2月18日、二子玉川の快晴で穏やかな多摩川河川敷で「(一財)世田谷トラストまちづくり(以下、トラまち)」が主催した「早春のバードウォッチング」に初めて参加してきました。
「野鳥ボランティア」がガイドする野鳥観察会
二子玉川の兵庫島にあるひょうたん池に集合。子どもから年配の方まで、52人の参加者が、全10グループに分かれ、グループ毎に「野鳥ボランティア」の皆さんが2~3人ついてガイドしてくれます。
「野鳥ボランティア(以下、鳥ボラ)」とは、トラまちと協働するトラストボランティア団体の1つです。世田谷で野鳥観察や野鳥観察会ガイド、調査、報告、環境保全活動などを行っています。このイベントは、トラまちと鳥ボラさんが、区民向けに30年以上続けている活動です。
まずは、観察の時に野鳥が逃げてしまわないように、①「大声を出さない」、②「走らない」、③「望遠鏡より前に立たない」という3つの基本ルールを確認しました。
野鳥観察のスタート
いよいよバードウォッチング開始。今回、笑顔が素敵な鳥ボラガイドさんのもと、親子で参加された2組とご一緒しました。「兵庫島」から、「平瀬川(川崎側)」が多摩川に合流する手前までを往復し約1.2kmを皆で歩きながら野鳥観察します。
双眼鏡の使い方のポイントは、まず双眼鏡を覗いて、2つの円が1つの円になるようにあらかじめ設定しておきます。そして肉眼で野鳥を見つけたら、顔を動かさず、双眼鏡を目に合わせて観察していきます。
兵庫島で草をついばむオオバン(冬鳥)。体が黒く、くちばしと額が白く、目が赤いのが特徴です。数羽で川底の水草や地上の草を食べていました。
オオバン(写真提供:野鳥ボランティア)
カルガモ(写真提供:野鳥ボランティア)
水辺の野鳥の生態や自然環境についてわかりやすく教えていただきました。
多摩川の自然環境の今
「過去、多摩川をはじめ多くの川が生活排水で汚染され、カワセミも住めなくなった時期がありましたが、行政、企業、家庭の努力によって水質が改善され、カワセミが戻ってきました。もともと河川敷がとても広く川、草地、樹林があるため自然豊かで、そこに生息する多様な種類の野鳥を見ることができます。冬であれば、約40種類見ることができます。しかし、近年は、2019年の台風19号により川底の水草がさらわれてしまい、水草を餌としていたカモ等が減ってしまいました。また、温暖化等の影響で、中国やロシアから越冬しに来るるはずの冬鳥が減っているといわれています。」鳥ボラさんは、多摩川の自然環境の特徴について教えてくれました。
なお、野鳥には一年中見ることができる”留鳥(りゅうちょう)”と、越冬しに来る”冬鳥(ふゆどり)”、夏に来る”夏鳥”がいます。カルガモやカワセミ、カワウは”留鳥”。一方コガモやオオバン、セグロカモメは”冬鳥”です。ツバメなどは”夏鳥”です。
カワウ(留鳥)が多摩川に潜って魚を食べています。カワウがいるということは、川に魚がたくさんいるということです。それぞれの環境に野鳥がいることの理由があります。
きれいなグリーンの目が特徴のカワウ(写真提供:野鳥ボランティア)
多摩川の上を飛んで迎えてくれたセグロカモメ(冬鳥)。餌を探しているのでしょうか。羽を広げると1.5メートルもある大きい野鳥です。(写真提供:野鳥ボランティア)
野鳥ボランティアさんのガイドで発見!貴重な世田谷の野鳥
鳥ボラさんが、次々と野鳥を発見し、「入っているよ~」(野鳥が見ることができるように望遠鏡の向きを合わせたよ)と教えてくれます。
国道246号の橋の鉄骨に、ハトくらいの大きさのチョウゲンボウ(留鳥)を発見!小動物やバッタを狙っているそうです。
鳥ボラさんが合わせてくれた望遠鏡をのぞいてみると・・・
チョウゲンボウ(写真提供:野鳥ボランティア)
