あなたに大切にしたい風景はありますか?「地域風景資産」とは

みどりと静けさの北烏山9丁目屋敷林(地域風景資産)

みどりと静けさの北烏山9丁目屋敷林(地域風景資産)

世田谷区の風景づくりと「地域風景資産」

世田谷区の「地域風景資産」は「風景づくり条例」で位置づけられた、区民が主体的に風景づくりに参加するプログラムです。区民が大切に思う風景を推薦し、区が選定、登録します。ところが選定はされても、その場所を区が建設行為などから守る“保全活動”ではない、とのこと。ではいったいどういうものなのでしょう?

世田谷区都市整備部都市デザイン課の佐久間浩康さんに伺いました。

「ここでいう風景づくりとは、世田谷の魅力的な風景を住民の皆さんで守り育て、つくることです。なので、対象となる風景資産があるだけではなく、風景づくり活動を実際に行う区民の方々もしくは活動団体が存在することが前提です。風景を大切に思う区民が、その価値を皆で考え、所有者などのご理解を得て、風景づくりにつなげることが目的のものです。街の環境を良くしていくきっかけになればと。活動する人の輪が広がり、世田谷全体の風景が育っていくことを目指しています。」(佐久間さん)

大蔵の四季が溢れ出す妙法寺の境内(地域風景資産)

大蔵の四季が溢れ出す妙法寺の境内(地域風景資産)

桜上水「江戸城御囲い松」の兄弟松(地域風景資産)

桜上水「江戸城御囲い松」の兄弟松(地域風景資産)

そもそも、世田谷区は、風景づくりに関しては全国のなかでもかなり先をいく自治体です。東京都で初めての景観行政団体(景観法に基づき景観行政を担う地方自治体)として、「世田谷区風景づくり条例」と「風景づくり計画」をつくりました。

そのベースには、「区民、民間業者、および行政それぞれが歩み寄り、協働する」という基本の考え方があります。地域風景資産にしても、行政が資産を管理するのではなく、区民が守りたい風景を自分たちの手でケアをする、というのが基本です。

「せたがや百景」の反省から「地域風景資産」へ

地域風景資産の前身に「せたがや百景」がありました。昭和59年(1984年)に世田谷のなかで自慢できる風景を区民投票で100箇所選んだもの。世田谷に住む人々にとって大切な風景を明らかにしようという主旨で行われました。ところがこの時は、「選んだだけで終わってしまった」という反省点があったのだそうです。

「推薦するだけであれば簡単ですが、百景として選定された場所に建設計画が出てきた際の対応などがいきわたらず、選定後もその場所を見守り続ける行為が大切なのだということがわかってきたんです。そこで、約10年前から始まった地域風景資産では、場所の価値に加えて、実際に風景づくり活動を行う団体の存在や運営体制を合わせて考慮し、選定することになりました」(佐久間さん)

これまでに地域風景資産として選定されたのは、66箇所。昨年度(平成24年度)に第3回目の募集が行われ、新たに20箇所が追加され、今は86箇所となっています。

風景づくり活動の清掃活動の様子

風景づくり活動の清掃活動の様子

風景づくり活動の作業風景(ササ刈り)

風景づくり活動の作業風景(ササ刈り)

第3回地域風景資産では、20箇所が新たに追加!

今回の募集には、46箇所の応募がありました。推薦者は、一年半かけてその風景を改めて歩き、所有者の了解を得て、運営体制を整える作業を行ってきました。

1/26(日)に世田谷産業プラザで行われた「公開選定会」には、最終候補23件のプレゼンテーションが行われました。八幡山の八幡神社や、烏山川緑道などの住民に愛されてきた場所をはじめ、桜上水「江戸城御囲い松」や奥沢城趾など歴史的な資産のある風景について、いかに貴重であるか、

1/26(日)に世田谷産業プラザで行われた「公開選定会」。最終候補23件のプレゼンテーションの様子

1/26(日)に世田谷産業プラザで行われた「公開選定会」。最終候補23件のプレゼンテーションの様子

どうやって守っていくのか、どのような風景づくり活動をしていくのかについて発表がありました。
審査する選定人からは、活動を続けていく体制や、運営メンバーが高齢化した際に若い世代にどうつないでいくのか、といった長期的な運用に関する質問が挙げられました。

こうして選ばれた、新たな20箇所の地域風景資産は以下でご覧いただけます。
>> 第3回地域風景資産のご紹介

地域風景資産になって広がりが

風景づくりの活動に参加する人たちにとって、「地域風景資産」に選定されることはどんなメリットがあるのでしょう?

まず、区の都市デザイン課では、風景づくりアドバイザーのような専門家の派遣や、活動団体に向けた課題解決のための検討会の実施、地域風景資産をつなぐマップづくり、区民参加のまち歩きイベントの企画などを行っています。

しかし何より、活動に関わる区民のモチベーションが上がることが大きな効果でしょう。例えば第1回目の地域風景資産選定で選ばれた、弦巻の「双子の給水塔のそびえ立つ風景」の事例では、活動者が給水塔の所有者である東京都に働きかけ、見学会を開催したり、会報『双塔』を年4回も発行するなど熱心に活動し、この場所は今や区を代表するランドマークとなっています。
給水施設なので、一般公開している場所ではないものの、活動者の要望に応じて年に一回は近隣の小学生や地域の人々に見学会を開催できるようになったという変化をもたらしました。

「地域風景資産に選定されたことで、資産の所有者をはじめ建設計画などが持ち上がったときに風景の魅力を伝える材料のひとつにはなると思います。また、区民の方が町会や自治会などのまちづくりの活動に参加するのはなかなかハードルが高いかもしれませんが、この風景づくり活動は、

双子の給水塔の聳え立つ風景(地域風景資産)

双子の給水塔の聳え立つ風景(地域風景資産)

年に一度行われている給水塔見学会

年に一度行われている給水塔見学会

ほんとに小さな見守り活動から始められるので、身の丈でまちづくりに関わることもできます。日々の清掃活動など、ちょっとしたことでも、長く続けることに意味があると思います」(佐久間さん)

区民にとっての関心ごとは、自分の住むまちが、居心地がよい場所であるかどうか。“居心地のよさ”に風景はとても大切です。「自然だけでなく、商店街の賑やかさや生活の匂いなど人の営みが感じられる光景も、ほっと安らげる風景でしょう」と佐久間さん。

そんな風景を区民が大切にしたいと思っても、まずどんなことができるのか、何から始めたらよいかわからないもの。そんな時よりどころになるのが、この「地域風景資産」でもあるのかもしれません。

「まちづくり」と大上段に構えずとも、あなたにとって身近な風景に向き合うことから始めてみませんか。

「酵素世田谷」の酵素風呂でほかほか極上体験

祖師ケ谷大蔵駅から15分ほどにある酵素世田谷

祖師ケ谷大蔵駅から15分ほどにある酵素世田谷

酵素風呂ってなに?

