みんなの世田谷レポート

世田谷で行われたイベントやワークショップなどの体験レポート。くみん手帖編集部およびくみんライターが参加した感想や、当日聞いたお話、エピソードなどをご紹介。

2014.02.24

木に新たな息吹を。マチモノカフェ&草木染めワークショップ

住宅やマンションなどの建設現場にある街の木は、さまざまな理由で日々伐採されています。伐採された木がその後どうなるか知っていますか?多くは再利用されることなく廃棄されてしまうそうです。そうした木を材料としてものづくりのワークショップを開催している「街の木を活かすものづくりの会(略称マチモノ)」という団体があります。彼ら主催の「草木染めワークショップ」に参加してきました。
(くみん手帖編集部/山本多恵子)

雪の中での草木染めワークショップ

雪の中での草木染めワークショップ

一体感が生まれた、予想外の雪

2/8(土)、この日は未明から降り出した雪に開催が危ぶまれましたが、雪でも参加したいと希望した遊び心旺盛の大人と子どもが集まり、雪の中のワークショップが始まりました。恒例の会場である「世田谷山観音寺(通称 世田谷観音)」は、普段から自然の景観を楽しめることから多くの方が訪れる場所。この日もカメラ片手に境内を撮影する方もちらほらと。
三軒茶屋駅からの雪道をやってきた参加者の皆さんはどこか意気揚々としていて、難関を乗り越えてきた者同士すぐに打ち解け賑やかな雰囲気に。

45年ぶりの大雪。地蔵菩薩に降り積もる雪

45年ぶりの大雪。地蔵菩薩に降り積もる雪

南天の枝、クチナシの実で鮮やかな色が

まずは、絞り染めの模様作りに取り掛かります。先生の指導と資料を参考にしながら「どんな模様ができるかな?」と想像しながら輪ゴムや糸を布に巻きつけます。大小組み合わせた不思議な模様の布が出来上がると「次は力仕事!染め液の準備をしましょう」と先生の声。

染めの材料に用意されたのは、南天の枝とクチナシの実。クチナシの実は栗きんとんの色づけにも使われ馴染みがありますが、南天の枝からはどんな色がでるのでしょう。色素を効率よく煮出すためにナイフと金槌を使って南天の枝を細かくします。樹皮の下からは鮮やかな黄色がでてきて感動しながらも、コツがいる作業に四苦八苦。細かくなった枝から次々に沸騰したお湯へ。ドラム缶いっぱいになった枝を15分ほど煮ます。その間、灰汁を取り除きながら火を囲んでお話したり、雪遊びをしたり、絞り模様を再開したりと、それぞれの時間を楽しみました。

枝を取り除き、染め液の中へ布を投入。生地の種類や下処理の違いによって染まり方の違いがよくわかります。草木染めは、同じ色を作り出すのが難しいと言われるのも納得。かき混ぜながら15分煮たあと、色素の定着と変色防止のために媒染液へ漬け込みます。お腹も空いてきたのでそのままランチへ。

輪ゴムと糸を使ってできた布。どんな模様に染まるのでしょう

輪ゴムと糸を使ってできた布。どんな模様に染まるのでしょう

南天の木を金槌とナイフを使って細かくする作業

南天の木を金槌とナイフを使って細かくする作業

布によって染まり方に違いがでます

布によって染まり方に違いがでます

こだわりのランチとスイーツ

マチモノのワークショップでは10時から17時まで一日中作業する参加者が多いことから、ランチやカフェの時間を設けています。無農薬の世田谷野菜や自家製ハーブを取り入れたメニューで、多くの参加者がこのランチを楽しみにしています。今日のランチは、温かいミネストローネスープと自家製ローズマリーで風味付けしたチキンとベーコンのキッシュにサラダ。食後のデザートはガトーショコラとクッキーを頂きました。主催者の湧口さんは、クッキーが入った豆皿を手に取りながら「黒い小さな模様があるでしょ、これは何の木でしょう。正解は柿。柿の木はとっても硬い木。そっちの木はみかん…」と木の話に。ものづくりに興味のある皆さんは興味津々。

お腹も満足したところで、クチナシの染め液の準備を開始。実を投入するとすぐにお湯の色が変わります。クチナシは4番液まで色が出るそうです。染め液に布を入れたとたんに、鮮やかな黄色に染まる様子に、みなテンションが上がり、てぬぐいからニット帽子、軍手などを各々投入。見事な染まり具合に大満足しました。

暖かいスープと野菜たっぷりのプレートでひと休み

暖かいスープと野菜たっぷりのプレートでひと休み

木工教室で作成できる豆皿とスプーン

木工教室で作成できる豆皿とスプーン

伐られた街の木を生活雑貨に

木工職人でマチモノの代表でもある湧口善之(ゆぐちよしゆき)さんは、建築現場で驚くほどたくさんの木が処分されている現実を目の当たりにし、有効活用できないかと思うようになったそうです。

「身近な自然の恵みを体験し『楽しかった』『いい時間を過ごせた』『また来たい』と言って頂けるようなイベントを目標にしています。」(湧口さん)

今度は木工教室に参加して、豆皿づくりに挑戦してみたいと思っています。形を変えた「街の木」が我が家に増えていくのが楽しみです。

普段は体験できない、焚き火を囲んだおしゃべりに寒さも忘れます

普段は体験できない、焚き火を囲んだおしゃべりに寒さも忘れます

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街の木を活かすものづくりの会
http://machimono.web.fc2.com/

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紹介者プロフィール

山本多恵子

宮城県生れ。世田谷在住。Web制作、アクセス解析が得意です。宮城県気仙沼市の食材を取り寄せ、郷土料理を作る「スローフード部」を定期的に開催しています。場づくりにも興味津々。世田谷と気仙沼をつなげること活動を日々模索しています。

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