自然素材や廃材で物づくりをしながら、未来の地域コミュニティ作りを

自然工房「森の民」

自然工房「森の民」

「物作り」を通して自然を守りたい。そんな想いから始まった自然素材の物作り工房

桜新町駅から徒歩15分ほど歩いた閑静な住宅街に「森の民」はあります。外観はごく普通の一軒家。でも、玄関には年季の入ったツリーハウスや流木や石が、一見無造作だけど、まるでオブジェのように置かれています。その不思議な雰囲気にワクワクして扉を開けてみると、室内は天井や壁、床、いたるところに流木や枯れ枝などの自然素材を使った素敵なインテリアが! 人の手が加わらない造形や風化によって生まれる独特な風合いがどこか懐かしく、不思議な魅力にあふる空間が広がっていました。

「この家にある物は、ほとんどがもらった物か拾った物か手作りした物です」と話すのは、代表の巌さん。どんなきっかけで、この工房をはじめたのでしょうか?

「6年前ほどに、物作りを通して「未来の子ども達に森を残したい」という信念を共有した人達が集まり『森の民』が始まりました。ここに工房を構えることができたのは、私たちの活動に興味を持ってくれた方が、東日本大震災の後、北九州に移住することになり、空き家になってしまうから活用してほしいという話をもらったことがきっかけです」1階は工房と談話室とキッチン。2階には4つの部屋があり、住居としても利用しています。

工房には天井から床まで自然素材がいっぱい。枯れ木や廃材の醸し出すさびれ具合が妙に居心地の良い空間に

工房には天井から床まで自然素材がいっぱい。枯れ木や廃材の醸し出すさびれ具合が妙に居心地の良い空間に

素材はすべて自然の物。木や石、陶器のボタンはファッションのワンポイントにもなりそう

素材はすべて自然の物。木や石、陶器のボタンはファッションのワンポイントにもなりそう

放課後に、子どもが40人くらい集まってきて……!?

工房の目の前は保育園と公園。すぐ近くには小学校もあります。そういった環境からか、まず初めに飛び込んできたのは、子どもだったそうです。「空き家で自然素材を使った物づくりをして、そこに地域の人が集まって盛り上がれば、何か面白いことが起きるのでは? と思い、まずは廃材を使って玄関にツリーハウスを建てたんです。そしたら子どもたちがブワーッと遊びに来て。多い時は40人くらい集まってしまい、これは大変だ!と思いました」

そこで巌さんは学校の校長先生をはじめ、子ども達の親御さんたちに、活動の趣旨や工房のことを理解してもらうことにしました。そうこうしているうちに、子どもだけでなく親や地域とも繋がりが増え、みんなでピクニックやお花見に行ったり、演奏会や陶芸教室を開催したり、活動もどんどん広がっていったそうです。「お互い使っていない物を譲り合ったりシェアしたり、そういったゆるい感覚の地域の繋がりを大事にしたいですね。自然を守る意識を伝えながら、子どもからお年寄りまで、未来の地域コミュニティ作りのお手伝いができればと思っています」

子どもたちの陶芸教室。巌さんがコツを教えながら、子どもたちは作りたい物を自由に製作します

子どもたちの陶芸教室。巌さんがコツを教えながら、子どもたちは作りたい物を自由に製作します

自然素材や廃材で作った楽器の演奏会。めずらしい形の楽器に、子どもたちは興味津々!

自然素材や廃材で作った楽器の演奏会。めずらしい形の楽器に、子どもたちは興味津々!

イベントでの出展風景。一番人気は「鼻笛」。鼻笛とはその名の通り鼻息で吹く笛のこと。口の中の空洞の大きさ(形や位置)を変えることで多彩な音がでます(メイン写真)

イベントでの出展風景。一番人気は「鼻笛」。鼻笛とはその名の通り鼻息で吹く笛のこと。口の中の空洞の大きさ(形や位置)を変えることで多彩な音がでます(メイン写真)

将来は、自然の多い「田舎」で自然の恵みを得ながら、物作りをして生活していきたい

「自然工房 森の民」の中には、「森の民」を含め、「土の民」「町の民」「音の民」「人の民」という5つの部族があります。「土の民」は農家の支援や森林・竹林の整備、ビーチクリーニングなどの活動を行っています。また、「森の民」で使用する素材や自分達で食べる野菜も育てています。「町の民」ではいらなくなった物や壊れてしまった物を、物作りの材料として再利用するために収集しています。骨董品などの物による活動の支援を頂いて活動資金を調達することも重要な役割となっています。「音の民」は自分達でつくった楽器や小道具で音楽やパフォーマンスを行い、自然や環境保全の啓蒙活動を行っています。「人の民」は人と人との繋がりに重点を置き、地域の方々と一緒に作るコミュニティ作りを目指しています。「森の民」はこの5つの部族によって、それぞれの活動をお互いに支援しながら日本の社会を考えていこうとしています。