お邪魔したのは、祖師谷大蔵にある「酵素世田谷」。飾り気のない店構えですが、実はここ、予約が殺到の人気健康スポットなのです。お店のドアを開けると、いきなり独特の香りがただよってきます。いわば堆肥の匂い、というと嫌がる人も多そうですが、これが効きめの要、発酵の香りなのです。「だんだん匂いにも慣れてきちゃんうんです」と笑顔で声をかけてくれたのは、店主の菊地夏果さん。この道20年のベテランで、酵素風呂の効果かお肌ツルツル、髪もつやつやで驚かされます。

受付を済ませると、まずは酵素風呂について解説してもらいます。酵素風呂を提供している店は全国各地にあり、どこも酵素を体内に取り込み、代謝や免疫力の向上を目的としています。生まれたての赤ちゃんが風邪をひかないのは、体中に酵素が満ちているから。酵素は体内で作れないので、どんどん減っていき体は年とともに弱っていきます。そこで酵素ジュースなどが注目を集めているのですが、皮膚から酵素を吸収する方が効率がいいという説もあるのです。

独特の匂いがする酵素風呂のぬか

独特の匂いがする酵素風呂のぬか

触ってみるとあたたかい

触ってみるとあたたかい

「酵素世田谷」の酵素は地産地消

酵素風呂の入浴法はだいたいどこでも一緒。米ぬか、ひのきなど酵素の触媒になるものを発酵させ、そこに首から下をすっぽりうずめて温まります。「酵素世田谷」のこだわりは、脱脂した米ぬかを使用し、常在菌のみで発酵させていること。菊地さんによると多くの酵素風呂では、市販の酵素液を投入して発酵しやすくしているそうです。

「ここの酵素風呂は例えるならぬか漬けと一緒の原理なんですよ。米ぬか中にいる菌が、24時間分裂を繰り返すことで発熱して、お風呂が温かくなります。酵素液を入れれば発酵しやすく温度もコントロールしやすいのですが、酵素世田谷が育んできたここだけの酵母は、大事にしたいですね」(菊地さん)

毎日お客さんが入り終わると、2時間ほどかけて手で切り返し、次の日に備えるそう。翌朝は70℃くらいの温度でスタートしますが、徐々に米ぬかの温度は下がっていくので、1つのお風呂に入れるのは1日に数人に限られる、贅沢なお風呂なのです。

酵素風呂はすべての後天的な疾患に効果があるといわれる健康法でもあり、ガン、冷え性、アトピーや不妊など、さまざまな目的で通ってくるお客さんがいるそうです。入浴する前、特に気になる症状がある場合は事前に伝えておくのがベター。私は冷え性で代謝が悪く、目が疲れているので、タオルをあてて目の上にも米ぬかをかけてもらいました。菊地さんは、酵素風呂に限らないホリスティックな視点で、体調に対してのアドバイスもしてくださいます。

シャベルでかきまぜて酸素を入れて発酵させます

シャベルでかきまぜて酸素を入れて発酵させます

顔以外は全身ぬかに埋めていきます

顔以外は全身ぬかに埋めていきます

ぬかの温かさが全身から伝わります

ぬかの温かさが全身から伝わります

入浴後はホカホカしてイライラしない

全身が米ぬかに覆われると、なんともいえない安心感に包まれます。私が入ったものはぬるめだったそうですが、それでも放射熱で体の芯からホカホカしてきます。米ぬかが体を支えてくれているので、無重力の中にいるみたいな感覚も新鮮です。いつも力んでばかりなので、力を抜くってこういうことなんだと初めて実感した気がしました。

さらに驚いたのは、体の感覚の変化です。約15分の入浴時間中、前半はデトックス、後半は酵素を体内に取り込む時間と聞いていましたが、まさにそのことを実感。前半は疲れがにじみだしていくように気持ちよかったのが、後半はなんだか少し息苦しく運動しているような感じでした。

酵素風呂からあがった後は、シャワーを浴び、身支度を整えたら終わりです。水を飲んで少しゆったりと過ごし、帰路につきます。血色がよくなり夜までずっとポカポカ、次の日も目覚めやすい、いろいろな利点がありました。それに加えて感動したのが、イライラしない、ということ。ついついイライラしたりネガティブなことを考えがちなのが、酵素風呂に入って1、2日は心がすごく穏やかだったのです。そういえば、「忙しいお母さんも、ここに来ていると子どもを怒らないでいられるからって、酵素風呂に入りにくる方もいますよ」と菊地さんも言っていました。

菊地さんが手際よく進めてくれます

菊地さんが手際よく進めてくれます

頭のマッサージのあと耳の裏にもぬかを乗せていきます

頭のマッサージのあと耳の裏にもぬかを乗せていきます

顔はタオルの上からぬかで覆います

顔はタオルの上からぬかで覆います

くみん手帖読者にぴったりの健康法

老若男女すべてに効果がある酵素風呂ですが、ストレスを感じつつも一生懸命働いている人には、手軽でオススメの健康法だと菊地さんは言います。
「ストレスは免疫力を低下させます。米ぬかに含まれるGABAはストレスを軽減してくれるから、入るだけでストレスが軽減しますよ。それに、何かを治そうと通っているうちに、エステ効果も得られちゃうのがいいところです」(菊地さん)

菊地さんは、人の体を治したいと意気込んで酵素風呂を始めましたが、経験を積んでいくうちに心境の変化もあったそう。

「お客さんには重篤な病気の患者さんもいらっしゃいます。そんな方々と接していて、気持ちよくなってもらうことが一番と考えるようになりました。“気持ちいい”の先に、幸せはあるんじゃないかと今は思っているんです」(菊地さん)

頻繁に通えなくても、たまに入るだけでもホッとリラックスする時間をくれる酵素風呂。仕事の合間に、ちょっとしたご褒美に、足を運んでみませんか?

