子どもに安心・安全な食品を食べさせたい、しっかりした味覚を身につけさせたい、そういうお母さんは多いでしょう。桜上水駅前の小さなパン屋さん”ベーカリーウッドペッカー”は、そんなお母さん方にぜひ一度行っていただきたいお店です。
手作り感いっぱいの店内はパンへの愛情でいっぱい
桜上水駅から歩いて1分、手描きの可愛いキツツキの看板がお店の目印です。お店の中には、たくさんの種類のパンが、所狭しと並べられています。商品のポップにはそれぞれのパンの詳しい説明があり、お店のご主人が声をかけてきたような「焼きたて 美味しいですよ!!」の札に思わず頬がゆるみます。
お店のご主人のコメントを読むだけでおいしいパンの世界に誘われます。
キツツキの絵柄は奥様、看板はご主人の手作りです。ご主人の後藤さんは大の木工好きで、お店の看板から商品棚まで手作りだそうです。ウッドペッカー(キツツキ)という店名もそんな後藤さんの趣味からきているそうです。
素材へのこだわりが人気のパンを生む
一番人気は、”バターブレッド”。子どもからは、”UFOパン”と呼ばれているそうです。
パンのかたちは、UFOマニアにはおなじみのアダムスキー型UFOにそっくりです。底の羽根はパリパリで甘く、上のパンはやわらかく薄味、中にはさまれた四つ葉バターの味わいが引き立ちます。昔、幼稚園に卸していたこともあるので、「懐かしい」と買いに来てくれるお客さんも多いそうです。
人気No.1のバターブレッド(右)と弟分のフラワーUFOパン(左)
このお店では小さな子どもを連れたお母さんにも、やさしいパンを作っています。たとえば、”レーズンロール”。小さなお子さんを連れたお母さんが一緒にちぎって食べるのにちょうど良い大きさのリング型です。”小型食パン”も外から帰ってきた子どもにちょっとだけ切って食べさせるのによいサイズを心がけたとか。
抱っこしたお子さんにちぎって食べさせるお母さんの姿が目に浮かびます。
小さくても食パンです。
自家製の北海道小豆を使ったつぶあんで作ったライ麦のアンパンも人気だそうです。つぶあんを少しいただくと、口の中で溶け始めてから、ほのかな小豆の香りが感じられ、自然な甘さがじんわりと広がります。
ライ麦のアンパンは中身がぎっしり
ウッドペッカーは、毎日食べても安全・安心で食べ飽きないパン作りを心がけているそうです。天然酵母は、30年以上種を注ぎ足して使っているもの。使用している果物や野菜は松原の自宅の菜園で有機栽培されたもの。他にも、100%国産小麦、バターは「四つ葉バター」、塩はメキシコまたはオーストラリアの天日塩と沖縄の海水で作った「シママース」等、身体にやさしい厳選された材料ばかりです。
自家製酵母、ほのかに甘酸っぱいよい香りがします。パン生地そのものが味わい深くつくられています。
「うちのパンは食べた瞬間に『おいしい!』ってわけじゃないんですが、噛みしめていただいて初めて、じわっとくるおいしさなんです」と、お店の畦田(あぜた)さんがウッドペッカーのパンのおいしさを教えてくれました。
身体にやさしいパン屋さんは地球にもやさしい
ウッドペッカーは地球環境保護に深く共鳴し、当初から、様々なエコな取り組みをされています。
例えば、生ごみは世田谷区から提供された”コンポスト”※1でたい肥にして自家菜園で使用しています。卵の殻まで焼いてたい肥にするそうです。また、そもそもの食品ロスを出さないために、焼き上げてから時間が経ったパンは、値引き販売しています。さらに、プラスチックごみを削減するために、プリン用のスプーンを紙のスプーンに替えて5円で提供、売上は全額「福島の子どもたちを支援する団体」に寄付しています。加えて、電気も自然エネルギーの会社に切り替えたそうです。
こうした取り組みを経て、世田谷区がすすめる環境にやさしいお店の登録制度「せたがやエコフレンドリーショップ」※2 の募集を知り登録されました。
プリン用のスプーンはプラスチックから紙製スプーンに
ウッドペッカーには、子どもも毎日安心して食べられるパンづくり、そして子どもたちの未来のために地球環境をまもるという強いこだわりがあります。
小さな子ども連れのお母さんの中には、子どもが無邪気にパンに触ってしまわないようお店の外で待たせる人もいるそうです。しかし畦田さんは、「お母さんとご一緒なら大丈夫ですよ。小さいお子さんのいるお母さんにこそ、お子さんとご一緒にパンを見ていただきたいんです」といいます。お子さんに安全・安心なパンを食べさせたい。食べ物本来の味を味わわせたいお母さんにおススメしたいお店です。
これからは自家菜園でつくった“キンカン”のパンが店頭に並ぶそうです。日差しに温かさが感じられるようになったら、上水公園の散策を兼ねて親子で訪ねてみてはいかがでしょう。
マスク越しでも笑顔が素敵な畦田さん
※1「コンポスト」とは
生ゴミや、枯れ草などの有機物を微生物の発酵分解によって、たい肥化するための道具
※2「せたがやエコフレンドリーショップ」とは
食品ロスの削減やプラスチックごみの削減に積極的に取り組む飲食店や小売店等を世田谷区が「せたがやエコフレンドリーショップ」として登録し支援する取り組み