「私たちの将来の夢は、この5つの部族の関わりをより濃くしていき、田舎に住みながらも都会と繋がっていける拠点を作って行くことです。皆が暮らせる山を所有できたらうれしいですね!」と、みなさん。一つの縁が新たな縁を呼び、どんどん活動が広がっていく「森の民」。夢を叶える日も、そう遠くなさそうです。

「土の民」の活動の一つ、農家支援。山形県村山市にある“いちゃ〜ファーム”で収穫後のスイカ畑の片づけをしている

「土の民」の活動の一つ、農家支援。山形県村山市にある“いちゃ〜ファーム”で収穫後のスイカ畑の片づけをしている

「土の民」の活動の一つ、ビーチクリーニング。海岸でのゴミ拾いで得た流木や割れたビンなどは「森の民」の物作りの材料に

「土の民」の活動の一つ、ビーチクリーニング。海岸でのゴミ拾いで得た流木や割れたビンなどは「森の民」の物作りの材料に

左から、物づくり担当のあやぱんさん、代表の巌さん、事務局兼「町の民」担当の陽ちゃん、パフォーマンス兼フリーの獣医さんの有ちゃん。写真には写っていませんが、「土の民」担当のトモくん、素材係のあみちゃん、楽器演奏担当のはるちゃん、発酵担当の加納君など8名がメインのメンバーとして活動しています

左から、物づくり担当のあやぱんさん、代表の巌さん、事務局兼「町の民」担当の陽ちゃん、パフォーマンス兼フリーの獣医さんの有ちゃん。写真には写っていませんが、「土の民」担当のトモくん、素材係のあみちゃん、楽器演奏担当のはるちゃん、発酵担当の加納君など8名がメインのメンバーとして活動しています

自然工房 森の民
住所:〒154-0016 世田谷区弦巻5-20-7
電話番号:070-5015-7557
https://ja-jp.facebook.com/morinotami

落書きおばけのドーレに夢中!リトミックショーを楽しむ親子カフェ

音楽教育法のリトミックを体験できる親子カフェ「Three Tea’s Cafe」

音楽教育法のリトミックを体験できる親子カフェ「Three Tea’s Cafe」

すべてが手作り! スタッフみんなが力を合わせて始めた親子カフェ

三軒茶屋駅から徒歩約7分、三軒茶屋と下北沢を結ぶ、茶沢通りから続く太子堂中央街(通称あいあいロード)のはずれに「Three Tea’s Cafe」はあります。地下へ続く階段を降りると、打放しコンクリートの店内には、お酒が並ぶバーカウンターや160インチの巨大スクリーンが。いわゆる親子カフェとは、まったく違う雰囲気です。

それもそのはず、ここは三軒茶屋で15年ほどライブハウス&バーを営む「GRAPE FRUIT MOON(グレープフルーツムーン)」。なぜ、ライブハウスで親子カフェを始めようと思ったのでしょうか?

「お店のスタッフが、たまたまみんないろんな資格や特技を持っていたんです。作詞作曲ができる人、歌が歌える人、リトミックの資格を持っている人、調理師免許の資格を持っている人、照明ができる人……。私自身もベビーシッターの資格を持っています。

160インチの巨大スクリーンに本格的な音響設備

160インチの巨大スクリーンに本格的な音響設備

左から横田美智子さん、ほしばかなえさん、安彦智直さん

左から横田美智子さん、ほしばかなえさん、安彦智直さん

みんながいろんな資格を持っていて音楽施設の整った空間があったので、それを活かして子どもの向けになにか始めたいね、と。2年間ほど計画を練って、2014年6月から週に1回、リトミックショーつきの親子カフェを始めました」と話すのは、店長の横田美智子(よこたみちこ)さん。

ショーの司会進行を担当するのは、「アンパンマンキッズコレクション」のCMソングなどを手掛けるシンガーソングライターのほしばかなえさん。「GRAPE FRUIT MOON」に出演した際、店長の横田さんからお誘いを受けたそうです。「もともと子どもが大好きで、子どもに関わる歌の作詞作曲がしたいと思っていました。ショーを見たお子さんやお母さんたちがニコニコ笑顔になってくれるとうれしいですね」(かなえさん)
音響担当の安彦智直さんは、幼稚園でパーカッション演奏を披露する活動も行っているのだとか。

「すべての親子を笑顔に!」をモットーに

取材日は、いつものリトミックショーに加えて、中村哲也さんによる弾き語りの特別ライブも行われました。中村さんは世田谷区災害対策課に勤務しており、歌を通して育児や家族の大切さを広く伝えていきたいと活動しているお父さんのひとり。お客として来店したことをきっかけに、コラボレーションが実現。お父さんのリアルな目線で綴られた歌詞とやさしい歌声は、お母さんたちの心にしっかり響いていたようです。

