ワイルドナイツ戦(駒沢)は「世田谷デー」として実施され、保坂展人区長をはじめ、多くのファンがスタンドで黒いチームの小旗を振りました。世田谷の地から、国内リーグの頂点を目指すブラックラムズ東京。非日常な感動と興奮を味わいたいなら「ラムズファミリー」の一員になってみませんか?
【リコーブラックラムズ東京 概要】
母体企業のリコーラグビー部として1953年創部(当時は理研光学工業)。全国社会人大会では1970年、72年、73年優勝の古豪。リーグワンの前身のトップリーグには初年度の2003年から参加。リーグワン初年度の2021年はディビジョン1で9位(全12チーム)。地域活動にも積極的で、小中学生対象のラグビーアカデミーや公式ボランティア「Ramgelist(ラムジェリスト)」も運営している。(今季の募集は終了)
・ヘッドコーチ オーストラリア人のピーター・ヒューワット
・主 将 武井日向
・練習グラウンド 世田谷区宇奈根1-5-1 リコー総合グラウンド
【2022-23年シーズン 2月以降のホストゲーム】
・2月18日(土)東京サントリーサンゴリアス(駒沢オリンピック公園陸上競技場)13:00
・2月25日(土) 花園近鉄ライナーズ(駒沢オリンピック公園陸上競技場)12:00
・3月10日(金)コベルコ神戸スティーラーズ(秩父宮ラグビー場)19:00
・3月18日(土)静岡ブルーレヴズ(秩父宮ラグビー場)14:30
・3月24日(金) 東芝ブレイブルーパス東京(秩父宮ラグビー場)19:00
・4月16日(日)トヨタヴェルブリッツ(会場未定)14:00
【チーム公式HP】
https://blackrams-tokyo.com/index.html
撮影 壬生マリコ