食と健康のプロを目指す食糧学院「食糧祭」の開催

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本格的な秋シーズンが到来しました。芸術祭や学園祭など、さまざまな催しが行われるこの季節。ここ世田谷でも、各学校や団体によるイベントが開催されます。

世田谷区池尻2丁目にある食糧学院では、11月3、4日に「食糧祭」を開催します。創立73周年を迎えた食糧学院は、食と健康のスペシャリストである栄養士・管理栄養士を養成している専門学校です。
今年の食糧祭のコンセプトは「がんばろう東北!2012 ~食で健康に笑顔の絆~」「助け合う世界」をテーマに、昨年に引き続き東日本大震災復興支援をメインとしたプログラムが開催されます。

例えば、日本と世界の東北にちなんだ模擬店として、日本は青森・秋田・宮城、海外はインド・スペイン・スイスなどの各国各地域にちなんだ料理を出展します。また、東北ならではの伝統芸能や物産展、東北産の食材を使った料理、そのほか東北支援協力バザーなども行われます。

また、当日のイベントとして、津軽三味線の演奏や、チアリーディングやヒップホップダンス部によるパフォーマンスが行われます。学生達の元気いっぱいのパワーを見ることができそうです。また、食糧学院ならではの企画「本場手打ち中華麺の実演会」では、できたての中華麺を試食することができます。
その他、体験教室では、フェイクスイーツやハーブ石けんづくりなど、女性や子どもが楽しめるイベントも開催される予定です。

このようなさまざまな企画に加えて、展示ブースでは、日頃学生が学んでいる各学科の授業等についてパネル展示を行います。また、茶道部やスポーツ栄養など、各クラブの展示も行われ、学生達の日頃の成果やキャンパスライフを知ることができそうです。

案内マップもポップでユニーク。学生達が思考を凝らした企画が目白押しです。美味しいものを食べて復興支援にもつながり、楽しむことができる食糧祭に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

食糧学院
http://www.shokuryo.ac.jp
問い合わせ先:食糧学院 広報企画部 03-3424-9112

ここは世田谷区世田谷1丁目。上町「栄寿司」山本正裕さん

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ピッ、ピッと、流れるような身のこなしで寿司を握る「栄寿司」の山本正裕さん。自ら市場に仕入れに行くという新鮮なネタを使った寿司は絶品でした。でも、高級で緊張するカウンターではなく、座るとホッとする雰囲気があります。

「うちは、敷き居の低い寿司屋がモットーだからね」と山本さん。酒瓶と一緒に並んでいたのはタバスコ。えっ、お寿司屋さんに!?

「あ、これは生の岩牡蠣にかけると美味しいんですよ。今日の牡蠣は宮崎の日向灘産。それと『舌切(したきり)』もオススメの肴だね。これは、青柳(あおやぎ)からヒモを抜いたもの。酢の物でもいいし、握りもいけますよ」

うーむ、これはいかにもお酒が進んでしまいそう。ところで小学校2年生までは三軒茶屋で育ったそうですが、当時はどんな街でしたか?

「1960年代のすずらん通りは、血気盛んな男性が多かったなぁ。日本中がそういう時代だったから、子どもながらに覚えてますよ。通っていたのは太子堂小学校。前を流れる川に面して染物屋さんがあってね。水面にロープを張って、反物を流して色抜きしていたのが鮮やかでした。その頃は、水が綺麗だったからね」

まだ、開発前夜の時代。世田谷警察署の裏あたりに牛舎があって、放課後は牛を眺めに行ったとか。1956年創業の栄寿司はその後、上町へと移転します。上町で育ち、高校卒業後、大阪の調理師学校に入り、有名ホテルの料亭で修行した山本さん。お父さんと一緒に栄寿司の調理場に立ったのが21歳のときでした。

三軒茶屋から世田谷通りを西へ。または、のんびり東急「世田谷線」に揺られて辿り着く上町駅は、世田谷のいわば「ヘソ」に当たる地点。お隣りの世田谷駅には、世田谷区役所、総合支所、税務署や保健所も集中していますが、なぜこの場所が中心地なのでしょう?

「江戸時代はここにお代官様がいたからね。お屋敷は今、『世田谷代官屋敷』として一般公開されていますよ。私は敷地内にある『世田谷区立郷土資料館』に行くのが好きですね。職業がら、見事な刃物の収蔵物には目を見張ります」

代官屋敷の目の前にある通りが、栄寿司が店を構える通称「ボロ市通り」です。隣接した敷地には弓道場もあって、週末は駅から弓を携えた人々の姿も。日本の風情がありますね。

「この道は大山街道と呼ばれ、古くから街道をつなぐ交通の要衝だったそうですよ」と山本さん。なるほど、住所も世田谷区世田谷1丁目です。

この地に伝わる冬の風物詩が、有名な「世田谷ボロ市」。上町駅から世田谷駅の間にかけて12月15日・16日と1月15日・16日の年4日間だけ立つこの市は、数百店舗にアンティークの雑貨や掘り出し物の骨董品がズラリと並んで圧巻です。その期間、栄寿司も大混雑では?

「ええ。この4日間は、席の予約はお断りしています。常連さんもカウンターの後ろに立って、並んでお待ちいただきます」

ボロ市名物、つきたての「代官餅」(あんこ、きなこ、辛み大根の3種類)を頬張りながら、買い物のそぞろ歩きも楽しい市。世田谷城下で始まった楽市がルーツで、実に400年以上の伝統を誇ります。現在のボロ市は、町会と商店会が中心の「せたがやボロ市保存会」が大切に受け継いでいるもの。

「このあたりは歴史を辿りながらの散策にいいですよ。上町から北へ豪徳寺方面へ進んだら『世田谷城址公園』がありますし。城のお姫様は、白鷺が羽を広げたように花が咲く『鷺草(サギソウ)』の伝説が有名ですね。世田谷区の区の花になっているくらいですから」

11年前にお父さんが亡くなるまで、山本さんは父子二代で暖簾を守ってきました。現在のお客さんには、三軒茶屋に店があった時代から三世代にわたって通われる常連さんもいらっしゃるそうです。ランチではボリュームたっぷりのちらし寿司が、夜はドイツやオーストリアのクラフトビールも手頃な価格で楽しめる、決して気取らない街のお寿司屋さん。代々のファンが多いのが頷ける名店です。

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上町での営業は約半世紀、ボロ市通りに面した「栄寿司」さん。毎年12月と1月の15日・16日に開催される「世田谷ボロ市」の4日間は、店の前が多勢の人々で賑わいます。東急・世田谷線も臨時ダイヤで運行。

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見事な手さばきで握られていく寿司。ネタケースに並んだ新鮮な素材のほかにホワイトボードにある「本日のオススメ」にも注目。意外なネタを仕入れていることも。ビールやお酒の銘柄もお客さんからのリクエストに応え、オススメを豊富に取り揃えています。

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上寿司1,500円は味噌汁付き。奥に見えるのがオリジナルの本格焼酎「世田谷ボロ市」(芋/麦)。このラベルは、山本さんがパソコンでデザインしたそう。迫力ある文字がカッコイイです。グラス一杯600円、ボトルキープ3,000円。お持ち帰りのお土産は2,000円です。

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ズラリと並んだ湯のみコレクションの理由を尋ねると「親戚の半分近くが寿司屋を営んでいるから」だそう。座敷席には家族連れも多く来店するそうです。出産祝いに赤ちゃんと駆けつけた常連さんもいらっしゃるということで、愛されるお店の様子が伝わってきますね。