さて、次はリトミックショー。ショーにはお話が数パターンあり、来店した子どもの年齢を参考に決定。オリジナルキャラクターが織り成す物語の内容はもちろん、ステージの仕掛けなど、細部にまで「みんなが喜ぶ」こだわりが感じられます。突然スクリーンの裏から風船がたくさん出てくる演出に1歳前後の赤ちゃんは大喜び。

誕生日を迎えるお子さんには、ハッピーバースデーの歌でお祝いしたり、クリスマスはサンタに変装したスタッフが登場したり。「すべての親子を笑顔に!」をモットーに、お子さんとお母さんが喜ぶ仕掛けを、スタッフみんなで日々企画しているそうです。

歌手で公務員の中村哲也さん。子どもの成長を父親目線で温かく歌います

歌手で公務員の中村哲也さん。子どもの成長を父親目線で温かく歌います

ショーが始まると、子どもたちは釘づけ

ショーが始まると、子どもたちは釘づけ

たくさんの風船に子どもたちは大喜び

たくさんの風船に子どもたちは大喜び

貸し切り時には、モノマネショーも!?

ショーと食事がついて、大人1500円から、ベビー&キッズ700円からとお手ごろなお値段。メニューも豊富でメインやアラカルトが選べます。低アレルゲンメニューにも対応しているそうです。

平日には親子10組以上から貸し切りも可能(土日祝日は応相談)。クラス会や子どもの誕生日会、ママ友とのイベント、資格を持ったお母さんによる講座開催の利用も可能です。
また、貸し切りでは、料理人兼モノマネ芸人のスタッフによるモノマネショーをやることも。お母さんたちに大好評だそうです。施設の設備には、広い授乳室やおむつ替え室、キッズマットやおもちゃ、ベビーゲート、チェアベルト、お食事エプロンなど、お子さんの年齢に合わせた気配りも。

多才なスタッフたちがみんなで作り上げた、Three Tea’s Café。すべてが手作りの温かい親子カフェで、今日も訪れる親子を笑顔にしています。

広くゆったりと使える、授乳・オムツ替え室

広くゆったりと使える、授乳・オムツ替え室

階段を降りるととっても楽しい空間が!

階段を降りるととっても楽しい空間が!

Three Tea’s Cafe(スリー・ティーズ・カフェ)
住所:〒154-0004 世田谷区太子堂2-8-12佐々木ビルB1F
電話番号:03-3487-8159
営業時間:毎週金曜日11:30(オープン)~13:30(ショースタート)~14:30(クローズ)
URL: http://three-teas-cafe.com/

笑顔のあふれる場所「チャイニーズレストラン 欣喜」

笑顔のあふれる場所「チャイニーズレストラン 欣喜」

笑顔のあふれる場所「チャイニーズレストラン 欣喜」

伝統と基礎から生まれる「欣喜」の味

昭和30年代から続く祖師谷大蔵丸芳飲食街は、飲食店が立ち並び、昔ながらの味のある雰囲気が残る場所。その中でも木のぬくもりと清潔感のある白を基調とした店構えがひときわ目を引く、「チャイニーズレストラン 欣喜」。店内は落ち着きがあり、1階の客席からは厨房まで見渡せるオープンなつくり、シェフやスタッフの仕事ぶりが見えることで安心感が生まれます。

オーナーシェフの青木欣也さんは、横浜中華街萬珍楼に10年、都内のホテルで5年、その後料理長として都内のレストランで腕を振るいます。祖師ヶ谷大蔵に住んで16年になる青木さんは、2011年に地元意識も高く愛着のあるこの街に独立開業しました。

中国料理のさまざまなジャンルを経験する青木さんが創る欣喜の料理は、各ジャンルの良さを生かした料理が特徴。それは素材を生かす広東料理、料理を自在に操る上海料理、そして中国料理の伝統と基礎から生み出されるもの。「中華街で中国料理の伝統や基礎をしっかり学べたことが土台となっています。基礎がなく応用した料理を作っても見た目だけの料理になりがちですよね」と青木さん。さらに、野菜にもこだわりを持ち、栃木県下野市にある海老原ファームの野菜を使用したメニューも。野菜本来の力強い味を生かした料理が味わえます。野菜を多く使った料理も「欣喜」の人気のひとつ。

