【終了】世田谷文学館「帰ってきた 寺山修司展」関連イベント

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南烏山にある「世田谷文学館」を知っていますか?世田谷を舞台に活躍した作家とその作品を紹介するコレクション展を行う近代総合文学館で、これまでに手塚治虫展や宮崎駿が選んだ50冊の直筆推薦文展などが開催されてきました。この文学館で、2〜3月「帰ってきた 寺山修司展」が行われます。

言わずと知れた詩人、劇作家の寺山修司。10代で俳句界に新風を巻き起こし、18歳で「短歌研究」新人賞を受賞後は、俳句や短歌の定型の枠を越えた詩作を展開し、歌謡曲の作詞や放送詩(ラジオ)を手がけました。30歳前後には世田谷区下馬に移り住み、当地において演劇実験室・天井桟敷を設立。演劇や映画へと活動を広げていきました。

今もなお、寺山ファンは新しい世代を中心に増え続けています。没後30年の年に開催する本展では、近年発見された新たな資料も交えながら、総数約500点にのぼる資料によって、彼の創作活動の原点ともいうべき、10代から20代にかけての文学活動をご紹介し、《ことばのひと―寺山修司》を再検証します。そして、この展示にあわせて、関連イベントが3つ開催されます。

まず1つ目は、3月2日開催「子ども文学さんぽ『やってみたい+たんけんしたいをかたちにしよう!“テラヤマラソン”でオリエンテーリングだ!』」。小・中学生を対象に、代々木公園を舞台に、公園を楽しく走りまわって“テラヤマラソン”をしながらクイズに挑戦します(申込締切2月9日)。

2つ目は、3月16日開催「はじめての短歌・はじめての百人一首」。歌人の天野慶さんによる、小・中学生にむけたイベントです。初心者でも安心。からだを大きく動かしながら短歌を楽しみます。(申込締切3月2日必着)。

そして最後は、3月17日に開催する寺山修司が監督・脚本を手がけた映画『さらば箱舟』の上映会です。

イベントへの参加方法は、3月17日の映画上映会は当日受付にて行いますが、他の2つについては、各締切日までに往復ハガキ(1イベントにつき1枚)にて、(1)イベント名(2)参加者全員の氏名・年齢・住所(3)返信面に代表者の氏名・住所を明記のうえ、世田谷文学館「寺山展関連イベント」係までお送りください。応募者多数の場合は抽選となります。結果は締切後、返信ハガキでお知らせします。イベントの詳細は、世田谷文学館のサイトをご覧ください。

ぜひ寺山修司の展覧会とともに、展覧会を通して開催されるイベントに、訪れてみてはいかがでしょうか。

※写真「『われに五月を』出版の頃の寺山修司 1957年」

歴史と伝統を誇る「世田谷ボロ市」

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世田谷伝統の市「世田谷ボロ市」

2012年12月15・16日と2013年1月15・16日の4日間に渡って「世田谷ボロ市」が開催されました。世田谷線の世田谷駅と上町駅を結ぶ、通称「ボロ市通り」で行われるこの市には、毎年700店もの露店が軒を連ね、数十万人もの人々が訪れるといいます。

取材で訪れた1月15日は、前日の大雪の影響で足下が悪かったにも関わらず、骨董類や古着、古本、植木類などが所狭しと並ぶ通りは、多くの老若男女であふれ、賑わっていました。2007年には東京都指定無形民族文化財にも指定され、長い歴史と伝統を誇る世田谷ボロ市の光景には、どこか昔懐かしい雰囲気が漂います。

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430年以上もの時を重ねてきた、ボロ市の歴史

ボロ市の歴史は、430年も昔にさかのぼります。天正6年(1578年)、小田原城主北条氏政がこの地に楽市を開いたのが始まりで、当初は毎月1の日と6の日に月6回開催され「六斎市」ともいわれていました。

この世田谷エリアは江戸と小田原を結ぶ重要な拠点として栄え、楽市がなくなった後も、農具市・古着市・正月用品市として毎年12月15日に行われる歳の市として長く保たれてきました。明治になり新暦が使われてからは正月15日にも開催されるようになり、やがて16日の両日開催となりました。