酵素風呂について丁寧に説明する菊地さん

酵素風呂について丁寧に説明する菊地さん

休憩室。遠方からも多くの方が訪れます

休憩室。遠方からも多くの方が訪れます

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酵素世田谷
住所:世田谷区千歳台2-37-8
電話番号:03-5490-0033
営業時間(予約制):午前10時~午後6時30分最終受付(時間外は応相談)
京王線祖師ケ谷大蔵駅から徒歩13分
ホームページ:http://kousosetagaya.p-kit.com/

「栃の実」でじっくり向き合う、体が喜ぶ味

日替わりランチ900円。この日の白菜と大根はオーナーの自家菜園で採れた自然農のもの

日替わりランチ900円。この日の白菜と大根はオーナーの自家菜園で採れた自然農のもの

医食同源の想いから

経堂駅から徒歩5分。住宅地の細い道沿いに「栃の実」はあります。入り口では、生い茂る植物と、見るからに生命力の強そうな野菜たちが出迎えてくれます。扉を開くと、右側にはテーブル席とカウンター席が、左壁には食品や雑貨類がずらりと並んでいます。

経堂で鍼灸を営むオーナーが2001年にオープンさせた「栃の実」。体を意識する仕事柄、良い食材を摂ることで薬は必要としないという「医食同源」の考えにたどり着き、食の提案ができるお店を始めました。オープン当初からキッチンに立ち、料理を作り出してきた宮澤章子(あきこ)さんが、料理から接客まで一人で切り盛りしています。

「食で大切なことは、“体に入れる素材選び”と“体から排出させること”。排出には、雑穀とごぼうを摂るといいの。だから、雑穀や根菜を使ったメニューが多いんです」

元々、オーナーの患者だったという宮澤さん。治療だけでなく、きび・あわ・ひえ・大麦など多種

ナチュラルな雰囲気のお店。緑の植物が気持ちいい軒先

ナチュラルな雰囲気のお店。緑の植物が気持ちいい軒先

安心な保存食や動物性不使用の手作りスイーツなどの食品のほか、歯磨き粉などの雑貨も扱っている

安心な保存食や動物性不使用の手作りスイーツなどの食品のほか、歯磨き粉などの雑貨も扱っている

類に及ぶ雑穀を、必要な栄養素に応じて摂り入れるようになど、食のアドバイスも受けたといいます。それが「栃の実」のメニューに反映され、ランチの定番であるきびハンバーグなど、雑穀の種類を活かした料理が作られています。

自然農で育った野菜を大切にいただく

この日の日替わりランチは、白菜がたっぷり入った根菜鍋、長芋のハンバーグ、煮黒豆、ブロッコリーと蓮根のおそうざい、玄米+雑穀米とボリューム満点。野菜の味わいに心が豊かになります。

「栃の実」では、主に八ヶ岳の大地で野菜を育てている三井和夫さんの自然農法野菜を使っています。季節に逆らわず育てられた野菜。たとえば、冬の大地の恵みが凝縮された蓮根や大根、ジャガイモなどの根菜類は、体を温めてくれる作用があるため、体の冷えを感じる時季には嬉しい存在です。季節の味わいを感じさせてくれる料理も、「栃の実」の魅力の一つです。

さらに、宮澤さん自身、根菜に助けられた数えきれないほどの経験があると言います。「胃が痛くなったとき、大根の皮を剥いて7gほどをゆっくり噛んで食べたら、不思議に痛みが消えたことがあります。心臓が締め付けられるようなときには、皮を剥いたジャガイモを2.5g口に含むだけで呼吸ができるようになったり…。野菜の薬効の力はすごいです」。昔から代替療法で使われてきた野菜のパワーを体感してきた宮澤さん。料理を通じて、野菜の力を発信しています。

自然農の有機野菜や果物などを軒先で販売。季節の収穫物を召し上がれ

自然農の有機野菜や果物などを軒先で販売。季節の収穫物を召し上がれ

豆乳やさい鍋定食950円。体を温めてくれる根菜がたくさん

豆乳やさい鍋定食950円。体を温めてくれる根菜がたくさん

情報に流されず、自分の体に合ったものを

「素材がいいことはもちろんだけど、そのときの自分の体に合ったものを食べるのがいい」。そう語る宮澤さんの作る自然食は、ダシを使わずに煮た豆や野菜など、素材の味を活かした料理ばかり。カルシウムを採るために魚を使用するメニューもありますが、肉、卵、牛乳を避けたメニューが考案され、ベジタリアン対応も可能です。

宮澤さんは、約40年前に子どもがアレルギーだったことから、食に気を使うようになったといいます。「今はネットやTVで情報が氾濫しているでしょう?何が体にいいのか悪いのか…。でもね、大切なのは、自分の体に合っていること。そして、継続すること」

たとえば、自然食派の人に人気の玄米はミネラルや食物繊維が豊富ですが、消化できる力が弱っているときには逆に負担になってしまいます。そんなとき消化も排出も助けてくれるのが、雑穀です。「栃の実」では、雑穀の力を信じて引き出す料理を提案しています。かつて日本で食されていた雑穀は、現代人の体の不調に対する救世主なのかもしれません。雑穀米だけでなく、雑穀を素材として作り出される料理はバリエーション豊かで、自然食への楽しみが倍増します。