木のぬくもりを感じる店構え

木のぬくもりを感じる店構え

厨房まで見渡せるオープンな店内

厨房まで見渡せるオープンな店内

栃木県下野市にある海老原ファームの野菜

栃木県下野市にある海老原ファームの野菜

また、青木さんは「中国料理専門調理師 調理技能士」の資格を持ち、ホテルに勤めていた時代から老人ホームや保育園などで、「食育」への取組みも行ってきました。保育園では子どもたちに、普段自分が食べているご飯がどのように調理され、食卓に上るのかを知ってもらう一環として「親子でつくるシュウマイとごま団子」などの教室を開催してきたそう。今では祖師ヶ谷大蔵の保育園や小中学校からも依頼があるほど。

お客さんの声からはじまった料理教室

美味しい料理を提供するだけにとどまらず、各方面で活動している青木さんは2013年から店舗での料理教室をはじめることに。なんとこちらはお客さんの希望からはじまったとのこと。

教室を開くきっかけとなった上級クラスを見学。クラスの皆さんは好奇心旺盛で、お店と同じ味が覚えられるなら難しいレシピでも学びたいという方ばかり。料理教室では、配られたレシピをもとに、青木さんから調理のポイントを学びます。ここでは料理人だからこその「こっそり話」なども聞くことができ和やかな雰囲気で進みます。説明が終わると青木さんを先頭に生徒の皆さんは厨房へ移動。青木シェフの実践がはじまると、携帯やカメラを手に撮影とメモを書きとめるのに大忙しの皆さん。デモンストレーション形式で終わらないのが欣喜の料理教室。教室では毎回、調味料やタレなど持ち帰り分を実践します。この日は、冷やし坦坦麺に使うタレを二人一組で作りました。実践が終わると待ちに待った試食タイム。出来上がったメニューを試食しながら、「この調味料なら〇〇にも代用できるね」など主婦ならではのアイディアが飛び交います。

お店の常連が多い生徒の皆さんは、料理教室に通うようになって益々お店に足を運ぶようになったという方がほとんど。ひとつひとつの料理がどんなに手間をかけて作られているのかを実感し、さらにファンになったそう。また青木さんが教える食材の生かし方や調理の工夫は、普段の料理にも実践できるものばかりと話す生徒さん。

レシピを見ながら調理のポイントを学びます

レシピを見ながら調理のポイントを学びます

撮影とメモを書き留める真剣な生徒の皆さん

撮影とメモを書き留める真剣な生徒の皆さん

持ち帰り用のタレをつくります

持ち帰り用のタレをつくります

笑顔が生まれるお店

「欣喜」という言葉は中国語で、大喜びするという意味があります。その名の通り美味しい料理には人を笑顔にする力があります。そして「欣喜」には、青木さんやスタッフ以外にもお客さまを笑顔で迎えるお店のロゴマークが。このロゴマークにはもうひとつの意味があるのだとか。「よく見ると船に見えてきませんか?沈むことなく、いつも笑顔であるようにと友人が考えてくれたものなんですよ」と笑顔で話す青木さん。

食に関するさまざまな角度から、「喜び」について真剣に取組む青木さん。地域に愛されるお店には、たくさんの笑顔がありました。

ロゴマークには笑顔と沈まぬ船の二つの意味が

ロゴマークには笑顔と沈まぬ船の二つの意味が

笑顔が集まる「欣喜」

笑顔が集まる「欣喜」

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チャイニーズレストラン欣喜
〒157-0072 東京都世田谷区祖師谷1-8-17
03-6411-3458
HP:http://kinki-aoki.com/
営業時間
– ランチタイム –
水曜日〜土曜日 11:00〜14:00(L.O13:30) ※火曜日と日曜日はお休み
– ディナータイム –
火曜日〜日曜日 17:00〜22:00(L.O21:30)
定休日:月曜定休日

子どもの自由な発想でお店を開く、「こども商店街」

3つの町に分かれたお店の場所は事前に抽選で決められ、町名も自分たちで決める。

3つの町に分かれたお店の場所は事前に抽選で決められ、町名も自分たちで決める。

今年のテーマは「これって、アリ?」

こども商店街は毎年テーマを決めて開催しますが、今年のテーマは「これって、アリ?」。既成概念にとらわれず、大人たちには思いつかないような自由な発想で、子どもならではのお店を実現して欲しい、と設定されました。「申し込み時には『もうひとひねり欲しいなあ』、と申し込み書にダメ出しすることもありました。ただお店を開くのではなく、子どもたちがアイディアを振り絞った発想を自分たちの力で実現するものであって欲しい、と思っています」と話すのは、「こども商店街」主催の羽根木プレーパークでプレーリーダーを務めるまっくさん。

今年は小学校1年生から中学校3年生まで(参加資格は高校3年生まで)計57店舗が参加し、迷路ゲームや射的など子どもらしいゲーム屋から、うどんやカレーなどの食べ物屋、雑貨を売るお店、自作の本を売るお店、リクエストされた曲を演奏するお店など多種多様なお店が出店しました。