ボロ市の名の由来は、農家の作業着のつくろいや、わらじに編み込むと丈夫になるといわれていた「ボロ布」で、かつてはボロ布が盛んに売買されていたことから「ボロ市」の名が生まれました。大正から昭和にかけて出店数は8〜900店から最盛期には2,000店にものぼったそうです。

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ボロ市の名物「代官餅」

ボロ市通りに並ぶ露店を1店1店のぞいてみると、アンティーク雑貨や古本、古レコード。まな板やお皿などの日用品。豆やこんぶなどの食料品。サボテンや多肉植物などの植物類など、実に多種多様な商品がずらり。10数年も継続出店しているという80歳すぎのお祖母さんの手作り帽子や、滋賀県から訪れた男性が出店する粋な柄の帯や古着物も。いたるところで威勢のよいかけ声や、お客さんとの賑やかなやりとりが聞こえてきます。

 そんなボロ市の名物といえば、「代官餅」。その場で蒸してついたお餅にあんこ、きなこ、からみ(おろし)をまぶした3種類があり、この日にしか販売されない代官餅を求めて、毎年長蛇の列ができます。購入後、隣のスペースで立ちながら代官餅をほおばるお客さん達の姿や行列はボロ市ならではの1コマです。

 今回は5年に一度の「代官行列」も行われました。代官行列は、地域の人々が江戸当時を模した装束を身につけて代官屋敷から会場を練り歩くもの。会場一帯は、このパフォーマンスを一目見ようと集まるお客さんでも賑わっていました(雪の影響で翌日開催されました)。

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日本中から出店しに集まる。ボロ市には誇りがある。

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ボロ市を主催するせたがやボロ市保存会副会長の熊澤さん(80)に、ボロ市についてお話を伺いました。

「今年の出店数は約720店舗です。その中には、30年以上出店を続けているお店が80〜90店もあります。ボロ市に出店するには根性が必要ですね(笑)。今年はボロ市開催450年の節目の年でもあり、これを記念してボロ市保存会では、長年出店している35店舗を優良店として表彰もしました。出店者さんは全国から集まります。今年の出店者さんは、遠いところでは北は青森、南は鹿児島から来ています。」

遥か遠方からも訪れ出店するボロ市。その魅力とは、何なのでしょうか?

「出店者さんからすると、ボロ市に店を出すということは誇りであり、同時に、他のお店やお客さんと毎年再会できる場所でもあります。そして、お客さんからすると、ボロ市にくれば買える。という期待があるのだと思います。お客さんは、若い人も増えてくれていますね。」熊澤さんは、今も昔も、ボロ市の賑やかな様子は変わらないと言います。

 

長い時代を経ても伝統が守り続けられている世田谷ボロ市。ここでは世田谷に集まる人の営みと、ボロ市という場所から生まれる人と人との交流が今もなお受け継がれていました。

新規開店レストランの学生開発メニュー試食会

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「がやがや館」の産学連携プロジェクト

「学校法人食糧学院 東京栄養食糧専門学校(以下、食糧学院)」は、池尻にある食のスペシャリストを養成する学校で、18歳から60代まで幅広い層の学生が集います。

この日、食糧学院に集まったのは、池尻2丁目において整備中の世田谷区立池尻複合施設(仮称)の3・4階に誕生する健康増進・交流施設『せたがや がやがや館』の関係者。2013年4月にオープンの同施設内のレストランで提供されるメニューについて食糧学院と共同開発が進められており、開発を担当する学生によるプレゼンテーションと試食会が開催されました。

今回、プレゼンされるのは全12レシピ。毎月入れ替わる季節メニューとして健康・長生きを目的にした「ベターエイジングメニュー」と「疲労回復メニュー」の2つのテーマに沿ったレシピが提案されます。この日は4月から9月までの季節メニューを2種ずつ12人の学生が開発。校内プレゼンを経て今回の試食会に至ったレシピを、学生たちがコンセプトや工夫した点などをプレゼンしていきます。

「次々にお料理が出て参りますので、プレゼンを聞きながらご試食ください」

調理実習室に入ると調理台の上には色とりどりの料理が並び、審査員たちは試食をしながら学生のプレゼンに耳を傾けます。美味しさはもちろん、栄養バランスや季節感、お得感やアイデアなど、「味」「見た目」「ボリューム」「原価」「独創性」の5つが評価の対象です。

