戦前からの老舗八百屋の変革!
三軒茶屋から茶沢通りを下北沢方面へ、烏山川緑道をこえた太子堂商店街。下北沢に向かって左手に、戦後から続く八百屋「佐藤青果店」があります。通りに面し、前を通れば、扉が無く明け放され、お店の中が全て見える、いわゆる八百屋さん。しかし、地域の学校や保育園へ野菜を届ける昔ながらの八百屋であるとともに、とても面白い変化をし続けています。
もちろんお野菜はありますが、それはお店の一角。最前列にずらり並んでいるのは、様々な形の美しい瓶詰やパックや袋入りの商品。ひとつひとつに楽しいキャッチフレーズと、丁寧な説明書きが付けられています。
「天才が作ったマスタード」
「そのまま食べても美味しい切★大根」
「天才にしか思いつかない新しい唐辛子。」
「シナモンが効いた大人のシロップ ジンジャーシロップ」
「生で食べておいしいマッシュルーム」
どれも他では見たことのない商品ばかりです。雑貨のようにスタイリッシュで、キッチンに並んでいたら可愛いだろうと思えるほどです。
どれも製法や原料に一工夫されているものばかりだそうです。隅々まで眺めながら店内をぐるりと回ると、『やみつき本格やき肉はじめました』の看板がありました。
こだわりの梨だれに付け込まれ、パウチされたお肉だそうです。とてもおいしそうだし、便利そうだし、主婦にとってはうれしい一品です。
無農薬の野菜は旨い!でも、だからこその困難
青果店で、なぜ肉まで売ることになったのか、佐藤社長に聞くと「自分がサラリーマンを辞め、この店を任されることになり、徐々に野菜を学ぶ中で、無農薬や自然に育てた野菜は美味しいと知りました。味が全然違います」と、無農薬野菜の魅力を感じ、直農で取り扱いを始めたそうです。ところが、自然に近い形で育てられている無農薬野菜は、安定供給が難しく、普通の八百屋のように、いつでも何でも店頭に並べられないそうです。また、時期によっては並べられる野菜もない、という困難にぶつかったそうです。
それでも、佐藤社長は、何か美味しいものが手に入らないか、と探していくうちに、「これだ!」という商品に出会い、交渉し、一品ずつ、自信をもってお客様に勧められる品を店頭に並べていたそうです。“最高に美味しくて、とにかく体に良いもの”、徹底的にこだわって、野菜や果物という枠を飛び出して、調味料、卵、味噌、米、ジュース、油、乾物と揃えていくうちに、ついに肉までたどり着いたということです。
佐藤青果店のものは間違いがない。そう言っていただけるように
取り扱っているお米は、店内で精米したもの。卵は北海道から取り寄せたものです。調味料は、無添加。冷蔵庫に冷えているにんじんジュースは自然栽培100%。どれもこれも、こだわりの品ばかりです。
さらに佐藤社長は、自社開発のプライベートブランドの商品も作っています。店の奥にある、開発専用の工房で、商品を生み出します。店頭にずらりと並べられていた「マヌカレモンシロップ」も「マヌカジンジャー」も「ジンジャーシロップ」も自社開発商品です。お客様には、その美味しさから、とても評判高く、リピート率もある、おすすめ商品です。
若者が遠くから目指してくる八百屋
佐藤青果店は、地域のシニアの方は、昔からの青果店として知られていますが、実は多くの若者が遠くからも買いに来ます。それはSNS発信をしているからだそうです。「詳しくないんですが、一生懸命やっています」と佐藤社長は言われますが、そのTwitterやインスタグラムはとても面白い。商品の魅力を分かりやすく、楽しく伝えていています。最近は、特徴的な商品を活かした調理法なども、レシピサイトで公開しています。ある芸能人がある商品を「美味しい!」とつぶやいた事をきっかけにして、瞬く間にSNSで広まり、そのファンが買いに押し寄せた事もありました。
肝心なのは準備。攻め続けます
「八百屋だって前に進まないと。その為には準備が大事ですから、準備を続けています」と佐藤社長はいいます。厳選した最高の直農野菜や果物。野菜に限らず「美味しいものを売る」がモットー。良いものは日本全国の情報網から取り寄せ、無ければ自社開発も厭わない、攻め続ける八百屋「佐藤青果店」。次は何が店頭に並ぶのか、目が離せません。
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