鳥ボラの皆さんは、声、飛び方、形や色などから、野鳥の種類を見分け、永年の勘で居場所を見つけることができるそうです。鳥ボラさんのように見分けられるとどんどん楽しくなってきました。
橋の下に作られた針金のハンガーの巣はハシブトガラス(留鳥)
ハシブトガラス(写真提供:野鳥ボランティア)
飛行機や三角定規のような羽の形で滑空するのはムクドリ(写真提供:野鳥ボランティア)
約1時間の観察で鳥ボラさんのガイドで、全17種類もの野鳥と出会うことができました。また鳥ボラさんが向ける望遠鏡の先には、普段肉眼で見るのと違い、野鳥の表情や動作まではっきりとわかります。わかりやすいガイドで、野鳥がなぜこの季節に、ここ多摩川の河川敷にいるのかまで詳しく知ることできます。
鳥ボラさんは、子どもの質問にも真剣に答えてくれます。子どもも楽しめるバードウォッチングです。
多摩川の水辺に、毛皮をまっとったようにジッとしている“アオサギ”(留鳥)
アオサギ(写真提供:野鳥ボランティア)
野球場には、すばしっこく動き回る「ハクセキレイ」(写真提供:野鳥ボランティア)
野鳥にも人にもすごしやすい環境づくりに向けて
主催したトラまちは、世田谷のみどり等の自然環境を守ること、地域のコミュニティづくりを区内20以上の団体と協働して活動しています。今回鳥ボラさんとのイベントについて「観察をとおして、野鳥がくらす多様な自然に目を向けてもらい、人にとっても野鳥にとってもすごしやすい環境について考えるきっかけになれば」とトラまちの担当者は話します。これからも世田谷の自然環境に関わる様々な区民向けの企画を開催していくそうです。
“モズ”(留鳥)の、くっきりとした黒いアイラインとなんとも言えない体の丸い質感がかわいい鳥。しかしカエルやバッタなどを枝に刺して“はやにえ”という保存食にする鳥でもあります。
モズ(写真提供:野鳥ボランティア)
いつかカワセミを見てみたい
このイベントは、河川敷を歩ける服装と靴、飲み物があれば大丈夫でした。双眼鏡も借りることができました。時間は約1時間30分程度。子どもから年配の方まで誰でも気軽に参加することができ、はじめてのバードウォッチングには、ぴったりのイベントだと思いました。
そして何より野鳥がなぜ多摩川の自然環境にいるのかわかった気がしました。身近なところにいる野鳥と自然に興味を持つきっかけになりました。
いつか、“マイ”双眼鏡を持って、今回見られなかった多摩川の川面を飛ぶカワセミに会ってみたいと思います。皆さんも是非、気軽に参加できて、野鳥と世田谷の自然環境にちょっとだけ詳しくなれる世田谷トラストまちづくりさん・野鳥ボランティアさんの「バードウォッチング」に参加してみてはいかがでしょうか、とてもおすすめです。
いつか見てみたい「カワセミ」(写真提供:野鳥ボランティア)
今回観察できた野鳥17種
カルガモ/コガモ/カワウ/アオサギ/ダイサギ/コサギ/モズ/ハシボソガラス/ハシブトガラス/ヒヨドリ/ムクドリ/ツグミ/ハクセキレイ/カワラバト/オオバン/セグロカモメ/チョウゲンボウ
イベントに参加すると、世田谷のミニ野鳥図鑑「KEY BIRD 66」がもらえます。鳥のシールがついているので、見つけた鳥を図鑑に貼っていくことがきます。
世田谷の野鳥を観察して32年を迎えた「野鳥ボランティア」さんでは、ボランティアのメンバーを募集しているそうです。自分も鳥ボラをやって野鳥のことをもっと知りたいと興味のある方は、是非お問い合せしてみてください。
野鳥ボランティアの皆さまありがとうございました。
(一財)世田谷トラストまちづくり
電話03-6379-1620(平日8:30~17:00)
※イベント情報などはトラまちSNSでご確認いただけます
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