2022.07.25
本の新しい楽しみ方、世田谷区電子書籍サービス
世田谷区立図書館の電子書籍サービスをご紹介します。
世田谷で行われたイベントやワークショップなどの体験レポート。くみん手帖編集部およびくみんライターが参加した感想や、当日聞いたお話、エピソードなどをご紹介。
コットンと言えば、天然素材の代表格。そんなイメージを持っている人も少なくないかもしれません。ところが、そのコットンを育てる際には大量の農薬が使われ、大地や生産者の環境に負荷を与えているばかりか、製造工程においても化学薬品が使われています。「オーガニックコットンを通じて、世界を伝えていこう。」そんな思いから始まった、純オーガニックコットン製品、布ナプキン&天然せっけんのブランド「メイド・イン・アース」ブランドマネージャーの前田けいこさんにお話を伺いました。 (くみん手帖編集部/増村江利子)
かつては日本でも行われていた綿栽培ですが、高度成長期にモノを大量生産するための仕組みが整ったことで海外の綿価格が安くなり、やがて輸入が主流となりました。日本の綿は、繊維が短いという特徴があり、紡績にあまり向かず、座布団や布団などがつくられていました。
「コットンといえば、天然素材の代表格のように感じていたのに、実は大量の農薬を使っていることを、ある時知ったんです。とてもショックでした。環境や農作業をする人に大きな負荷を与えている。さらに驚くのは、育てる過程だけでなく、製造工程にまで化学薬品が使われている。コットンは収縮をする性質を持っているので、収縮してしまっては製品化に向かないんですね。不揃いの野菜や果物が同じパックには詰められないのと同じです。だから、サイズを均一化するためにいったん油をとってから化学染色し、さらに柔軟加工剤や防縮加工剤を入れていく。ここには、生産国の人の幸せや、私たち自身が幸せで健康になっていく未来はないと思ったんです。」(前田さん)
コットンは、糸になってしまうと分かりにくいけれど、本来は畑で採れるもの。だから、野菜と同じように無農薬にこだわりたい。こうして、メイド・イン・アースは、オーガニックコットンを発売するようになります。
生地そのものは、オーガニックコットン。ただし、製品をつくり始めたばかりの頃は、縫い糸は化繊の糸を使っていました。
「コットンは伸縮性があまりないので、丈夫な縫製糸をつくるのが難しかったんです。でも、お肌のデリケートな方は、化繊の糸の部分だけポツポツと赤くなってしまうという方もいるんですね。そこで、縫製糸はもちろん、ネームタグやボタン、ゴムに至るまで、100%オーガニックの製品をつくりたいと、研究開発を重ねました。」(前田さん)
メイド・イン・アースの純オーガニックコットン製品は、袋から開けたらすぐにそのまま着ることができますが、タオルと布ナプキンについては、最初に一度水で洗う必要があるのだそう。
オーガニックコットンの繊維が備えている、コットンの油分をあえて落としていないので、最初に一度洗わないと吸水性が悪いかもと感じることもあるのだとか。タオルは、何度か洗っていくうちに繊維がなじみ、吸水性も上がります。そうすることで、製造過程で繊維を傷つけていないので“ふわっふわ”の肌触りが長い期間続くのです。
最初からオーガニックコットンにこだわらなくても、柔らかい肌触りが好きで、ずっと使っていたらオーガニックだったと気づいてくれればいい。背景を知らなくても、安心して使える、そんなブランドを目指したいと前田さんは言います。
「例えば野菜でも、オーガニックだからいいというだけではなく、単純にオーガニックのほうが美味しいから食べたい、ということもあるかもしれません。衣類も、オーガニックコットンにこだわりたいと思わなくても、肌触りのよさで選んで、結果としてそれがオーガニックコットンだった、ということでもいいと思っています。
それは、布ナプキンでも同じこと。布ナプキンのほうがいいから、という方ももちろんいらっしゃいますが、生理痛がひどいのでいろいろ調べて布ナプキンにたどり着いた…、そんな方がたくさんいらっしゃいます。少しずつ生理の軽い日から使ってみて、慣れれば下着と同じ素材なので、違和感がまるでないんです。生理が来ることが憂鬱になることもない。しっかりとした安定感があって、心も落ち着きます。」(前田さん)
生理が楽しみになる、生理がつらくなくなるという布ナプキン。メイド・イン・アース自由が丘店では、月に1回「手作り布ナプキンワークショップ」が行われているのだそう。気になっているけど、あと一歩踏み出せない人は、試してみてはいかがでしょう?
住所: | 世田谷区奥沢7-3-10 |
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電話番号: | 03-5758-6639 |
この記事に関連するタグ:2014年3月の特集, オーガニック, 世田谷エリア, 日用品, 自由が丘駅, 赤ちゃん, 雑貨
増村 江利子
国立音楽大学卒。Web制作、広告制作、編集を経て現在はフリーランスディレクター。一児の母。主なテーマは、暮らし、子育て、食、地域、エネルギー。毎日を、ちょっぴり丁寧に暮らしたいと思っています。
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