三軒茶屋 日常を見限らない 音風景のワークショップ

日常生活の中で見落とされた無数の出来事を、研究者やアーティストと五感を使って味わい直すワークショップ・シリーズ。

会期:2020年11月01日(日) 2020年11月21日(土)
会場:ワークショップA(4F) / ワークショップB(4F)

編集された世界を生きる私たちが初々しい日常と再会する

庭先のさわさわと鳴る木々の音に、幼い頃の記憶が蘇って爽快な気持ちを抱くことがあります。私たが暮らす「家」には、音楽・語らい・騒音・自然音などさまざまな音が鳴り響いています。しかし外部から得る情報の9割近くを視覚に頼るといわれる私たちは、無意識のうちに多くの情報を「選択・省略・編集」しながら過ごしています。家の中には、聴きそびれている《音風景》が無数にあるかもしれません。

本企画は、研究者やアーティストと共に五感をフル活用し、生活の中で起こっていることと丁寧に向き合う方法を学び・体験することで、見落とされた無数の日常の出来事を味わい直すワークショップ・シリーズです。vol.1《音と身体》、vol.2《匂い》につづき、vol.3では、《音風景》をテーマに開催します。

2020年、私たちは多くの時間を「家」で過ごすことになりました。本企画では、「家」のそこかしこに点在する記憶や感情に関わる生活の音を収集して《わたしの日常》を言葉とともに綴る音日記を制作します。無意識の中に埋もれた《わたし/あなた/みんなの日常》をそれぞれの音風景から振返り・見つめ直す機会となれば幸いです。

音風景[Soundscape]:個人や特定の社会によって構成されるさまざまな音環境を指す概念。

※本企画は全行程にカメラが入り記録映像をWEB上で後日公開します。
※新型コロナウイルス感染状況により、内容に変更が生じる場合があります。

≪TALK≫ サウンドスケープとの出会い

サウンドスケープ研究の第一人者である鳥越けい子氏を迎え、サウンドスケープ(音風景)とは何か、またその概念が生まれた歴史的背景や経緯について解説いただきます。あわせて、音環境を文化として捉えた建築やまちづくり等の事例も紹介。
サウンドスケープから私たちの日々の暮らしの内実をより豊かにするための実践的な方法を伺います。

日程:11月1日(日)11:00~13:00
会場:ワークショップルームA
講師:鳥越けい子
参加費:1,000円
定員:30名(申込先着)
申込:9月25日(金)10:00よりHP申込フォームより

鳥越けい子[音風景研究家/サウンドスケープ・デザイナー]

サウンドスケープ(音の風景)をテーマに、日本各地の「環境文化資源」を調査研究すると共に、環境保全を視座に入れたまちづくりやワークショップ、コミュニティ・アート等の活動に展開。近代文明の枠組みを再統合するサウンドスケープ概念の可能性、失われた風景の在り方等を追求している。著書に『サウンドスケープ:その思想と実践』等。現在、青山学院大学総合文化政策学部教授、日本サウンドスケープ協会代表理事。

≪WORKSHOP≫ 日常の音風景

初日は、日常の中で聴きそびれている多様な音を再発見する方法を学びます。それを受けて参加者は家に点在する記憶や感情に関わる生活の音を収集して《わたしの日常》を言葉とともに綴る音日記を制作。
最終日は、音日記とそれを元に講師が作曲した10名分の音楽を発表・共有して、それぞれの日常について振返ります。最後に、講師が音日記やそれにまつわる「語り」を組み合わせた《みんなの日常》を即興演奏して締めくくります。

日程:11月1日(日)15:00~17:00、11月21日(土)13:00~17:00[2日間完結]
会場:ワークショップルームB
講師:永田壮一郎、鳥越けい子(11月1日のみ)
対象:高校生以上。録音&写真機能付端末(携帯電話やタブレット等)をお持ちで、音声&画像ファイルをメールで添付送信ができる方
参加費:2,000円[2日分]
定員:10名(申込先着)
申込:9月25日(金)10:00よりHP申込フォームより

永田壮一郎[作曲家/音楽家]

楽器以外の音を使って音楽を作る。視点を変える、忘れていたことを思い出せるような体験を目指して活動。
2002年よりKIJIMA SOUND SYSTEMを組織。2014年から2016年まで瀬戸内国際芸術祭公式プログラム「よるしるべ」に参加。2018年より中国、アメリカで活動を開始。キリンビバレッジ「世界のkitchenから」などCM曲多数。アルバムの視聴はこちら。
THOMAS RECORDINGS

第6回世田谷区芸術アワード“飛翔”生活デザイン部門 受賞作品展 未来に伝えるせたがや今ばなし

会期:2020年10月24日(土)~2020年11月22日(日)

時間:9:00~21:00 月曜休み

会場:生活工房ギャラリー(3F)

 

