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「小さな森」とは、(一財)世田谷トラストまちづくりが独自で設けた制度に登録されたお庭のことです。世田谷区内にある50㎡以上であれば、「小さな森」として申請することが出来ます。所有者は、任せるだけでなく、「自らみどりを守り育むことの大切さ」を理解し、トラスト活動に協力したいという意志を持ち、登録しているそうです。
「小さな森」オープンガーデンは、身近なみどりの大切さを普及するため、その所有者とボランティアの協力により、年に数回、お庭をひらいているイベントです。
「現在は、11箇所が登録されています。『小さな森』は、実際には“森”でなく、個人が育てているみどりです。しかしそれがたくさん増えていくことによって、点が線になり、面になって、やがて『大きな森』になる。それを願って、名付けられました。一つひとつの庭は小さなみどりかもしれませんが、それを繋げていくことによって、世田谷にみどりの輪が広がっていくことを願っています」(トラストまちづくり課 丸山理恵子さん)
みどりから生まれる交流
この日のオープンガーデンは、「豪徳寺一丁目小さな森」で行われました。奥行きのある和風のお庭は、すっかり春の装いで、ツバキやハナミズキ、オキザリスなどが咲いていました。聞けば今だけでなく、このお庭は、季節ごとに順に花が咲き、実りがあるよう工夫がされているそうです。昔懐かしい縁側に座り、日向ぼっこをしながらお庭を眺めていると、心もほっこりしてきます。
リピーターの方から、初めて訪れたという女性、小さなお子さん連れの親子まで、約20名の来場者は、それぞれのペースでゆったりと過ごしている様子。そして、花や木々を共通言語に自然と会話が生まれてきます。
花やみどりには、人を笑顔にしたり、仲良くさせるパワーがあるようです。
みどりだけでなく人と人の繋がりも生まれていました。
鳥も生き物も、ここがあるから生きていける
「小さな森」オープンガーデンでは、毎回、グリーンアドバイザーによる「ミニガイド」の時間があります。今日は、木村智子さんによる「緑の回廊」というお話。
「鳥や虫などの生き物が生きていくためには、移動することのできるある程度のみどりの面積が必要です。東京のように都会化が進み、みどりが少なくなると、生き物の食べ物が足りなくなってしまいます。そんなとき、『小さな森』があれば生き物は移動しながら、いろいろなみどりに頼って四季を過ごすことができるんです。たった一鉢でもいいんですよ」(木村さん)
世田谷のようなまちなかでは、まとまったみどりの確保はとても難しくなっています。しかし、私たちがそれぞれ愛好する植物を育てることにより、多様な種類が育ちます。生き物も好みは様々ですから、多種の虫や鳥が利用できることになります。それが、まちなかでは、みどりとみどりを繋ぐ、回廊の役割を果たすのです。分断された野生生物の生息地を繋いで、生き物が移動できるようにする連なりを、「緑の回廊」と呼びます。
もちろん、昆虫や鳥が移動することによって、花粉や種子が運ばれ、みどりも繁殖することができます。また、光合成をして、二酸化炭素を酸素に変えたり、でんぷんなどに変え、他の生き物に養分を与えてくれます。まさに、みどりが私たち生物の命を繋いでいるのです。
今日、みどりをひとつ増やして育ててみよう。できることから始めよう。そんな気づきを得たオープンガーデンでした。
(撮影:小林友美)
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「小さな森」オープンガーデン開催日や参加申し込みなどの詳細は、
(一財)世田谷トラストまちづくり トラストまちづくり課まで。
TEL:03-6407-3311
>> http://www.setagayatm.or.jp/
※ お庭を地域にひらく「小さな森」制度に、ご興味のある方、トラストまちづくり課までお問い合わせください。
※ ボランティアも随時、募集しています。