店構えや看板も自分たちで手づくり

店構えや看板も自分たちで手づくり

こども商店街の横断幕と会場マップ

こども商店街の横断幕と会場マップ

自分たちの力でお店作り

子ども商店街の特徴は、店がまえや看板なども自分たちで作ることです。今年は、2月の後半に誰と何のお店をするかを決めて申し込み、3月1日に、場所を決める抽選会が終わると、お店作りの期間がスタートしました。子どもたちは、プレーパークに用意されている材木、鋸や金槌、ペンキなどを使い、お店を作っていきます。慣れていない子どもにとって土台作りは一苦労。上手に杭が打てず、せっかく作っても壊れてしまうことも。「プレーリーダーに聞くこともできますが、とにかくみようみまねでやってみると『こうすればいいんだ』とわかり、子どもたちだけで作れるようになります」(まっくさん)。昨年に経験を積んだ我が娘は「もうコツがわかっているから大丈夫」と今年は涼しい顔でした。小学校高学年や中学生になると、立派な2階建てのお店も作れるようになる子もいます。商店街終了後には、「店構えコンテスト」が行われ、優勝したお店はその建物を1年間残せる、という栄誉を与えられます。

個性的なPOP。むずかしいと言われると試さずにはいられません

個性的なPOP。むずかしいと言われると試さずにはいられません

寒さもへっちゃら、大盛況のこども商店街

寒さもへっちゃら、大盛況のこども商店街

子どもたちのアイディアを振り絞ったユニークなお店がたくさん

当日、商店街をぐるっと一回りすると、大人顔負けの食べ物や手作り雑貨を売るお店から、思わず「くすっ」と微笑んでしまうお店までさまざま。値段は200円以内に設定。1回10円のゲームから、200円のうどんや丼ものまでありました。中学生が1人でやっていた鶏皮こんにゃく丼は、看板もなく味勝負。「昨日は夜の11時から2時までかかって作りました。鶏は1時間下ゆでをして脂をのぞきました」と本格的なものでした。

朝から曇り空の天候もなんとか持ちこたえ、大盛況だった1日。1日働き、「儲かって楽しかった」とにこにこ顔の子どももいれば「今年は儲からなかった」とちょっと不満顔の子どもまで。我が娘は後者で、終わった瞬間から来年の作戦をお友だちと考えていました。見守っていた保護者の方に話を聞くと「子どもたちが自分で全部やってとてもいい勉強になる」という意見や「火を使うなど危険があるので、どこまで口を出せばいいか難しい」という感想もありました。

思わずレシピを聞きたくなる出来だった鶏皮こんにゃく丼

思わずレシピを聞きたくなる出来だった鶏皮こんにゃく丼

女の子はかわいらしい手作り雑貨のお店も多く

女の子はかわいらしい手作り雑貨のお店も多く

我が娘グループも、放って置いたら最後のお金の清算がめちゃくちゃ。思わず口を出してしまいました。過去最大の出店数となった子ども商店街も終わり、「『やりたい!』と言ってくれる子どもが多かったのはとてもうれしい。ただのお店屋さんごっこではなく、子どもたちが自分たちの力で自由な発想を表現する場として、来年以降も開催していきたい」(まっくさん)

つくる楽しさ、教える楽しさ。ものづくりでつながる「づくリンク」

つくる楽しさ、教える楽しさ。ものづくりでつながる「づくリンク」

つくる楽しさ、教える楽しさ。ものづくりでつながる「づくリンク」

ものづくりを交流の場に広げたい

イラストレーターとして活躍している片桐さんは、5年前非常勤講師を務めていたデザイン専門学校で、新しく開講する学科の主任を担当することに。その学科はグラフィックデザインについて学ぶだけではなく、クラフトなど「ものづくり」の知識も必要とするものだったそうです。

「主任は学科をプロデュースし適材適所に講師を配置、生徒のケアが大きな役割です。しかし成績を評価する際には、『手工芸品』が出来上がるまでに必要な作業量や、使い手に興味を持ってもらうにはどんな工夫が必要かを知っておくべきと思い、私も生徒と同じカリキュラムに参加しました。するとどんどんものづくりから得られる楽しさを実感するように」(片桐さん)。年齢に関係なく新しいことをはじめる楽しさや学校にはないカルチャースクールの魅力を感じるようになったそうです。

「学校はときに苦しいこともありますよね。高い知識や技術を身につけるには壁にぶつかり、思うように出来ず暗い顔になることも。カルチャースクールやワークショップには趣味として意識が強いので、楽しいやうれしい気持ちの方が大きいと思います」(片桐さん)