日替わりランチだけでなく、単品もメニューが豊富。どれも安心して食べられるのが嬉しい

日替わりランチだけでなく、単品もメニューが豊富。どれも安心して食べられるのが嬉しい

噛み締めるほど味わいが広がる雑穀米

噛み締めるほど味わいが広がる雑穀米

自分の体を知ることが、生きること

「栃の実」では、食事だけでなく、食品や雑貨も販売しています。ランチにも出している長崎県産有機栽培の梅干しや、自家製ブレンドの雑穀米、安心な素材のみでできた玄米ラーメン、また料理の基礎となる調味料ももちろん安心な逸品です。豊富な自然食の食材を前にすると、自分の食生活を見直して、本当に自分の体に合っているものを摂ろうという気持ちが湧いてきます。

「体はやれば応えてくれる。その体を作る素材が、食べ物。素晴らしい力を持ち、私たちを生かしてくれています。感謝ですね。生きるって、結局は自分の体を知っていくことなのかなって思うんです」。体の声に耳を傾けて、そのとき体が欲する美味しい料理を作り続ける宮澤さん。優しさ溢れる自然食に、体も心も喜びます。

(撮影:小林友美)

日本人の健康の救世主、雑穀も販売

日本人の健康の救世主、雑穀も販売

スパイシーでクセになる薬膳カレーセット780円。うどんにも変更可能

スパイシーでクセになる薬膳カレーセット780円。うどんにも変更可能

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栃の実
世田谷区宮坂3-5-4
03-3706-0215
営業時間:11:30〜18:00
定休日:日曜日、月曜日は物販のみ

“空き地”を耕し、地域を拓くということ

大阪市・北加賀屋にある「みんなのうえん」。企業の遊休地を活用し、参加者が土地を耕した

大阪市・北加賀屋にある「みんなのうえん」。企業の遊休地を活用し、参加者が土地を耕した

地域づくり≠ハコモノ

さて、このセミナーを企画したのが、このレポートを書いている私です。私が勤める生活工房では、“暮らしのデザイン”をテーマに展示やセミナー、ワークショップなどさまざまな事業を展開しています。“地域やまちづくり”をテーマにした連続講座の最終回として行われたこの「空き地農業」も、自分たちの住む地域をデザインするという視点で考えたものです。世田谷区内でも開発や都市計画という街のデザインが行われていますが、我が家の最寄り駅前も工事の真最中です。そうした開発を横眼にしながら(乗り降りの不便さに苛まれながら)、地域づくりに思いを寄せたのが、この連続講座の始まりでした。

そして、地域のつながりが希薄化する都市において、また高齢化が加速するこれからの社会において、ハコモノ的な発想とはまた違う地域づくりの仕組みを模索していたところ、知ったのが、大阪市南西に位置する北加賀屋という街で行われている「みんなのうえん」でした。

講師には「みんなのうえん」の西川亮さん(左)と雑誌『ecocolo』の編集長・石田エリさん

講師には「みんなのうえん」の西川亮さん(左)と雑誌『ecocolo』の編集長・石田エリさん

雑誌『ecocolo』のハーベスト特集号は、じわじわと売り上げを伸ばしたのだとか

雑誌『ecocolo』のハーベスト特集号は、じわじわと売り上げを伸ばしたのだとか

遊休地を活用した「みんなのうえん」

大阪市・北加賀屋の「みんなのうえん」。初期の頃は、Studio-Lの山崎亮さんも関わっていた

大阪市・北加賀屋の「みんなのうえん」。初期の頃は、Studio-Lの山崎亮さんも関わっていた

「みんなのうえん」参加者による「こんだて部」。畑を拠点にその活動は広がりをみせている

「みんなのうえん」参加者による「こんだて部」。畑を拠点にその活動は広がりをみせている

大雪の中、このセミナーの講師として大阪から駆けつけて下さったのが、「みんなのうえん」(正式名称は北加賀屋クリエイティブファーム)を運営するNPO法人Co.to.hanaの西川亮さんです。そしてもう一方、雑誌『ecocolo』の編集長である石田エリさんを迎え、「みんなのうえん」の取り組みをひもときながら、石田さんにはサンフランシスコで取材されたユニークな都市農業の実例などもお話し頂きました。

「みんなのうえん」は、北加賀屋の地域住民らが企業の遊休地を再生し管理している農園です。2012年に始まったこのプロジェクトは、20名ほどのメンバーから始まり、3班に分かれて畑づくりから水やり当番、定期会合、収穫パーティ(!)など、班ごとに活動しています。班を超えての活動も盛んで、農地の視察に行ったり、レシピの開発をしたりと、農や食を通じて参加者同士のコミュニケーションが自然と生まれています。また、主催する西川さんらが主体となり、ワークショップ、お祭りイベント、出張のケータリングも行われ、農園での交流や活動が積極的に地域へと還元されています。

地域をつなぐ農園、海外の事例も

このセミナーで西川さんが強調されていたこと。それはこの農園の目的が収穫のみではないということ。もちろん豊作にこしたことはないでしょうが、参加者同士のつながる場、また地域をつなぐ場として、「みんなのうえん」は機能しています。単に野菜を育て、収穫するだけでなく、皆で一緒に調理して食べる。そしてさまざまな催しを通じて時間を共有する。また、農園の利用者のみでなく、外部のクリエイターやアーティストを招きいれるなど、その活動は北加賀屋を拠点に有機的な広がりをみせています。

もちろんそうした活動の裏で、西川さんたちが地域の中で直面する難しさについても、トークの中で石田さんが引き出してくれました。その石田さんからは、グーグルマップで空き地を見つけて都市農業を始めた女性の話や、民家の庭先になる果樹をオーナー同士がシェアする取り組みなど、海外の事例が紹介されました。都会でもちょっとしたアイデアと行動力で実践できる、農(食)を通じた地域交流の実例には、受講者の方々も興味を寄せているようでしたし、生活工房でも何か事業化できれば…とあれこれ考えが浮かびました。

