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2013.09.28

例えば今、地震があったら。知っておきたい世田谷区の防災対策

みなさんは、災害への備えをどのようにされていますか?必要なのは分かっているけど、備えはできていない…、そんな方も多いのではないかと思います。一方、首都直下地震はいつ起きてもおかしくないと言われているのも事実。私たちの暮らす世田谷の人口は約88万人。地震が起きたときに、どんな災害対策が用意されているのか。知っておくだけでも全然違うというそのしくみについて、世田谷区砧総合支所の地域振興課 地域振興・防災担当係長の浅利修司さんにお話を聞きました。

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災害が起きたら、まず身を守ること

例えば今、地震が起こったら…。火事にあったら…。川の水が氾濫してしまったら…。災害はいつ起こるかわかりません。また、そのとき家族と一緒にいるとは限りません。そんなとき、あなたはまず何をすればいいか、住まいのエリアの避難所はどこにあるか、知っていますか?

「災害が起きたら、まず身を守ること」と話す、浅利さん。世田谷区では、危機管理室災害対策課で区の防災計画をつくっていますが、さらに踏み込んで、より地域の力で自分たちを守るしくみをつくろうとしてきました。当時、世田谷総合支所の防災担当だった浅利さんは、地区ごとの防災訓練の見直しや、避難所運営のしくみづくりを実際に進めてきました。

「例えば今、大きな地震が起きたとして、最初にとらなければいけない行動は、自分の身を守ることです。この瞬間は、自分の力で何とかするしかないんですね。自助といいますが、区や公助的なものは、何もできません。机の下にもぐる、窓から離れる、特に頭を守る。火元を確認する人が多いのですが、揺れているときは命を守ることが大事で、火元の確認は揺れがおさまってからでいいんです。発生から時間が経つにつれて、避難所での生活といった、共助、公助が関わるフェーズになってきます。」(浅利さん)

世田谷区の防災についての基本方針は、「世田谷区地域防災計画」にすべて書かれているのだそう。消防署はもちろん、NTTといったライフラインに必要な民間企業も参加してつくられたもので、区役所や総合支所の区政情報コーナー、図書館で実際に閲覧することができます。

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身を守るためには、備えが必要

この「防災計画」には、区民と事業所の役割や、地震の規模によって想定される被害者数や倒壊家屋数なども記されています。

「地震の場合、生死を分けるのは、地震発生直後からせいぜい1〜2分くらい、ほんとうに一瞬のことなんです。頭をさっと守って、身を低くする。まず自分の身は自分で守るという意識が必要です」(浅利さん)

阪神・淡路大震災では、家屋の倒壊や家具が倒れたことによる死者が約8割だったのだとか。建物だけでなく、外壁が転倒する危険はないか、家のなかの家具の転倒や落下防止のためにできることを、普段からしておくことが大切です。

「避難用品の備えも大切ですね。私たちが皆さんのために用意している食料は、区が1日分、都が1日分。それしかないとも言えます。飲料水は、1人1日分として3リットル、家族が最低3日間生活できる分を用意してくださいとお伝えしています。4人家族だと、12リットルになります。そんなに必要なの?と思うかもしれませんが、行政ができることには限りがあるんです。自分の身は自分で守るという意識が大切です」(浅利さん)

また、ご自身の住まいのエリアの避難所は知っていますか?と浅利さん。地震に加えて火災も発生していると想定すると、仮に避難所が火災のが起きている方向だったら、避難所に行くことすら困難になる場合も。区内のほかの避難所も調べておいたほうがよさそうです。

「ここからは、地震発生から少し時間の経った、共助、公助の話ですね。ひとくちに避難所といっても、避難には手順があります。自宅が危険になったり、避難勧告があったりした場合にまず向かうのは「一時(いっとき)集合所」で、世田谷区には約400箇所あります。一時集合所が危険になったときは、区内に22箇所ある「広域避難場所」へ。そして、自宅での住居が困難な場合、区立の小・中学校である「避難所」へ向かうことになります。こうした知識は、非常時に必ず役に立ちます」(浅利さん)

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知っておきたい、世田谷区の防災対策

世田谷区の住民は約88万人ですが、区の職員は5,000人程度。さらに、その6割は区外に住んでいることや、職員自身も被災者となることも想定すると、いざというときは、やはり自分たちで助け合うことが必要になります。

「例えば阪神・淡路大震災のとき、火災が285箇所で発生したそうです。もちろん消防車が出動して消火にあたりますが、消火してから次に向かっていては到底間に合いませんよね。ですから、みなさんで助け合うことが必要になってきます。そのために、街路消火器も置かれているんです」(浅利さん)

区民相互の協力体制を築くために「区民防災会議」という組織をつくっています。「区民防災会議」は、「区全体」、「地域」、「27地区」の3層構成となっていて、各組織で防災リーダーの育成や、救命講習会、避難所運営シミュレーション訓練をするなど、日々さまざまな防災に取り組んでいます。

「世田谷区では、平成9年に全国に先駆けて、すべての区立小・中学校に「学校協議会」を設置しました。子どもの健全育成や教育活動についてはもちろん、この組織で“避難所の運営をする”という役割を担います。避難所の運営は、ルールがないと大変なことになるんです。救護が必要な患者のために、保健室はあけておく必要がありますし、薬品などが置かれている理科実験室を立ち入り禁止にしたり、また、備蓄品の管理なども必要です」(浅利さん)

また、「コミュニティの力をつけることが、まちの力をつけることになる」と浅利さんは言います。普段から挨拶を交わして、顔見知りであることは、とても重要なこと。災害時には、マニュアルどおりに物事は運びません。みんなで協力しながら、あらゆることに柔軟に対応することが必要になります。

災害時に被害を最小限におさえるためには、とるべき行動を体で覚えておくことも大切です。町会・自治会などで、防災訓練、避難訓練などが行われていますので、この機会に、ぜひ参加してみてはいかがでしょう。世田谷区の防災・災害対策のWebサイトも、ぜひ一度は確認しておきましょう。

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紹介者プロフィール

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増村 江利子

国立音楽大学卒。Web制作、広告制作、編集を経て現在はフリーランスディレクター。一児の母。主なテーマは、暮らし、子育て、食、地域、エネルギー。毎日を、ちょっぴり丁寧に暮らしたいと思っています。

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