起業ミニメッセでは、お子さんも参加できるワークショップを開催

起業ミニメッセでは、お子さんも参加できるワークショップを開催

「古布で作る自分だけのひな人形」ワークショップで使う古布

「古布で作る自分だけのひな人形」ワークショップで使う古布

消しゴムはんこでポストカードづくり

消しゴムはんこでポストカードづくり

片桐さんには、「ものづくりから広がる交流の場」が必要だと感じる理由がもうひとつありました。一人前のクリエイターになるのは大変なこと。講師という立場も経験している片桐さんは、若手クリエイターの皆さんに「教える」ことも表現の場のひとつとし、経験してほしいと考えます。ものをつくるだけではなく、生徒が得意な分野では講師の立場となってワークショップを開催でき、自身の技術を広める新たな交流の場所として2013年1月に「づくリンク」の活動を開始しました。

気になるワークショップに参加

活動場所は下北沢にある「COS下北沢」や、さまざまなものづくりに関連のある場所を利用し不定期に開催しています。講座内容は、手芸からアクセサリーづくり、木工にイラスト教室などさまざま。バラエティーに富んだ講座内容も魅力のひとつで、参加したいワークショップに申込むだけで気軽に受講できます。どの講座もカリキュラムがあるわけではなく、自由につくることができます。テーマによって異なりますが、各回の定員は10名前後と少人数。受講回数は1回から数回と作業工程によって変わります。わからないことや作品の希望なども伝えやすい雰囲気で、初心者の方も参加可能です。

活動場所のひとつ、下北沢にある「COS下北沢」

活動場所のひとつ、下北沢にある「COS下北沢」

少人数でのワークショップで、わからないことや作品の希望なども伝えやすい雰囲気

少人数でのワークショップで、わからないことや作品の希望なども伝えやすい雰囲気

づくリンクの交流を体験してみました!

参加したのは「古布再生!額縁で作る裂織のバッグづくり」。木枠を使った織り機を作るところから始まります。初日は経糸を張るために木枠の上下に釘を打ち付ける作業から開始。トントンカンカンとアトリエに響く音と金槌を持つ姿は、これから織物をするとは思えない光景。ものづくりに興味がある皆さんは一様に好奇心が旺盛で、いろいろなことにチャレンジします。同じ作業は織り機をつくるところまで。経糸を張る間隔や生地の組み合わせ、バッグの形に至るまで自由に作り上げます。みなさんの個性が現れ、「そんなアイディアが!」「そのデザイン可愛い」と回を追うごとに盛り上がります。

作りたいデザインが浮かばない場合でも、先生が見本をいくつか用意しているので安心です。「こういう方法もあるよ」とわかりやすく説明してくれるので、ぼんやりとしたイメージを伝えるだけでも大丈夫。みなさんこだわりも多く時間が足りなくなってしまうこともしばしば。夢中になる作業は、ほどよい疲労感と達成感が得られ気分転換にもなります。

「づくリンク」とは、ものづくりからつながる交流の意味を込めて、ものづくりの「づく」とつながるという意味の「リンク」を合わせたもの。だれでも気軽に始めることができるものづくりから、多方面へのつながり、可能性が見つかる楽しみな「場」となりそうです。

「古布再生!額縁で作る裂織のバッグづくり」では、織り機になる木枠に釘を打ち付ける作業から

「古布再生!額縁で作る裂織のバッグづくり」では、織り機になる木枠に釘を打ち付ける作業から

経糸を張る間隔や生地の組み合わせでオリジナル生地が織り上がります

経糸を張る間隔や生地の組み合わせでオリジナル生地が織り上がります

ミシンをかける先生を囲んで

ミシンをかける先生を囲んで

マナブdeアソボ づくリンク facebook
https://www.facebook.com/Dzukurinku

子育ての輪でつながる一日!世田谷子育てメッセ開催

「地域みんなでつながる」をテーマにしたポスター

「地域みんなでつながる」をテーマにしたポスター

子育てメッセは子育て活動団体の見本市

世田谷区には、子育て支援団体を大きくふたつの視点から応援する仕組みがあります。ひとつは、地域の子育て力をより一層高め、子ども・子育て支援施策の充実を図るために必要と思われる事業に助成する「子ども基金」による活動費のサポート。もうひとつは、区内の子どもや子育て活動を行う団体同士がつながりあい、地域の子ども・子育てを支える大きな輪となって広がっていくことを目指すプロジェクト「子ども・子育てつなぐプロジェクト」(旧:子ども・子育てつながるプロジェクト)による、交流会や勉強会などの運営面のサポートになります。この「子ども・子育てつなぐプロジェクト」に参加している団体の見本市という位置づけで、「世田谷子育てメッセ」は開催されるとのこと。