参加者からの質問もたくさん挙げられました。農業に関心のある方が多数

参加者からの質問もたくさん挙げられました。農業に関心のある方が多数

十数年ぶりの大雪にも関わらず、多くの来場者が。空き地農業が各地に飛び火するかも

十数年ぶりの大雪にも関わらず、多くの来場者が。空き地農業が各地に飛び火するかも

これからのまちづくり~農を通して地域を拓く

地元の不動産会社の支援など「みんなのうえん」は環境に恵まれた特例と言えるのも事実です。しかし、空き地の使い方という点では、とても示唆に富むものでした。高齢化にともない、世田谷区でも空き家への対策を思案しているようですが、スクラップ&ビルドな地域開発ではなく、老若男女が目的を持って集い、同じ時間や体験を共有できる場を創造すること。そのひとつのいい例が農園のようにも思いました。質疑応答の時間には、実際に地域とのつながりを求めている農家の方や、すでに大学の一角を借りて農に携わっている方、また、御茶ノ水で「みんなのうえん」と同様の取り組みを始めようとしている方など、農をきっかけにしてさまざまなつながりが生まれようとしているようです。

今回セミナーに参加された方々が、畑を耕し、地域を拓く可能性を少しでも見出してもらえたら嬉しいです。また、6年後の東京五輪に向けて再開発の機運が高まる中で、自分たちの暮らすまちや地域の姿にも思いを馳せてもらえればと願います。

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「みんなのうえん」の取り組みに関してはぜひ彼らのホームページへアクセスしてみてください。
>> http://minnanouen.jp/

ご近所さんと、ご一緒に。3軒からはじまるガーデニング支援制度

玉川田園調布2丁目地区「ベメミーチョ」の一角

玉川田園調布2丁目地区、グループ名「ベメミーチョ」の通りの一角

ご近所同士ではじめる、美しい街並づくり

「3軒からはじまるガーデニング支援制度」は、地域の人が協力して、街並を花とみどりに溢れる景観にすることを目的に、緑化に関するアドバイスや資金助成が行われるというもので、一般財団法人世田谷トラストまちづくりが実施をしています。

2年間で最大5回のガーデニング・アドバイザーの派遣や、1軒につき4万円までの助成がされるというもので、助成対象となる“緑化資材”は、草花の苗や種、樹木の苗木、肥料や鉢など。区民3軒以上で構成されたグループであれば、誰でも応募をすることができます。

ただ苗や種をもらうということではなく、自分たちの暮らす土地の環境をよく観察しながら、ライフスタイルに合わせた緑化を考えながら実践することで、“通り”に愛着を持ち、ご近所さんとのコミュニケーションが増えるというプロジェクト。

ガーデニング・アドバイザーは得意分野もそれぞれ異なる6名の方。「三田用水第二分水会」は、植物生態コンサルタントの泉健司さんが担当されています。

植物生態コンサルタントの泉健司さん

植物生態コンサルタントの泉健司さん

この木はどんどん大きくなるよと泉さん

この木はどんどん大きくなるよと泉さん

“通り”に虫や鳥を呼んで、多様な生態系に

小田急線下北沢駅から徒歩10分程度にある、北沢地区に暮らす「三田用水第二分水会」は、ご近所のみなさんで映画『天空の城ラピュタ』に出てくるラピュタの庭のような、鳥がさえずり、季節の移り変わりが美しい区画を目指そうと、「3軒からはじまるガーデニング支援制度」に応募しました。

今回は、ガーデニング・アドバイザー泉健司さんが3回目となる訪問をすることに。参加しているご近所さんも一緒に、庭先を1軒ずつまわり、丁寧にアドバイスをしていきます。

「この通りのみなさんは、それぞれの庭がとても特徴的。武蔵野の名残の植物が生き残っている貴重な区画でもあるので、昔ながらの野の花を残しながら植栽計画づくりからお手伝いしています。深刻に考えずに、どんな雰囲気にしたいかを考えることから始めればいいんです。園芸植物も雨水だけで育つ病害虫の少ない種類を中心に選べば、手間いらずの庭が楽しめます。」(泉さん)

ヘビイチゴも、ここに自生していた野生のものだと泉さんが話すと、みなさん興味深く話に聞き入ります。

「虫嫌いな方もいるかもしれませんが、まずはいろんなチョウチョがやってくる環境をつくってあげるといいですね。1種類だけの寄せ植えの場合には、黄色やオレンジの花ばかりだと気に入ってくれるチョウも限られるから、いろんな色を入れるようにするといいですね。イモムシが苦手じゃない人は、チョウの幼虫が好きな植物も植えて、お子さんと観察するのもいいでしょう。鳥が好きな人は飲み水用にお皿を置いたり、巣箱や実のなる木を植えましょう。鳥の糞から、野山のめずらしい植物も顔を出すはず。面積は小さくても、鳥が運んでくれたものを残して、より自然な生態系に近づけることもできるんですよ。」(泉さん)

ガーデニングの基礎も教えてくれます

ガーデニングの基礎も教えてくれます

庭がなくても、通りに面して景観がつくれればOK

庭がなくても、通りに面して景観がつくれればOK

ご自身の庭だけでなく、ご近所さんのお庭も一緒に廻ります

ご自身の庭だけでなく、ご近所さんのお庭も一緒に廻ります

ご近所みんなでやるから楽しいし、続けられる

この「3軒からはじまるガーデニング支援制度」を知った木村さんは、ご自宅のある通りにあるお宅全員に声を掛けたのだそう。

「以前からこの通りでは、余った鉢や実生から育った植物を、頂いたり差し上げたりし合っていたのですが、今回の活動で、コミュニティのつながりがさらに深くなったように思います。春になって、通りでいっせいに若葉や花が芽吹くのが楽しみです。」(木村さん)

木村さんのご自宅前でみんなで輪になって、泉さんのお話に時折笑いながら話を聞きます。

ひとりでもいいけど、みんなでやったらもっと楽しい。ガーデニングという共通の話題ができて、通りに花が咲き、立ち話にも花が咲く。

「3軒からはじまるガーデニング支援制度」の応募は、通年受け付けています。この機会に、お隣さん3軒以上のグループで、申し込みをしてみてはいかがですか?