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学生のアイデアで生まれた色とりどりの新メニュー

中濱周子さんが提案するのは「緑黄色野菜でいきいきアンチエイジング」という4月のベターエイジングメニュー。鮮やかな緑黄色野菜は抗酸化ビタミンを効率的に摂取できるとのこと。「主菜には鶏のひき肉と豆腐を合わせることで、カロリーをおさえつつ優しい味に仕上げました。噛む回数を増やすことで、満足感も増えまる」と中濱さんのプレゼンに、審査員からは「なるほど」の声があがります。

佐藤宗大さんが提案する4月の疲労回復メニューは「春の幸定食」。彩りも美しい桜鯛と春キャベツの「博多蒸し」には青じそとゆず胡椒が香り、副菜としてレンコンとごぼうのきんぴら、新タマネギの土佐まぶしが添えられます。「青じそがいいですね」「これで850円だったら安いですね!」との声も。味や見た目もさることながら、疲労回復に効果の高いビタミンB1を効率的に吸収できるそう。

大西泰典さんの提案する「鶏のトウチー炒め中華定食」は7月に提供される疲労回復メニュー。梅雨から夏にかけての季節の変わり目に、食欲が減退する季節にぴったりの食欲増進メニューです。ニンニクとショウガ、唐辛子がスタミナをつけてくれます。

8月の疲労回復メニューは、永瀬伸江さんの「たらの三食ごはん定食」。タラ、ほうれん草、錦糸卵の彩り良い主菜は、スポーツ後の疲労回復として、血液や筋肉をつくる主成分になるたんぱく質がとれるよう、魚が中心。お肌にもよいビタミンAもたっぷり含まれます。

長澤結さんは8月のベターエイジングメニューとして「野菜たっぷりアジアン定食」を提案。女性に人気のタイ料理「ガパオ」を主菜に、インドネシアの「ガドガド」、韓国でつかわれる牛肉と野菜のダシをつかったスープなど、まさに多国籍な料理が味わえます。

「以前、多国籍料理店で働いていたのですが、現地に近い味を食べにくいというお客さんもいらっしゃったので、日本人が苦手な味をつかわずにアジア料理を楽しめるように、クセのあるものを減らして、日本人が食べやすいように意識しました」(長澤さん)。好き嫌いもある多国籍料理でも、こうした配慮でより楽しめる方が増えそうです。

9月のベターエイジングメニューとして提案される田﨑ありささんの「野菜たっぷり蒸し料理」は、1日に必要な野菜が取れるという和風メニュー。「香りがスゴく良いので、”香り”の文字がタイトルに入るのもいいですね」というアイデアも審査員から逆提案されます。

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おいしいレシピ開発は「近隣地域との連携」がキーワード

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審査員のひとり、「がやがや館」を管理する世田谷サービス公社の山本課長に話を伺います。

「食糧学院との共同開発は、私が障害者雇用の部署にいる関係で何かしら連携できないかと話をしていたことがはじまりで、ちょうどこのレストランの話もあったので一緒に開発しようということになりました。食糧学院のほかにも、三宿通りにあるシニフィアン・シニフィエのパンを使ったメニューも別で考えているとことです。さまざまなメニューを近隣地域と連携してつくりあげていきたいと思っています」(山本課長)

幾度のプレゼンや試食会など丁寧なステップをつくられていく「がやがや館」のレストランでは、食糧学院や近隣飲食店とのタイアップメニューのほかにも、通常メニューも多数提供されます。
プレゼン後は学生たちも他のメンバーが開発したメニューを試食。一同、学生たちが腕をふるったレシピを美味しそうに味わいます。今回のレシピ開発を学生たちはどう捉えているのでしょうか。

「つくるのが好きなので調理も好きですが、考えるのも好きなのでメニュー開発にも興味があります。開発系の進路だとコンビニエンスストアのおにぎりやお弁当の開発などがあるんですが、開発したメニューを企業の方にプレゼンすることもあるので、今回のメニュー開発の経験は非常に良い経験になりました」(長澤さん)

試食会を経て、学生たちはさらなるブラッシュアップを図り実際のメニュー提供に備えていきます。池尻界隈が一体となってスタートする「がやがや館」は4月オープン。丁寧に開発が進められている学生たちのレシピをぜひお楽しみに。