「『子育てメッセ』は、子育てをもっと楽しくしたい、こんな支援があったら助かるのにと考えている方が、必要な支援団体と出会うことで問題解決の糸口をみつけたり、新しい交流が生まれることを目的としているほか、団体同士の交流を盛んにすることも役割としています。横のつながりが広がることで、世田谷区内の子育て支援活動がより充実することを願っています」と話してくださったのは、「世田谷子育てメッセ」担当の世田谷区子ども・若者部 子ども家庭課の雀部(ささべ)さん。

昨年度も1500人以上が来場してにぎわった

昨年度も1500人以上が来場してにぎわった

子ども基金の報告会はさまざまな活動が発表され興味深い

子ども基金の報告会はさまざまな活動が発表され興味深い

イベントを支えるのは、子育て活動団体

「子育てメッセ」の準備は前年の夏ごろから始まり、世田谷子育てメッセ実行委員に加え子育て活動団体も交えた会議が定期的に行われます。参加している子育て活動団体の主催の多くは、子育て経験者や子育て現役のみなさん。みなさん一様に「子育てメッセに来てよかったと感じて欲しい」という思いのもと、イベントテーマや内容を話し合います。

1月8日に行われた最終会議では、「子育てメッセの成功とはどんなこと?」というテーマで話し合い、「来場者に笑顔で帰って欲しい」「いい出会いをして欲しい」というような意見が出ました。子育ての大変さを知っているからこそ、子育てが楽しくなるヒントを見つけて欲しい、と考える方が多いようです。メッセの開会宣言、閉会宣言もそうした子育て活動団体のスタッフたちによって行われ、団体の枠を越えて来場者にメッセージを届けます。

子育てメッセの開会宣言は昨年度も元気いっぱい

子育てメッセの開会宣言は昨年度も元気いっぱい

会議では子育て活動団体、児童館、区の職員で知恵を出し合う

会議では子育て活動団体、児童館、区の職員で知恵を出し合う

メッセで世田谷の子育てを感じる

「子育てメッセ」は、テーマ別に7つのブース(「知る・学ぶ」「元気になる」「親子の集まり」「文化・アート」「ひろば」「そだてる」「相談・支援」)に分かれて各団体が出展し、活動内容を紹介する資料の配布やおためしサービスなどを受けることがきます。子育てサークルから、NPO法人、自主保育、育児相談・支援団体などさまざまな団体が出展しており、活動内容もヨガやベビーマッサージなどから遊びの団体まで多種多様。興味がある団体を見つけたら、その場でじっくり話を聞くことも。時間のない方や自宅で検討したいという方には、会場で配られる子育て活動団体の情報誌「世田谷子育てつながる本」を参考に気になる団体をチェックしておくと便利です。

また、会場ではリトミックやミニライブ、絵本の読み聞かせ、子育てに関する講演などミニイベントも満載。乳児の親子だけでなく、幼児やお父さんも楽しめます。「お母さんはもちろん、それ以外の方(お父さん、おじいさん、おばあさん、地域の方など)にも気軽に参加いただけ、お子さんを含め皆が笑顔になるようなイベントにしたいです」(雀部さん)。

来場者へのメッセージをブース別の班に分かれて知恵を出し合う

来場者へのメッセージをブース別の班に分かれて知恵を出し合う

大人気のミニイベントでプチ体験できる

大人気のミニイベントでプチ体験できる

会場は小田急線成城学園前駅から徒歩3分ほどのところにある砧総合支所。会場にはおむつ替え・授乳スペースもあり、小さなお子さんを連れての来場も安心です。子育て真っ最中の方はもちろん、子育てに興味のある方やこれからお父さんお母さんになる方におすすめ。世田谷の子育てを体感できるイベントに出かけてみませんか。

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第13回世田谷子育てメッセ

[日   時]2015年1月31日(土) 10:30〜15:00
[会   場]砧総合支所
[主   催]世田谷子育てメッセ実行委員会・世田谷区
[お問い合わせ]せたがやコール 03-5432-3333

お母さんと赤ちゃんの心が休まる「もうひとつの実家」

お母さんと赤ちゃんの心が休まるもうひとつの実家「古民家mamas」

お母さんと赤ちゃんの心が休まるもうひとつの実家「古民家mamas」

ほっと一息、くつろげる空間

「古民家mamas」は、おもに0歳児の赤ちゃんと家族がすごせる場所として、2010年より東急世田谷線「松陰神社前」駅にある古民家を利用し自主運営の子育てひろばを開催してきました。

「出産から1歳のお誕生日ぐらいまでは、子育てがもっとも大変な時期。昼夜をとわず手がかかって体力的にもきつい上に、不安や悩みは次々出てきます。そんなお母さんたちの日常の延長に、ふと立ち寄ってホッとできる場所、子育ての本音をつぶやける場所をつくりたいと思いました」と、代表の吉原さん。