ご近所のみんなで集まって、まさに井戸端会議

ご近所のみんなで集まって、まさに井戸端会議

世田谷トラストまちづくりで配布されているリーフレット

世田谷トラストまちづくりで配布されているリーフレット

「NPO法人ら・ら・ら」が生み出すありのまま演じ、集う居場所

ワークショップ

ワークショップ

居場所をつくる、NPO法人ら・ら・ら

「ら・ら・ら」の拠点は、二子玉川駅と等々力駅の間にある多摩川そばの一軒家。壁を埋めつくす本棚と、キッチンスペースもある広々とした空間は、普段は「楽ちん堂カフェ」というコミュニティカフェで、もともとは芝居の稽古場でした。
というのも、ここを運営するのは、一人芝居の第一人者であるイッセー尾形さんの演出家である森田雄三さんとプロデューサーの清子さんの森田夫妻。森田さんたちが、全国を周りワークショップ形式の上演を行ったのが演劇ワークショップの始まりです。
出演者は各地の一般の方がほとんどで、出演する方の子どもたちを一時的に預かる機会や、全国から森田さんたちを尋ねてくる人々の滞在拠点となる機会を通して、「NPO法人 ら・ら・ら」は生まれました。

巡業期間を除き運営されている楽ちん堂カフェに集まるのは、近所の子どもたちやお母さん、買い物帰りにふらっと顔を出す人から、全国各地から訪れる人まで、年代も立場もさまざま。手作りの料理と一杯づつ豆をひいたコーヒーを味わいながら、演劇の本を読んだり、おしゃべりをしたり、子どもたちは自由にかけまわったりと、思い思いに過ごしています。ここに流れる空気はどこか懐かしく、温かい。自身も子どもの頃からこの家によく訪れていたという事務局の尾辻さんはこう話します。

「子どももお母さんも老人も、一緒に集う場が大切だと思っています。一緒だからこそ、面白いものが生まれますし。楽ちん堂カフェを、自分の家のように使ってほしいんです」(尾辻さん)

楽ちん堂カフェは正式には半年前にオープンしましたが、前身は子どもが自由に滞在し、一緒に食事をして寝泊まりするフリースクールとして3年間運営されていました。子どもたちの受け入れを行い、今もみんなのお母さん的存在である森田清子さんは、こう話します。

「今の子は学校が終わってもたまる場所がないし、居場所がないでしょう。子どもたちにとって、学校の枠を外れた第3の居場所がここだったのね」(森田清子さん)

そうにこにこと話すおおらかな森田さんを見ていると、子どもたちの安心感が伝わってくるようです。

多摩川からすぐの一軒家がらららの拠点

多摩川からすぐの一軒家がらららの拠点

演劇の本や絵本などがずらりと並んでいます

演劇の本や絵本などがずらりと並んでいます

積み木に夢中な子どもたち

積み木に夢中な子どもたち

参加者のコーヒーを淹れる尾辻さん

参加者のコーヒーを淹れる尾辻さん

清美さんのあたたかい笑顔が印象的。みんなのお母さんです

清美さんのあたたかい笑顔が印象的。みんなのお母さんです

台詞のない演劇ワークショップ

今日の演劇ワークショップに参加するのは、「自主保育 野毛風の子」のお母さんたち8名。子どもたちは積み木や絵本に夢中で、お母さんたちがあやしながら丸テーブルを囲んでいると、奥から車いすの森田さんがやってきました。さあ、いよいよ演劇のスタートです!

森田さんから挨拶や演劇について説明が始まるのかなと思いきや、なかなか始まる様子はありません。お母さんたちと世間話に花を探せているようで…。

「あなた、学生時代はどんな友達がいたの?」
「そう、あなたはどんな学生だった?」

過去の友達や、恋愛話など、他愛もない質問を一人ひとりに投げかけていきます。普段子どもの話が中心のお母さんたちは、少し戸惑いながらも思い出して答えている様子。子どもたちが入り中断しながらも、テンポよく進むやりとりを聞いているうちに、これが森田さんの演劇ワークショップのスタイルなのだと、ようやく気がつきました。

一通り終えた後、次は1列に椅子を並べて座り、前方に椅子を2脚配置。その椅子に、順番にお母さんたちが呼ばれて座っていきます。途中取材カメラマン(男性)も呼ばれる即興ぶり。

「ちょっとそこで会話をしてみて」
「その後断ってみて」
「あなたなんだか強そうだね。相談に答えてみて」

やがて、お母さんたちが前に座ると、個性が見えてきたから不思議です。その人の空気感やまとっているものが伝わってきます。そしてお母さんたちが二言三言と言葉を交わすうちに、芝居らしきものになり始めました。これが、イッセー尾形を生んだ森田さんの演出法だったのです。

あっという間に2時間が経過し、初めてのワークショップは終了。手作りのサンドイッチが並べられてランチタイムへ。お母さんたちに感想を聞いてみると、

「もともとNPO風の子の活動を理解してくださって、居心地のよい場所だった。声をかけてもらって今回参加しましたが、とても新鮮でした。また続けていきたいです」(山本さん)

「普段会うお母さん同士がかっこよく見えました。日常を持ってくるという発想が新鮮でしたね。ぎくしゃくさも面白かった」(山崎さん)

みなさん戸惑いながらも面白さを感じ取ったようです。改めて森田さんに話を聞いてみました。

「今日はオリエンみたいなものでね。普通の会話から始まるでしょ。それがスタイルなの。風の子のお母さんとはこれからも何度かやっていきたいと思ってるよ。面白いのが作れそうでね。発表会はこの場所がいいな」(森田さん)

