世田谷美術館では、「作品のない展示室」が開催されています。
はじめに出迎えるのは、作品がない展示室の大窓から見える砧公園。みどり豊な景色や建物そのものが作品のようなユニークな企画です。また、「建築と自然とパフォーマンス」コ―ナーでは、美術の枠を広げ、音楽会やダンスパフォーマンスなど、独自に取り組んできた貴重な活動も観る事が出来ます。何もないようでも、何かが感じられる「世田谷美術館」へ行ってみませんか?
◆開催概要
私たちは、これまでに経験したことのない大厄災の時を迎えています。
社会の隅々まで影響がおよぶなかで、世界中の美術館が、美術館本来の在り方を問い、展覧会等々の事業を見つめなおしています。予定していた展覧会も準備に支障が生じ、海外から作品を借用することがむずかしくなり、まったく将来の見通しが立てにくい状態です。
そのような現状を考慮して、このたび「作品のない展示室」を、虚心にご覧いただくことにいたしました。
世田谷美術館は、四季折々にさまざまな表情をみせる都立砧公園のなかに位置しています。砧公園は、春には桜が咲きほこり、夏は大きな木陰が涼風をまねき、秋は多彩な木々の紅葉を楽しめ、冬には時に素晴らしい雪景色につつまれることもあります。
1986年に開館した世田谷美術館は、建築家・内井昭蔵(1933- 2002)によって設計されました。そして、内井昭蔵は次の3つのことを、美術館設計の上でのコンセプトとしました。
「生活空間としての美術館」、「オープンシステムとしての美術館」、「公園美術館としての美術館」。
こうしたコンセプトに基づき設計された世田谷美術館には多くの窓があり、また来館者を迎えるのも正面玄関だけではありません。周囲の環境と一体化しようとする、とても開放的な建物になっています。美術館は単に収集し、保存し、展示するだけではなく、音楽、演劇といったパフォーマンスなど、さまざまなジャンルの総合化の機能も重要視される施設です。
実際に世田谷美術館では、開館以来、音楽会やダンス公演をはじめ、さまざまなプログラムを開催し、このたびの「作品のない展示室」でも、ギャラリーに「建築と自然とパフォーマンス」と題したコーナーを設け、これまでの活動の一端をご紹介いたします。
窓を通して砧公園の緑ゆたかな風景を眺め、可能ならば、自らの心のなかに、これまで見てこられた数々の展覧会の一齣でも想い浮かべてくだされば幸いです。
◇特集「建築と自然とパフォーマンス」
開館以来30数年、当館はユニークな建築空間と館外の自然環境を活かしつつ、またそのときどきの展覧会に合わせて、音楽やダンスなどのパフォーマンスを数多く行ってきました。およそ400本に迫るそれらのパフォーマンスから約40本を選び、記録写真のスライドショーや記録映像を大きくプロジェクションしてお見せするほか、チラシなどのアーカイヴ資料もあわせてご紹介します。
◆日時
~8月27日(木) まで 10:00~18:00
休館日:毎週月曜日(祝・休日の場合は、開館)
※8月10日(月祝)は開館、翌8月11日(火)は休館
◆会場
世田谷美術館 1階展示室
◆観覧無料
◆主催
お問合せ先:世田谷美術館 (公益法人せたがや文化財団:世田谷区砧公園1-2)
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/
「作品のない展示室」
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00203
◆同時開催 ミユージアムコレクションⅠ
「気になる、こんどの収蔵品-作品がつれてきた物語」
(2階展示室:一般200円ほか)
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/collection/detail.php?id=col00106
◆「セタビカフェ」夏の新メニュー
併設の「セタビカフェ」では、夏スペシャル、ビールやワインにあう、「オードブルバリエ」や「アイスクレーププレート」。観覧後のひとやすみにいかがでしょうか。
https://www.cafe-setabi.com/