生後11ヶ月の赤ちゃんのお母さんは、「子どもが泣いてばかりで、家にいるのがつらくて来たのが最初。スタッフの方に抱っこしてもらって、ゆっくり座ってお昼を食べたときには、本当にうれしかった。ここでいろいろなお母さんとも話ができ、子育て仲間がたくさんできました」。また、生後2ヶ月の赤ちゃんのお母さんは、妊娠中から通う常連さん。「先輩たちからいろいろな体験談を聞いていたので、安心して出産にのぞめました。無事に生まれたことを皆さん喜んでくれて、かわるがわる抱っこしてくれたのがうれしかったです」と話してくれました。

お散歩の途中で看板に気づき、様子を見に来るお母さんもいます

お散歩の途中で看板に気づき、様子を見に来るお母さんもいます

本棚には子育てに関する本が並び、自由に閲覧できます

本棚には子育てに関する本が並び、自由に閲覧できます

「抱っこさせて!」。初めましての赤ちゃんは、スタッフやお母さんの人気の的

「抱っこさせて!」。初めましての赤ちゃんは、スタッフやお母さんの人気の的

互いに知恵を出し合い支えあう

「古民家mamas」のスタッフは、子育て経験豊富な先輩たち。家ではゆっくりお茶を飲む暇もないお母さんたちのために、カフェインレスコーヒーやハーブティー、ときには季節の野菜を使ったお料理やお菓子なども用意して迎えます。お母さんたちの話の輪に入り、子育てのよもやま話をしたり、赤ちゃんを抱っこしたり遊んだり。保育士、保健師、看護師などの資格をもつスタッフもいますが、指導や介入をすることはありません。相談を受けて、自らの経験談や知っている知識を話すことはありますが、それはお母さん同士が情報交換するのと同じ。誰かが悩みを話すと、スタッフもまわりのお母さんたちも、いっしょになって考えたり知恵を出し合ったりしています。

「古民家mamasに集うお母さんたちが、お互いの赤ちゃんの成長を見守り喜びあう存在になっていけたら。そして私たちも、お母さんたちの子育ての伴走者になれたらと思うんです」と吉原さん。そんなスタッフが作りだす雰囲気に、「ここは実家のよう」と感じるお母さんも多いようです。

月齢の近い赤ちゃんのお母さん同士は話も尽きません

月齢の近い赤ちゃんのお母さん同士は話も尽きません

いっしょに育っていく仲間たち

いっしょに育っていく仲間たち

目指すはフィンランドの育児支援

「古民家mamas」の活動をするなかで、吉原さんたちが出会ったのが、フィンランドの子育て支援制度「ネウボラ」です。ネウボラのキーワードは「切れ目のない支援」。保健師や助産師が常駐する施設(ネウボラ)で、妊娠から出産、子どもが6歳になるまでのあいだ、担当の保健師が継続して家族全体を支えます。医療的な健診だけでなく、子育てや家族の悩みまで相談できる個別面談があり、アドバイスや必要な医療機関などへの紹介もしてくれます。妊娠中から同じ担当者がサポートするため信頼関係が築きやすく、問題の予防や早期発見につながっているのです。

今後吉原さんが目指すのは、この考えを取り入れた「小さなネウボラ」。お母さんたちに寄り添い、日常のなかで信頼関係を築いて初めて支援ができるというもの。「古民家mamas」で培った経験に加え、地域の保健師や助産師、医師などの専門家との「顔のみえる連携」を深め、お母さんたちを孤独にさせない、安心して子育てできる街づくりのためになにができるかを考えているそうです。

活動の拠点となっていた古民家は、2015年3月末で閉館になりますが、新たな場所を探し、さらに発展させた子育て支援サービスの準備を進めているとのことです。今後の情報は、「古民家mamas」のブログ(http://ameblo.jp/kominkamamas/)で随時お知らせ。これまでの子育て支援を活用しながら、新しい制度を取り入れる活動に注目してみませんか。

子育ての毎日にも季節感を。着付けイベントでお母さんにも華やぎのひととき

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父親だって子育てしたい!汐見稔幸先生を招いてのお父さん講座ではお父さんの本音も

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「切れ目のない子育て支援」の視察で島根県益田市から見学に

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(撮影 松本のりこ)

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(施設概要)※2015年3月末まで
開催日:月曜日11:00〜15:00、金曜日12:30〜15:00
参加費:ひと家族500円
住所:世田谷区世田谷4-14-3
アクセス:東急世田谷線「松陰神社前駅」または「世田谷駅」より徒歩3分
電話番号:080-9691-5323(開催時間内のみ)
URL:http://ameblo.jp/kominkamamas/