子どもを車いすに乗せて森田さんが登場しました

子どもを車いすに乗せて森田さんが登場しました

お母さんたちとテーブルを囲んで和やかな雰囲気

お母さんたちとテーブルを囲んで和やかな雰囲気

森田さん

森田さん

今度は一列に並んで。演劇っぽくなってきました

今度は一列に並んで。演劇っぽくなってきました

お母さんたちは順番に入れ替わって前の椅子へ。森田さんが説明をします

お母さんたちは順番に入れ替わって前の椅子へ。森田さんが説明をします

子どもはお母さんたちをよそに自由に遊びます

子どもはお母さんたちをよそに自由に遊びます

家族と過ごす家のような場所

「森田は一般の人を大切にします。その人が芝居をすることで、居場所を作ることを目指しています。進め方が独特ですよね。お母さんも一人の人間であることを認めることが大事で。今回のワークショップを通してそういったことも伝えています」(尾辻さん)

森田さんの舞台に立つ人は、どこにでも居そうな、自分とも重なる人たち。等身大のありのままだからこそ、笑いや共感が生まれ、認め合えるのかもしれません。「みんな違って、それでいい」。ふとそんな言葉が浮かんできました。

楽ちん堂カフェでは、時間を気にせず自分の家のように過ごしてほしいと、月額制で何度でも通えてコーヒーなども自由に飲んで過ごせる新しいプランがスタートしました。今年の6月からは、フリースクールから発展した新たなプロジェクトも始まるそうです。

多様に活動するNPO法人ら・ら。ら。芝居もカフェも、今まで気づかなかった自分自身や周りの人々に出会い気づくことで、当たり前の日常が豊かになっていく、そんな居場所のように感じました。

子どもも大人もみんな一緒にランチを楽しみます

子どもも大人もみんな一緒にランチを楽しみます

あたたかい時間が流れる楽ちん堂カフェ

あたたかい時間が流れる楽ちん堂カフェ

_______________
NPO法人ら・ら・ら
世田谷区野毛2-28-23
03-3702-8468
http://www.la-la-la.or.jp/

楽ちん堂カフェ
http://www.la-la-la.or.jp/cafe/

[2月の特集] 社会課題を楽しく解決!世田谷ソーシャルアクション

リタイア後の男性が料理を楽しむサークル「おとこの台所」が人気

気軽に楽しめる大人の集い、それがおとこの台所

気軽に楽しめる大人の集い、それがおとこの台所

「おとこの台所」って何?

一言でいうとリタイアした中高年男性が料理づくりを楽しむ料理サークルです。リタイアした中高年男性は、地域に友人や活動する場所がなく、家に引きこもりがちです。このような男性を家から引っ張り出し、楽しみながら料理をつくり、親睦を深め、さらには地域の方々に喜んでいただけるボランティア活動を展開していく、それがおとこの台所です。

トレードマークは黒の帽子と黄色のエプロン

トレードマークは黒の帽子と黄色のエプロン

センスの良いレシピが好評

おとこの台所では、家庭の主婦が作らない料理づくりを目指しています。そのため肉じゃがやお煮しめなど「おふくろの味」のような料理は作りません。

1月のレシピは、うなぎのひつまぶし・牡蠣のグラタン・たたき蓮根の炒め煮・海老と麩のチャンプル・乾燥イチジクと大根のマリネの5品。なるほど、中高年の家庭料理とは言い難いものばかり。

平成25年12月までに作った料理は400種類。レシピは一貫して厨房担当の龍國朝さんが担当しています。たらの芽、ゆり根やホワイトアスパラガスなどの季節の食材を使った洗練されたレシピ。このセンスの良さも好評です。覚えた料理を自宅で作った時など「おいしい、すてき」と家族に喜ばれ、会話も弾むのだとか。見よう見まねでやっているとのことですが、メニューに沿って材料の買出しから調理、配膳、後片付けまで、自然な流れで進行していくのが不思議です。

真剣に作っています

真剣に作っています

ご飯を混ぜながらも人それぞれ

ご飯を混ぜながらも人それぞれ

とにかく、各人が勝手気ままにやっているように見えますが、12時には4品か5品のとてもスペシャルな料理が人数分きちんとできています。その後は笑顔でおしゃべりしながらの食事タイム、とにかく楽しそうです。

「おとこの台所」の男たち

おとこの台所には、いったいどんな方が参加しているのでしょう?平成23年4月に実施したアンケートでは次のようになっています。

メンバーの平均年齢は70歳(!)。そのほとんどは料理初心者で、初心者と言っても半端ではありません。包丁の使い方どころか、エプロンのかけ方も知らない人もいるようです。

参加の動機は、地域活動がしたかった人が36%、料理がしたかった人が18%、友人の誘いが24%、その他22%。参加後に生活行動に現れた変化は、友人が増えた35%、家庭での評価が上がった12%、家での会話が増えた11%、生活が活気付いた11%、他の地域活動に参加10%、外出が多くなった9%、その他12%。結果からは、地域活動をしたかった人が参加して友人が増え、家庭での評価が上がったなど大変好評のように見受けられます。

さて、このような男性たちがどうやって料理をつくるのでしょう。誰かが指示している様子はありません。

左から3人目が代表の小竹さん

左から3人目が代表の小竹さん

できあがった料理5品

できあがった料理5品

成功の秘訣「いばらない、命令しない、過去を語らない」

「男性は長い間仕事一筋に生きてきたために、リタイアしてもやりたい事が見つからず、家で手持ち無沙汰に過ごしているのが実情です。片や奥さん方は、PTA活動などに始まり、趣味にボランティアにと地域に根ざして生活してきたので友人も多く、毎日のように外出します。それではと男性も地域活動に参加しても、どこも女性ばかりで気後れして長続きしない。リタイア後の男性には居場所がないのです。

リタイアした人が求めている居場所と仲間が得られるのがおとこの台所。時代のニーズにあっていたのが成功の最大の理由でしょう。しかも、男だけのサークルなのでとても気楽。

気楽な理由は他にもあります。おとこの台所には明文化した規約は何もありません。難しいことは何もないのです。ただ平等な精神は一貫していて、簡単な言葉で「いばらない、命令しない、迷惑をかけない、過去を語らない」と言い合っています。ルールはこれだけ、強制の無い自由で平等な活動方針を大切にしています。