2020年の「今ばなし」が、いつか未来の「昔ばなし」になる──。

アートコレクティブ「あの海は山のよう」は、企画に応じて音楽家やダンサーなど多彩なクリエイターとともに、パフォーマンスを中心とした作品を発表してきました。主宰者である椎木彩子は、言葉を採集して作品制作を行うアーティストです。

本展では、現代の〈民話〉を紡ぐために約3ヶ月かけて開催したワークショップの成果を発表します。当初は対面のワークショップで集めた言葉を創作のヒントにする予定でしたが、コロナ禍によって断念し、非対面の「テレ(=遠隔)ワークショップ」へと変更して実施しました。6人の参加者によって自宅で綴られた手紙や詩、造形物をもとにアーティストが紡ぎだす現代の〈民話〉は、未来の人々にどのように受け止められるのでしょうか。

会場では、この〈民話〉をもとにした紙芝居の公開制作も行われ、まさに現在進行形の物語が展開されます。2020年の「今ばなし」が、いつか未来の「昔ばなし」になる──。コロナ禍の暮らしから生まれた「今ばなし」をどうぞご覧ください。

【終了】家族って しまおまほと家族、その記憶と記録

kazoku_01karui

“しまお家”を通じて家族を探る展覧会

会期:2019年09月21日(土)~2019年11月10日(日) 時間:9:00~21:00 入場無料、祝日をのぞく月曜休み 会場:生活工房ギャラリー(3F)

おかしくも、切ない、家族の記憶と記録

エッセイストのしまおまほさん。父方の祖父母はともに作家の島尾敏雄、島尾ミホ。そして両親はともに写真家の島尾伸三、潮田登久子。そんな家族の存在は、自身の日常を題材にしたエッセイにもしばしば登場し、ときにおかしく、ときに切ないエピソードとともに綴られています。しまおさんにとって家族は、最も身近で、かつ大切なテーマといえるでしょう。2015年に出産した息子と母子で暮らし、古希を過ぎた両親の姿とすくすく育つ子どもの姿を見守るしまおさんは、娘として母として、いま、家族の新たな風景を見つめています。

社会やライフスタイルの変化にともない、多様な家族のかたちがある現在。本展は、しまおさんとともに改めて「家族」について考える展覧会です。しまおさんが綴った家族をめぐるエッセイ、両親が撮影した家族写真をはじめ家族にまつわる品々を紹介します。

家族の景色 しまおまほ

今から約40年前、豪徳寺にある洋館の一部屋でわたしたち家族の暮らしは始まりました。昼間は隣の敷地に住む2つ年上のカヨちゃんとおままごと、午後になれば同じ洋館で暮らす小学生のお兄ちゃんたちが学校から帰ってきて、みんなで追いかけっこ。陽が落ちたら部屋に戻って父、母と3人で静かな夜を過ごしました。洋館の大きな窓からは豪徳寺の森とお墓、そしてポツンポツンと夜空に光る星が見えていました。

きっとこの生活がずっと続くんだろうと、思っていた幼い頃。

その後近所の母の実家へ越し、祖父母との5人暮らし、そして祖父、祖母を自宅で看取ります。また3人暮らしになって……。息子が生まれて。

家族の日常は、少しずつカタチを変えていきました。

離れて暮らしていた父方の祖父母、叔母との関係も。年齢を重ねるごとに気づく、彼らへの想い。彼らの身体が消えてなくなった今も、その気持ちが深まっていく不思議。

鳥が種を運び、落とした場所に芽がでるように。いろんな偶然と必然が折り重なって家族はそこにいるのかもしれません。

豪徳寺のお寺とその上に広がる夜空。その側で暮らし、過ぎて行く年月。そんなわたしたちの暮らしの意味を、考えはじめているところです。

しまおまほ プロフィール

エッセイスト・漫画家。1978年生まれ。多摩美術大学卒業。1997年に高校生のときに描いた漫画『女子高生ゴリコ』でデビュー。雑誌や文芸誌でエッセイや小説を発表するほか、ラジオのパーソナリティとしても活躍。2015年に第一子を出産。著書に『まほちゃんの家』『マイ・リトル・世田谷』『ガールフレンド』などがある。
https://www.setagaya-ldc.net/relationship/30/

関連イベント

トークイベント「家族を記すこと しまおまほと植本一子」

写真家であり、家族に関する著作やエッセイも多い植本一子さんとともに、日常生活や家族との関わりから生まれる創作についてお話しいただきます。

日時:10月5日(土)14:00~15:30

会場:ワークショップルームB

講師:しまおまほ、植本一子

参加費:1,000円

定員:50名(先着)

申込:8月25日10時より電話、メール、HP内の申込フォームにて受付開始
https://www.setagaya-ldc.net/program/457/

主催:公益財団法人せたがや文化財団 生活工房
企画制作:杉本勝彦
後援:世田谷区、世田谷区教育委員会