さあ、いただきましょう

さあ、いただきましょう

こんな男性たちが参加しています

こんな男性たちが参加しています

おとこの台所の活動は毎月の料理サークルの他に、花見、バーベキュー大会、玉川花火大会見物、納涼大会、忘年会や季節ごとの鎌倉散策会などの行事が目白押しです。

サークルの運営はとてもスムーズで、何か行事をやるときにもそれにあった人が自然に立候補し、あっという間に実行委員が決まります。いつでも何かのイベントを楽しむことができます。気軽に楽しめる大人の集い、それがおとこの台所です。

[入会方法]
世田谷区在住のシニア男性ならどなたでも入会できます。世田谷区以外の方やシニアでない方もご相談ください。入会をご希望の方は、以下の8台所のうち入会したい台所にアプローチしてください。会費は1回500円程度です。

おとこの台所・松原  北沢地域社協   TEL:03-5465-7541
おとこの台所・上馬  世田谷地域社協  TEL:03-3419-2311
おとこの台所・桜新町 玉川地域社協   TEL:03-3702-7777
おとこの台所・八幡山 烏山地域社協   TEL:03-5314-1891
おとこの台所・上北沢 烏山地域社協   TEL:03-5314-1891
おとこの台所・砧   砧地域社協    TEL:03-3482-6711
おとこの台所・烏山  烏山地域社協   TEL:03-5314-1891
おとこの台所・野沢  世田谷地域社協  TEL:03-3419-2311

おとこの台所ホームページ:http://seta-odk.com/index.html

暮らしが変わる、私が変わる。メイドインアースが選ばれる理由

純オーガニックコットンのタオル。縫い糸もタグも全てオーガニック

純オーガニックコットンのタオル。縫い糸もタグも全てオーガニック

生産国の人々の幸せと、消費国の私たちの幸せ

かつては日本でも行われていた綿栽培ですが、高度成長期にモノを大量生産するための仕組みが整ったことで海外の綿価格が安くなり、やがて輸入が主流となりました。日本の綿は、繊維が短いという特徴があり、紡績にあまり向かず、座布団や布団などがつくられていました。

「コットンといえば、天然素材の代表格のように感じていたのに、実は大量の農薬を使っていることを、ある時知ったんです。とてもショックでした。環境や農作業をする人に大きな負荷を与えている。さらに驚くのは、育てる過程だけでなく、製造工程にまで化学薬品が使われている。コットンは収縮をする性質を持っているので、収縮してしまっては製品化に向かないんですね。不揃いの野菜や果物が同じパックには詰められないのと同じです。だから、サイズを均一化するためにいったん油をとってから化学染色し、さらに柔軟加工剤や防縮加工剤を入れていく。ここには、生産国の人の幸せや、私たち自身が幸せで健康になっていく未来はないと思ったんです。」(前田さん)

布ナプキンを紹介してくれる前田さん

布ナプキンを紹介してくれる前田さん

製品につかわれているコットン(綿)。ふわふわとして弾力がある

製品につかわれているコットン(綿)。ふわふわとして弾力がある

コットンは、糸になってしまうと分かりにくいけれど、本来は畑で採れるもの。だから、野菜と同じように無農薬にこだわりたい。こうして、メイド・イン・アースは、オーガニックコットンを発売するようになります。

純オーガニックコットン専門ブランドへ

生地そのものは、オーガニックコットン。ただし、製品をつくり始めたばかりの頃は、縫い糸は化繊の糸を使っていました。

「コットンは伸縮性があまりないので、丈夫な縫製糸をつくるのが難しかったんです。でも、お肌のデリケートな方は、化繊の糸の部分だけポツポツと赤くなってしまうという方もいるんですね。そこで、縫製糸はもちろん、ネームタグやボタン、ゴムに至るまで、100%オーガニックの製品をつくりたいと、研究開発を重ねました。」(前田さん)

メイド・イン・アースの純オーガニックコットン製品は、袋から開けたらすぐにそのまま着ることができますが、タオルと布ナプキンについては、最初に一度水で洗う必要があるのだそう。

オーガニックコットンの繊維が備えている、コットンの油分をあえて落としていないので、最初に一度洗わないと吸水性が悪いかもと感じることもあるのだとか。タオルは、何度か洗っていくうちに繊維がなじみ、吸水性も上がります。そうすることで、製造過程で繊維を傷つけていないので“ふわっふわ”の肌触りが長い期間続くのです。

タオルや肌着類を気に入って寝具類を購入される方が多いのだそう

タオルや肌着類を気に入って寝具類を購入される方が多いのだそう

自由が丘店の階段下には、キッズスペースも

自由が丘店の階段下には、キッズスペースも

誰でも安心して使えるものづくり

最初からオーガニックコットンにこだわらなくても、柔らかい肌触りが好きで、ずっと使っていたらオーガニックだったと気づいてくれればいい。背景を知らなくても、安心して使える、そんなブランドを目指したいと前田さんは言います。

「例えば野菜でも、オーガニックだからいいというだけではなく、単純にオーガニックのほうが美味しいから食べたい、ということもあるかもしれません。衣類も、オーガニックコットンにこだわりたいと思わなくても、肌触りのよさで選んで、結果としてそれがオーガニックコットンだった、ということでもいいと思っています。

それは、布ナプキンでも同じこと。布ナプキンのほうがいいから、という方ももちろんいらっしゃいますが、生理痛がひどいのでいろいろ調べて布ナプキンにたどり着いた…、そんな方がたくさんいらっしゃいます。少しずつ生理の軽い日から使ってみて、慣れれば下着と同じ素材なので、違和感がまるでないんです。生理が来ることが憂鬱になることもない。しっかりとした安定感があって、心も落ち着きます。」(前田さん)

布ナプキンの商品が豊富に揃う

布ナプキンの商品が豊富に揃う

はじめて布ナプキンをつかう人のためにつくられたリーフレット

はじめて布ナプキンをつかう人のためにつくられたリーフレット

生理が楽しみになる、生理がつらくなくなるという布ナプキン。メイド・イン・アース自由が丘店では、月に1回「手作り布ナプキンワークショップ」が行われているのだそう。気になっているけど、あと一歩踏み出せない人は、試してみてはいかがでしょう?